feel terroir!日本ワインを味わってみよう!『ココ・ファーム・ワイナリー』「2015北ののぼ」〜シャンパーニュに匹敵する日本のスパークリングワイン〜

こんにちは、宮坂佳奈です!

ワインテイスティングに関する前回の記事は読んでいただけましたか?まだの方は、お時間のあるときにぜひご確認いただければ嬉しいです!

feel terroir!日本ワインを味わってみよう!

上記タイトルをクリックすると過去記事まとめて見ることができます。

今回ご紹介するワインは、栃木県「ココ・ファーム・ワイナリー」の瓶内二次醗酵のスパークリングワイン「2015北ののぼ」です。

まずは、ワイナリーとワインについて紹介します。「Terroir.media」には、「ココ・ファーム・ワイナリー」の紹介記事と追跡記事を掲載していますので、ぜひあわせてご覧ください!

▶ワイナリー紹介

栃木県足利市田島町にある「ココ・ファーム・ワイナリー」。障がいのある子どもたちがいきいきと生活できる場として、1958年にぶどう畑の開墾を始め、1980年にワイナリーを設立。1984年にワインの醸造許可を得た。

約6haの自家畑で栽培するぶどうは、平均斜度38度の山の土壌を生かす栽培方法が特徴だ。
ココ・ファーム・ワイナリーでは、畑の開墾以来一度も除草剤は使わず、現在は化学肥料も一切使用していない。ぶどうの病気対策は最低限の薬剤散布のみ。
畑に大量に生える草は、ココ・ファーム・ワイナリーの経営母体である福祉施設「こころみ学園」の園生たちが刈り、自然の緑肥になる。

また、病気になったぶどうの粒をひとつずつ手作業で取り除くのも、園生たちの仕事になる。根気のいる作業を丁寧にこなす園生たちが、健全なぶどう作りを支えている。

ココ・ファーム・ワイナリーが目指すのは、ぶどう本来の味を生かしたワイン造り。野生酵母で発酵を促すことで、ぶどう本来の味や土地の味わいを表現する。介護や子育てのようにしっかりと醸造を見守り、世界に通用する品質のワインを造りあげて、その活動が評価されている。

▶ワイン紹介

【発泡】2015北ののぼ(750ml)

陽はのぼる、美しき泡たちのぼる。「2015北ののぼ」は、ビン内二次醗酵のスパークリングワインです。北海道のピノ・ノワールとシャルドネとピノ・ムニエから、ブルース・ガットラヴがキュヴェを醸造。足利で王冠ビン詰して熟成期間は50ヵ月以上。ルミュアージュもデゴルジュマンも、手仕事によるものです。

ぶどう品種:ピノ・ノワール、シャルドネ、ピノ・ムニエ

「北ののぼ」は、北海道余市の木村農園の葡萄から造られた、伝統的なビン内二次醗酵方式のワインです。2015年は木村農園のきりりとしたおいしい酸を持つピノ・ノワール、シャルドネ、ピノ・ムニエを最適なタイミングで収穫。岩見沢の醸造場10Rで、房のままていねいに搾って、純粋なフリーランの果汁だけを取り出し、自然の持ち味を活かすため、野生酵母で一次醗酵させました。

翌2016年の春、足利のココ・ファーム・ワイナリーにワインを運び、ワインに蔗糖と酵母を加え、すばやくビン詰し王冠で打栓。このティラージュビン詰(Tirage)後、ワインを暗く涼しい静かなセラーに寝かせました。一本一本のビンのなかでワインは二番目の醗酵を行いながら複雑さを増し、酵母が働いてデリケートで細かな泡を生み出します。そしてこのビン内二次醗酵後も、さらに香りの複雑さと口当たりの厚みを引き出すため、52カ月以上ビン内でワインを酵母の澱と接触させました。

ワインがビン内熟成で最高の状態になった2020年冬より、こころみ学園の園生たちが、毎朝毎晩ビンを45度ずつ回してルミアージュ(Remuage)を行い、澱をビンの口に集めました。その後、ビン口の澱を冷却機で凍らせ、王冠と同時に澱を取り除き(デゴルジュマン:Degorgement)、同質のワインを補って糖分を加えないナチュール(Nature)の状態でコルク打栓し、ミュズレとワイヤーをかけました。

