『ふくしま逢瀬ワイナリー』地元の未来を優しく見つめる「おらげ」のワイナリー

春はヤマザクラ、夏はブナの緑。秋は紅葉、冬にはしんしんと雪が降り積もる。そんな豊かな自然に囲まれた場所に、ふくしま逢瀬ワイナリーはある。

「ふくしま逢瀬ワイナリー」は、復興支援プロジェクトから始まったという歴史を持つ。注目したいのは、ワイナリーメンバーの「福島や地元の産業に対する熱い思い」だ。

ワインや洋酒で、地元農産物の素晴らしさを表現する、ふくしま逢瀬ワイナリー。その歴史や目標、ワイン造りへのこだわりについて紹介していきたい。

『復興支援から始まった、ふくしま逢瀬ワイナリー』

ふくしま逢瀬ワイナリーの歴史には「東日本大震災からの復興の歴史」が深く関わっている。

「ワイナリー」と「東日本大震災からの復興」をつなげるものとは何か?どのようにしてワイナリーができたのか?その歴史と背景を見ていこう。

▶東日本大震災からの復興「果物王国福島」にワイナリーを

ふくしま逢瀬ワイナリーの成り立ちには「東日本大震災からの復興」が関係している。福島県の農家は、東日本大震災による風評被害に苦しんでいた。福島の農業のためにできることは何だろう、と考えられた結果始まったのが「ふくしまワイナリープロジェクト」。
「もも、なし、りんご」で有名な果物王国の福島に新たな付加価値のある産業を、という強い思いでワイナリー事業がスタートしたのだ。しかしワイナリーが軌道に乗るまでの道のりは、決して楽なものではなかった。
というのも、当時福島県郡山市の中でワイン用ぶどうを育てる農家は、ゼロに等しかったからだ。

まずは、周辺の農家に協力を仰ぐところから始まった。地元農家の元に足繁く通い、ワイナリーの構想を説明し、共感してくれた農家にぶどうを植栽してもらう。地道な働きかけの連続だった。

そして、2018年。契約農家が育てたワイン用ぶどうの実がやっと収穫の時を迎え、2019年には初の「郡山産ワイン」ができあがる。長い道のりを経て、2020年2月にリリースしたヴィンテージから、ようやく商用になる生産量が確保できた。

一方、福島県ならではの果物「もも、なし、りんご」を使ったワイン・洋酒造りについては、プロジェクトスタート当初から順調な歩みを見せている。2015年ヴィンテージのシードルをはじめとした商品は、2016年からリリース。
シードルは既に4ヴィンテージをリリースした。

認知度も順調に広まりつつあり、その味は高い評価を得ている。国内外のコンクールを受賞したものもあり、JR東日本の高級クルーズトレイン「四季島」のラウンジや、ミシュラン星つきレストランに取り扱われるようにもなった。

福島の復興からスタートした「ふくしま逢瀬ワイナリー」。地元農家の夢を乗せたプロジェクトは、さらなる高い目標に向かって進み続ける。

▶ワイナリー名に込められた思い

「ふくしま逢瀬ワイナリー」という名前には、ふたつの地名が含まれている。ひとつは県名である「ふくしま」。もうひとつはワイナリーのある郡山市「逢瀬町」からとった「逢瀬」だ。
なぜ「郡山」の名前が入らないのか?それには福島県ならではの、ある理由があった。

福島県は「会津(会津市を中心とした、県西部のエリア)」「中通り(県中央部、奥羽山脈と阿武隈山地にはさまれたエリア)」「浜通り(太平洋に面した、県東側のエリア)」という大きな3地域がある。
この3地域は、同じ県に属しながらも歴史的・文化的なバックグラウンドが大きく異なり、それぞれの地域の人々は自分が属する地域への郷土愛が強い。

福島の復興を目指すワイナリーとして、この「地域の分類」にとらわれずに福島全体を盛り上げたい。この思いから、ワイナリー名には「県」と「ピンポイントな地名」のふたつのサイズ感を選んだ。
「ふくしま逢瀬」の中に、「福島の魅力」と「ワイナリーのある場所」を表現したのだ。

