『ドメーヌ・イトウ』夢を叶えるため、ものづくりとしてのワイン造りに挑む

愛知県岡崎市で生食用品種を中心としたぶどうを育て、ワインを醸す「ドメーヌ・イトウ」。造り手のこだわりが散りばめられた、ドメーヌ・イトウのぶどう栽培とワイン造りには、「ものづくりの精神」が生きている。ぶどうが生育する仕組みや、醸造の仕組みを徹底的に考えたうえでワインを造り出しているのが特徴だ。

ドメーヌ・イトウの代表を務めるのは、伊藤隆さん。自分の夢を叶えるために、会社員として働きながら新規就農に向けて行動し、自らのワイナリーを設立した。伊藤さんは、なぜワイン造りの道に進むことを決意したのだろうか。

伊藤さんの夢とは、いったい何か?そして、どんな志を持ってワイン造りに励んでいるのだろうか?ドメーヌ・イトウが設立するまでの経緯と、ぶどう栽培・ワイン造りのこだわりを紐解いていきたい。

『ドメーヌ・イトウができるまで』

最初に見ていくのはドメーヌ・イトウが誕生するまでの物語。伊藤さんとワインとの出会いや、現在に至るまでのストーリーを紹介しよう。

伊藤さんとワインとの出会いは、偶然だったのか、それとも必然だったのか。まずは、ドメーヌ・イトウの現在につながるきっかけとなったエピソードを振り返ってみたい。

▶︎ワインとの出会い

伊藤さんの前職は、自動車関連の企業で働く会社員。愛知県で15年ほど自動車産業に関わってきた。ものづくりに興味があったために仕事として選んだ業界で、当時はワインとは無縁の生活を送っていたそうだ。

そんなとき、ひょんなことからワインとの出会いがやってきたという。この出会いが、ドメーヌ・イトウができる原点となった。

「あるとき、近所にワインのインポーターさんが経営する酒屋がオープンしたのです。無料の試飲会をするという話を聞きつけ、『ただ酒が飲める』というくらいの気軽な感じで酒屋を訪れたのがすべての始まりでした」。

伊藤さんが訪れたのは、シャルドネのワインの試飲会。10名程度の生産者のシャルドネのワインを飲み比べた伊藤さんは、大きな衝撃を受けた。

「同じ品種のぶどうから、それぞれに異なる特徴がある風味のワインを生み出せるのだということを初めて知りました。そのときまでワインに興味を持った経験がなかったので、本当に驚きましたね」。

▶︎ものづくりとしてのワイン

試飲会での経験が伊藤さんの心を動かしたのは、ワインが持つ「ものづくり」としての側面だった。もともと、生涯をかけてものづくりをしていきたいと考えてはいたが、当時の仕事には満足できない気持ちもあった。生産物に対して、造り手の思いを込められるものづくりを手がけたいと考えていたためだ。

「私の思いを込めることができるものづくりの、究極がワインなのだと確信したのです。あのとき試飲会に行かなかったら、私はワインの面白さに気づくことなく、今でも会社員として毎日を送っていたと思います。自分が今ワインを造っているなんて信じられない気持ちもありますが、ワインに出会えて本当によかったです」。

ワインの魅力に気づいた伊藤さん。自分でもワインを造りたいという思いが次第に大きくなってきた。周囲の人に相談したが、当初は伊藤さんが醸造家になることを反対する人も多かったという。ワインの歴史や文化を知らずに、ワイン造りなどできないと言われたこともあるそうだ。しかし、伊藤さんは自分の直感を信じていた。

「私の思い描く未来のベクトルは、常に『ものづくりで自分の思いを表現すること』に向いていました。だからこそ、自分自身の信念に基づいて動くことができたのです。『ワイン好きが高じてワインを造ることにした』という始まりではないので、自分でもちょっと異色の存在かなとは思います」と、明るく笑って話してくれた伊藤さん。自分が信じた道に悔いはないという、清々しい表情だ。

▶︎畑の取得、そしてワイン造りへ

ワイン造りを志した伊藤さん。会社勤めを続けながら、ぶどう栽培・ワイン造りの修行と、情報収集をかねた全国行脚を開始した。栽培醸造の経験をさせてくれる場所を探したり、生産者に話を聞きに行ったりと精力的に活動。長野のワイナリーで1年間ワイン造りの修行をさせてもらうことで経験値を上げることができた。