この“北ののぼ”の特徴は、のびやかな酸、上品なコクにあります。造る工程のほとんど全てが手作業で造られたこのスパークリング・ワイン、お楽しみいただければ幸いです。

【品種】ピノ・ノワール75%、シャルドネ21%、ピノ・ムニエ4%
【アルコール】11.5%
【内容量】750ml
【採用実績】(ヴィンテージ/採用先)2012/2016年G7広島外相会合2012/2017年メイ英首相 歓迎夕食会

公式サイトより引用

今回のワイン会では、「2015北ののぼ」を冷蔵庫で2時間ほど冷やして提供しました。

私が「北ののぼ」と出会ったのは4年ほど前。世界のスパークリングワインのエチケットが隠された状態で提供され、銘柄を当てるという趣旨のイベントで、2013年ヴィンテージをいただきました。

シャンパーニュなど世界の名だたるスパークリングワインが並ぶ中で、「北ののぼ」が際立って美味しい!と感じました。シャンパーニュだと思ったワインが、実は「北ののぼ」だったのです。改めて日本ワインの素晴らしさを実感するきっかけとなりました。

▶ピノ・ムニエとはどんな品種

2015北ののぼは、ピノ・ノワール、シャルドネ、ピノ・ムニエがブレンドされたワインです。ピノ・ムニエとはどのような品種なのでしょうか?

ピノ・ムニエは、フランス・シャンパーニュ地方で主に栽培されている品種です。シャンパーニュ地方では栽培面積が全体の31%を占めています。


「CHAMPAGNE」(=シャンパーニュ)とラベルに記載が可能なワインには、「ぶどう品種がシャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエが使われていること」という決まりがあります。近年、アルバンヌ、プティ・メリエ、ピノ・ブラン、ピノ・グリというぶどう品種も認められました。

ピノ・ムニエは厳しい気象条件にも耐えるポテンシャルを持つ品種です。また、シャルドネやピノ・ノワールに比べて発芽が遅く、遅霜の被害に遭いにくいという利点があります。シャンパーニュにまろやかな果実味を与える大切な役割を担うピノ・ムニエ。早熟でフルーティーな、黄色い果実の香りが特徴のぶどう品種です。

今回紹介する「2015北ののぼ」は、ピノ・ノワール75%、シャルドネ21%、ピノ・ムニエ4%の比率で造られ、さらにシャンパーニュと同じ製法「瓶内二次発酵」方式で造られたワインです!

▶参加者の感想と解説

それではさっそく、8名の参加者の感想を紹介します!

■Aさん

実は、ピンクペッパーとキノコのマリネが合うのでは?とAさんからご提案いただき、その場で試したら相性のよさにビックリしたんです!ピンクペッパーは「ペッパー」とありますがブラックペッパーのような刺激や辛味はなく、プチッと噛むと爽やかな酸味とフルーティーな甘味、スパイシーな香りが弾け、デザートの彩りなどにも使われます。華やかさを演出してくれるピンクペッパーは、スパークリングワインと相性がいいですね!

■Bさん

今回は「2015北ののぼ」にキノコのマリネとクリームシチューのペアリングを提案しましたが、ペアリングすることでワインの味わいも料理の美味しさも広がったという、嬉しいコメントをいただきました!

■Cさん

「2015北ののぼ」は酸がとてもイキイキしていました!さらに熟成したコクもあり、飲み始めてからも長く香りや味わいを楽しめるワインです。Cさんがおっしゃるように、酸×酸のペアリングは考えやすい組み合わせですね。

■Dさん

「2015北ののぼ」は酸味のある料理にもクリーミーな料理にも合うので、ペアリングの幅が広がりますね。次はキノコのバターソテーに合わせてみようと思います!クリームコロッケもいいかもしれません。ペアリングのバリエーションが増えました!

■Eさん

少し遅れて参加されたEさんは、苺とブッラータチーズのサラダを提供するタイミングでこのワインを召し上がりました。確かに苺のサラダとも相性がよかったです!
今回のワインはシャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエのブレンドなので、赤ワイン用品種だけで造られたスパークリングとクリームシチューも、ぜひ合わせてみたいです。ワイン会を開催すると、参加者のさまざまな意見が聞けるのでとても勉強になります。ペアリングの幅も広がり、毎回発見がありますよ!

■Fさん

私も4年前に「北ののぼ」をブラインドで飲んだ際、シャンパーニュと間違えてしまいました!日本ワインの素晴らしさを実感していただけて、私も嬉しいです!