また、代表理事の河内 恒樹さんはこう話す。「先ほどの理由以外にももうひとつあって「逢瀬」という名前を使いたかったのです。男性と女性が会うことを「逢瀬」と言いますよね。ロマンチックな響きなので、せっかくだからこの名前を入れたいねという話になったのです」古風で切ないニュアンスも感じられる「逢瀬」の響き。
「ふくしま逢瀬ワイナリー」ふるさとの温かさと、郷愁を同時に感じさせるような、そんな名前の響きを感じる。

『契約農家と共に育てる、ふくしま逢瀬ワイナリーのぶどう』

ふくしま逢瀬ワイナリーが育てている主なぶどう品種は、赤ワイン用ぶどうが「メルロー」「カベルネ・ソーヴィニヨン」、白ワイン用ぶどうが「シャルドネ」「ソーヴィニヨン・ブラン」だ。
ワイナリーの歴史でも紹介したように、郡山でワイン用のぶどうを育てている人はおらず、全てはまっさらな状態からのスタートだった。

ふくしま逢瀬ワイナリーのぶどう作りについて、共にチャレンジを続けてきた契約農家とのエピソードを含めて紹介していきたい。

▶契約農家との出会いから現在まで

ふくしま逢瀬ワイナリーでは、地元郡山の契約農家が育てるぶどうでワイン醸造を行っている。ワインのぶどうについて語るには、契約農家と歩んできた道のりの話は欠かすことができない。

契約農家とのワイン造りの始まりは、2015年のワイナリープロジェクト開始時点に遡る。「市役所の方に協力いただき、力を貸してくださる農家さんを探しました。自分たちで農家さんの元まで足を運んで、『こういうぶどう作り、ワイン造りがしたい』という話をして、話し合いを重ねて協力してもらいました」と当時のことを話すのは、醸造責任者の佐々木 宏さんだ。
ワイナリープロジェクトが始まった2015年は、4件の契約農家とのスタートだったが、現在では13件にまで増えた。

契約農家は、それぞれが元々ぶどう以外の農業を営んでおり、米農家、花農家、ねぎ農家と、多種多様だ。様々な農家に粘り強く依頼を続けていき、今ではぶどうの総植栽面積は8.6ヘクタールにも成長した。

ふくしま逢瀬ワイナリーの契約農家は「ワイン用ぶどう栽培を始めて5年目の農家さんもいれば、3、4年目の農家さんもいる。ワイン用ぶどうを2、3種類植えている農家さんもいれば、赤品種、白品種だけを植えている農家さんもいる」という状況だという。
ふくしま逢瀬ワイナリーは、地元農家と協力しながら、福島ならではのワイン用ぶどう栽培を日々研究している。

▶「初めてのぶどう栽培」だからこその難しさ

ふくしま逢瀬ワイナリーの契約農家にとって、ぶどう栽培は「初の試み」。だからこそ難しい面も多かったという。

まずは、収入の面での難しさだ。今まで作ったことのない果実をいちから育て、商品にできるレベルにするには非常に時間がかかる。もちろん、その間の収入に対する不安も大きく、ふたつ返事でOKをもらえる状況ではなかった。

しかしこの問題は、農家への細やかなケアで乗り越えてきた。まずは、ワイナリースタッフが各農家に「ワインを造る目的や復興への思い、未来の福島ワインの姿」という熱意を丁寧に伝えたのだ。

そして、農家が長くぶどう栽培を続けていけるようにと、市の協力のもと「コンサルタントによる栽培指導」も始めた。コンサルタントの栽培指導は現在まで継続しており、既に4年目を迎える。収穫、夏場の管理、病気の対処など細かい作業に関しても、丁寧に指導が行われる。
初めてのぶどう栽培に対する不安をなくすための配慮が徹底されている。

▶ぶどうの品質を一定に保つために

ふくしま逢瀬ワイナリーには、実に様々な契約農家がいる。ぶどう栽培をスタートした年や栽培環境も、農家によってバラバラだ。
そのため、ワイン用ぶどうを一定品質に保つためにも、工夫と努力が必要になる。

品質を一定に保つため、ワイナリースタッフは毎月2回の定期的な圃場訪問を行っている。1回は、ぶどう栽培コンサルタントが来る毎月のタイミングで訪問。もう1回は、ワイナリースタッフだけでの訪問だ。

「リアルタイムで、ぶどうや畑の状況を共有していくのが大切」だと佐々木さんは言う。
質の高いワインを造るためには、「醸造を担当するワイナリースタッフ」と「ぶどう栽培を担当する契約農家」の二人三脚の歩みが不可欠だ。

▶ぶどうの肥料や防除

ワイン用ぶどう栽培には、土壌の管理や病害虫からの防除が必須となる。様々な契約農家がいるふくしま逢瀬ワイナリーでは、どのように施肥や防除を行っているのだろうか?

まずは、ぶどうへの施肥について話を聞いた。ふくしま逢瀬ワイナリーでは、「葉が落ちてから施肥をすること」を共通事項として全農家に掲げている。
それ以外の点では、場所それぞれに合った施肥・追肥を提案しながら、農家のみなさんと一緒に考えて実施しているそうだ。

肥料についての難しい点は、全ての農家に対して「施肥はこのように行ってください」と一概に言えないこと。契約農家の土地ごとに土壌の質が大きく異なっており、「肥料の量や種類」といった対処方法は土地によって変わってくるからだ。

そのため、農家の中には、今までの経験や自分の土地に合った方法を取り入れている方々もいる。「肥料が多いと栽培が難しくなるから、少なめに入れている」という農家や「米がとれる場所なので、米の籾殻を肥料にしている」という農家など、それぞれ大きく違いがある。

ぶどうの防除についても同様で、基本的な防除スケジュールを伝えつつも、その年の状況に応じた消毒をしている農家が増えてきている。
「サポートを続けてきたかいがあって、農家さんもだんだんぶどう栽培に慣れてきています。自力で施肥や防除の方法が分かってくる人も増えてきました」と、佐々木さんは話す。

徐々にではあるが、農地ごとのスタイルでのぶどう栽培が確立されてきている。

▶天候の難しさも契約農家との協力で乗り越える

2020年の7月は日照不足が続き、ぶどうに限らず色々な果物に影響が出た。ぶどうの管理に苦労していた農家もあり、中には病気が発生した圃場もあったという。

しかし「そんな厳しい天候の中でも、予定していた収量とほぼ同量が収穫できたのはよかった」と醸造責任者の佐々木さん。厳しい状況でも、それぞれ工夫を凝らしながら、よいぶどうを収穫できたことは、ひとえに農家の方々の努力あってのものだ。

「いいぶどうでいいワインを造る」のは、農家さんにも共通する思い。これからもぶどう栽培には数々の困難があるかもしれないが、ワイナリーと契約農家で力を合わせて乗り越えていくのだろう。

『ふくしま逢瀬ワイナリーのワイン』

ふくしま逢瀬ワイナリーは「ワイン」「スパークリングワイン」「シードル」「ブランデーベースリキュール」といった、幅広いラインナップが魅力だ。ぶどうのワインに限らない、洋酒全般の素晴らしさを最大限感じられることだろう。

そんなふくしま逢瀬ワイナリーが造る果実酒・リキュールについて、そのこだわりや苦労、魅力を紹介したい。

▶「日本酒の県福島」に、ワインという新たな風を

お酒好きの方ならご存じかもしれないが、福島県は日本酒造が盛んな県だ。6、7年連続で「金賞受賞蔵が日本一多い県」にもなったことがあるほどの「日本酒県」なのである。

そんな福島の地でふくしま逢瀬ワイナリーが目指すのは「福島といえばワインだよね」と言われるようになること。福島とワインをつなげるために、県内・日本中に認めてもらえるワイン造りをしていく。

いつの日か日本酒と肩を並べ、「ワイン」が福島の産業にひとつになることを目標にしているのだ。

▶「おらげ」の魅力、ワインの名前

ふくしま逢瀬ワイナリーのラインナップには、地元の契約農家が栽培したぶどうのみから造られる「Vin de Ollage(ヴァン・デ・オラージュ)」というワインがある。
このブランド名の意味が分かるだろうか?一見フランス語に見える「Ollage」だが、実はワイナリーの造語。福島の方言「おらげ」を意味している。

「おらげ」とは、福島の方言で「自分の家」という意味。「Vin de Ollage(ヴァン・ド・オラージュ)」には、「自分たちのワインだ」という思いが込められている。

ふくしま逢瀬ワイナリーがワインに携わった目的をたどると、復興支援に行き着く。「困難な時代であっても、この土地で生まれ、この土地で成長し、この土地で羽ばたくワインを。