■Gさん

本当にその通りで、口に含んだ後、最後の余韻までじっくり楽しめるワインですね。ぜひお料理のペアリングを楽しみながらまた飲んでみてください!

■Hさん

「2015北ののぼ」の複雑さや奥行きを表現してくれるコメントでした!黒ブドウ由来のしっかりした骨格があり、心地よい苦みが後を引く、本当に素敵なワインですね。

皆さま、素敵なコメントをありがとうございました!

「2015北ののぼ」の魅力をさらに引き出してくれました。日本ワインの魅力をより多くの方に知っていただくきっかけになり、嬉しいです。

▶おすすめペアリング

「2015北ののぼ」は「輝く麦わら色」という表現がピッタリの、美しい色合いのスパークリングワイン。きめ細かい泡がグラスの底から立ちのぼり、その場を華やかに演出してくれます。

香りはリンゴ、アプリコット、柑橘系の果実の香りとハチミツのような甘く芳醇な香り、クリームのようなまろやかな香りが混在します。さらには瓶内二次発酵由来のトーストが焼けたような香ばしさを感じるワインです。

口に含むと、ヨーグルトのようなやわらかい酸と、洋梨のコンポートのような甘さが広がります。心地よい酸と上品なコクが口の中に最後まで残る、非常に余韻の長いスパークリングワインですよ。

豊かな味わいを楽しむために、大きめのグラスを選択することもおすすめです!

私のおすすめのペアリングをご紹介しますね。

★生ガキ
「2015北ののぼ」が持つ豊かな酸が、まるで牡蠣にレモンを絞ったような役を演じてくれそうです。牡蠣のクリーミーな旨味とミネラル感を、「2015北ののぼ」がしっかりと引き立ててくれること間違いありません。

★白身魚のパイ包み焼き
瓶内二次発酵由来の香ばしい香りと、パイ生地の香ばしさが好相性。「2015北ののぼ」が魚の旨味を引き立てながら、パイ生地との一体感を楽しませてくれそうです。魚はスズキやタイがおすすめです。

★鮮魚のカルパッチョ、ピンクペッパーを添えて
今回提供した料理、キノコのマリネに添えたピンクペッパーが「2015北ののぼ」と相性がよかったので、カルパッチョにも合うのではないかと思いました。魚は白身魚はもちろん、脂ののったサーモンやマグロも、「2015北ののぼ」の芳醇さが合いそうです。

★洋ナシのチーズタルト
甘く煮たコンポート仕立ての洋ナシがのった、クリームチーズをたっぷり使ったタルト。「2015北ののぼ」の酸とコクが、食事だけでなくスイーツタイムも楽しく演出してくれそうです。「2015北ののぼ」はハチミツやトーストが焼けるような香りも感じるワインなので、ジャムやクリームを塗ったスコーンにも合いそうです。アフタヌーンティーのお供に、紅茶代わりに「2015北ののぼ」を合わせるのも素敵だと思います!

▶まとめ

「2015北ののぼ」は、まさに「シャンパーニュに匹敵する、日本のスパークリングワイン」。きめ細やかな泡、繊細で華やかな香りと上質なコク、爽やかな酸とのびやかな余韻のバランスが素晴らしく、合わせるお料理もさまざまなバリエーションで楽しむことができる万能ワインです。

「日本ワインって、世界の素晴らしいワインと肩を並べることができるんだ」。私が4年前のイベントで感動した経験を、今回参加者の方に体験していただけたことがとても嬉しいです。

52か月以上もの時間を酵母の澱と接触し、瓶内で過ごすことで絶妙のバランスを身にまとった「2015北ののぼ」。大切な方との時間に「2015北ののぼ」を開ければ、さらに充実した時間が楽しめますよ。

「2015北ののぼ」、みなさまもぜひ飲んでみてください!

次回は、「BookRoad​​​​​​〜葡蔵人〜」の「シャルドネ2022」のテイスティングについてご紹介いたします。どうぞ、お楽しみに!


【宮坂佳奈さんプロフィール】

  • 2018ミスワイン長野大会準グランプリ受賞
  • 2018ミスワイン日本大会準グランプリ受賞
  • 日本ソムリエ協会認定ソムリエ/ワインエキスパート
  • 日本ワインショップスタッフ
  • 日本ワインイベントMC経験多数
  • ニッポンのいいお酒 ディレクター

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