自分たちの子どもみたいにかわいがってほしい」というワイナリーメンバーの、祈りのような願いが詰まったワインだ。

▶ワインのこだわりも、ぶどうから

ふくしま逢瀬ワイナリーの、ワイン醸造におけるこだわりは大きくふたつある。まず農家と共に、ぶどうの品質にこだわり抜くこと。次に醸造タンクの温度管理へのこだわりだ。

ぶどうへのこだわりは、ワインへのこだわりに直結する。「ワインの出来、不出来はぶどうしだい。ぶどうの良さで8割9割が決まるともいわれています」と醸造責任者の佐々木さん。
そのため、まずは原料へのこだわりが第一だと考え「いいぶどうを育てる努力」を農家と一緒に試行錯誤しているという。

もうひとつのこだわり「醸造タンクの温度管理」について解説しよう。なんと、ふくしま逢瀬ワイナリーでは、醸造タンクを小分けにして、できる限り「農家別」「品種別」に醸造するスタイルをとっているのである。

小分けにする理由は、土壌やぶどうごとに、最適な醸造温度が異なるからだ。その年の味わいを100%引き出せるような造り方にこだわった結果、行き着いたのが小分けタンクによる醸造だったという。
「温度管理で健全な発酵を行って、味わいを100%引き出すのが最大の努力とこだわりですね」と佐々木さんは話す。

しかし、農家別・品種別でタンクを分けるのは、タンクの数が多くなってしまうという大変さもある。20本以上のタンクの温度管理を、同時平行して進めなくてはならないのだ。品種も違えば発酵温度も違うため、タンク1本1本を違う温度でコントロールしている。

手間と労力のかかっている小分けタンクの温度管理だが、そこには「タンクごとの発酵の違い」を見られる楽しさもある。佐々木さんは「この農家さんの畑でとれたこのぶどうは、こういう風に発酵しているんだ。
この品種は、こうやって発酵するんだと、毎年勉強しています」と話す。

ワイナリーメンバーのたゆまぬ努力があってこそ、地元ぶどうの魅力が凝縮したワインの一滴が生み出されているのだ。

▶1年として同じことが起きない、ワイン醸造の難しさ

ワイン造りの難しさについて聞くと「毎年違うことです」という答えが返ってきた。醸造責任者の佐々木さんは酒造りをして28年になるが、今までひとつとして同じものを造ったことがないのだという。

「お酒は、1年に1度しか造れません。今までにもたった28回しか造っていない。ひと苗ひと苗が、同じ品種とはいえ、違うぶどうなのです。ワイン造りにおいても、前の経験と同じことが今年には通用しない。そう思いながら毎年取り組んでいます」

去年の経験を生かせるとは限らない不安や怖さは、想像を絶するものだろう。1年1年を二度と取り戻せない貴重な経験として過ごすからこそ、ワインにその年その年の味わいが表現される。
ワイン造りの大変さと奥深さを感じさせる答えだった。

▶「おらげのワイン」を、地元郡山の人々に飲んでほしい

「まずは、福島県内、郡山の人に飲んでほしい」Vin de Ollage(ヴァン・ド・オラージュ)、おらげのワインという名前の通り、まずは地元のワインとして地元の人に愛されることが、ワイナリーメンバーの願いだ。

もちろん、福島ワインを広めるためには、県外の人にも楽しんでほしい。しかし、地元の人においしいと認めてもらい、地元の人から外に紹介してもらうのが一番だと考える。

福島県にはウイスキーの蒸留所、アサヒビールの工場もある。その上、日本酒が有名で、まさしくお酒の天国みたいな場所なのだとか。ワインもその受け皿になり、福島の酒産業を盛り上げる一因となれば嬉しいと話してくれた。

▶食前のシードルから食後のリキュールまで。ふくしま逢瀬ワイナリーの強み

ふくしま逢瀬ワイナリー独自の魅力は、大きくふたつある。ひとつは、福島ならではの果物の魅力が、質の高い洋酒で味わえること。もうひとつは、食前から食後まで、どんな場面でも楽しめるお酒の種類がそろっていることだ。
ふくしま逢瀬ワイナリーならではの魅力について、順に見ていきたい。

まず紹介したいのが、「福島ならではの果物の魅力」が存分に詰まった洋酒が楽しめること。「もも、なし、りんご」を原料としたお土産ワインは数多くあるが、「本格洋酒」を造れることが、ふくしま逢瀬ワイナリーの持つ強みだ。

特に、完熟した果物のうまみ表現には自信がある。りんごのレベルの高さは全国的にも知られており、りんごの発泡酒「シードル」は、国内でも非常に高い評価を得ている。

ふくしま逢瀬ワイナリーのシードルは、エレガントなスタイルが特徴で、アルコール11%の本格派だ。2020年フジ・シードル・チャレンジでは「CIDRE 2018」が最高賞を受賞している。日頃から洋酒をたしなむ人々にも、自信を持っておすすめできる一本だ。

もうひとつの魅力は、食前酒からハードリカーまでがそろう総合力。ふくしま逢瀬ワイナリーでは、ワイン醸造機器に留まらず「蒸留器」を完備している。

日本全国でも、蒸留までできるワイナリーは多くない。ふくしま逢瀬ワイナリーでは、福島県の名産である、ももやりんごを原料としたブランデーを造ることができるのだ。中でも、りんごのリキュール「OUSE POMME」は、「インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション(IWSC)2019」で世界最高得点を受賞している。

ふくしま逢瀬ワイナリーが造る蒸留酒の中には、まだ商品化されていないものもあるのだとか。今後を楽しみにしてほしいということだが、リリースの日が今から待ちきれない。

『地元と歩むふくしま逢瀬ワイナリーの未来』

ふくしま逢瀬ワイナリーの未来は、常に地元の未来と共にある。地元郡山市と生きる、ふくしま逢瀬ワイナリーの将来の展望についてのぞいてみよう。

▶福島オンリーワンのぶどうでワインを造りたい

ふくしま逢瀬ワイナリーの夢は「福島や東北のオンリーワン品種のワイン」を造ること。

醸造責任者の佐々木さんは言う。「山梨の『甲州』みたいに、郡山といえば「これ」というものを見いだしていきたいです。ゆくゆくは、世界に通用する地元品種でワインを造りたい。長い事業になるので、ずっと継続して目標に向かっていければ、と思っています」。

ふくしま逢瀬ワイナリーのワイン造りの歴史はまだまだ始まったばかり。地元の土地に合ったぶどう品種の研究は、これからも続いていく。

▶ふくしま逢瀬ワイナリーのチャレンジ、復興支援の終わりとは

復興支援からスタートしたワイナリー事業。その未来について、代表の河内さんに聞いた。「ある一定のところまで事業を走らせたら、その後は地元に移管することを考えています」ふくしま逢瀬ワイナリーが目指してきたのは、福島の農産品に付加価値を付け、東日本大震災の風評被害から脱することだ。

ワイナリーが描く未来図は、地元の人がワイナリーで働き、地元醸造家が活躍し、「日本酒の福島」のように、「ワイン造りの郡山」となることだ。
そのために、ふくしま逢瀬ワイナリーは「文化としてのワイン造り」を根付かせることを使命に、ワインを造り続ける。

「地元の力で、ここまで復興できたところを世界にアピールできたら。どんどん知名度を上げて、他のワイナリーさんからも、世界からも味を認めてもらうワイナリーにしていけたら」と決意を語る河内さん。
「おらげ」のワイナリーの未来は、地元産業の未来を優しく照らしている。

『まとめ』

ふくしま逢瀬ワイナリーは、東日本大震災の復興支援プロジェクトからスタートしたワイナリーだ。その視線は常に地元産業の未来にあり、福島、郡山のこれからについて、ワインを通して考え続ける。

食前酒にはシードルを、食事とはワインを、食後酒にはリキュールを。一度ワイナリーを訪れ、福島で生まれた果実の魅力を贅沢に味わってみてはいかがだろうか?「おらげ」の温かさが、ワイナリーに訪れた人を包んでくれるだろう。

基本情報

名称ふくしま逢瀬ワイナリー
所在地〒963-0213
福島県郡山市逢瀬町多田野郷士郷士2番地
アクセス郡山駅—国道4号線〜県道6号線を猪苗代湖方面へ 車で約30分 
東北自動車道—郡山南IC〜県道47号・55号・6号線を猪苗代湖方面へ 車で約20分
JR郡山駅西口バスターミナル「11番乗り場 麓山経由休石行き」乗車「逢瀬ワイナリー前」下車(大人800円、小人400円)
HPhttps://ousewinery.jp/

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