並行して、ぶどうを栽培する畑も探し始めた。ワイン造りが盛んな長野や山梨はもちろん、地元である愛知でも、ぶどう栽培ができそうな場所を探した。そして見つけたのが、愛知県岡崎市の生食用品種のぶどう畑。岡崎市は、愛知の中でもぶどうの生産量が多い地域だ。

「知り合いから紹介された畑は非常に条件がよく、管理をしていた方が高齢のために、引き継げる人を探しているということでした。50年以上もぶどう栽培をされていて、畑には収穫できる状態に管理されている樹がありました」。

岡崎市の畑を引き継ぐことに決めた伊藤さんは、2015年からぶどう栽培をスタートさせた。それから3年ほどは、生食用ぶどうを販売して生計を立てながら、農閑期には醸造技術向上のためにワイナリーに住み込みで研修を受けるという怒涛の日々を過ごした。毎年各地のワイナリーで醸造経験を積み、技術向上に励んだのだ。

▶︎周囲の人に支えられて

2015年以降、いくつものワイナリーで経験を積んできた伊藤さん。その際、大きな力になってくれた人物というのが、山梨市牧丘町にある「室伏ワイナリー」の小林剛士さんなのだとか。

実は、伊藤さんは山梨大学出身で、小林さんとは大学時代からの友人同士だ。醸造学科でワインを専門的に学んでいた小林さんとは対象的に、伊藤さんは当時ワインにはまったく興味がなかったという。「せっかく山梨大学に通っていたのに、今思えばもったいないことをしましたね」。

そんな伊藤さんが突然、「ワイン造りをしたい」と相談したのだから、小林さんは驚いた。最初は、急になにを言い出すんだと笑い飛ばされてしまったとか。しかし伊藤さんの熱意が伝わると、快く協力してくれることになったそうだ。

「2019年からは自社畑のぶどうで委託醸造を始めたのですが、委託先の『三養醸造』さんも、小林さんが紹介してくれました。三養醸造の山田社長と小林さんから直接指導してもらって醸造技術を学びつつ、自分のワインを造ることができたのです」。

愛知の畑で栽培したぶどうを収穫し、トラックに積んで山梨の委託先へ。そのまま1か月ほど山梨に滞在して醸造に明け暮れた。

「三養醸造の山田社長と小林さんには本当に助けていただき感謝しかありません。醸造機材を使って自分自身で実践しながら造らせてもらえたので、自分の技量を高めることができました。素晴らしいところで委託醸造できて、本当に運がよかったです」。

その後、2023年8月にはドメーヌ・イトウの自社醸造施設が完成。ようやく自社でワインを造るための環境が整った。

『ドメーヌ・イトウのぶどう栽培』

続いては、ドメーヌ・イトウのぶどう栽培について見ていきたい。ドメーヌ・イトウの自社畑は、生食用品種が栽培されてきた長い歴史を持つ土地だ。畑を引き継ぎ、生食用ぶどうを栽培しながら経験を積んできた伊藤さん。

生食用ぶどうの栽培経験から得たこと、栽培においてこだわっていることとは?ドメーヌ・イトウのぶどう栽培の秘密に迫っていこう。

▶︎栽培品種と、自社畑の特徴

ドメーヌ・イトウが自社畑で栽培しているメインの品種は「巨峰」で、全体の60%ほどを占める。次いで栽培量が多いのが、「ゴルビー」「ジャスミン」「シナノスマイル」といった生食用品種。その他、ごく少量のデラウェアとシャインマスカット、さらに、シャルドネやメルローといったワイン専用品種も育てている。

ドメーヌ・イトウの自社畑がある愛知県岡崎市の年間降水量は1200~1300mm程度。愛知県の中では雨が比較的少ないエリアだからこそ、古くからぶどう栽培がおこなわれてきたのだろう。ただし、台風の被害を受けることは多々あるため、台風シーズンの対策は必須だ。早めに対策を取ることで、ぶどうへの影響を最小限に抑える努力をしている。

畑の土は砂質土壌で、水はけは良好。更に風通しがよく水気が溜まりにくいため、病気が多発することは少ない。

「畑の周囲は住宅街で、もともと山だった場所なので、花崗岩がゴロゴロ出てきます。うちの畑の北側にも古い畑があり、風の通りはよいですね。ぶどうにとっては悪くない生育環境だと思っています」。

▶︎剪定作業へのこだわり

伊藤さんに、ぶどう栽培のこだわりについて尋ねてみた。

「ぶどうはすべて棚仕立てで栽培しており、一番のこだわりは『剪定作業』です。もっとも気をつかう部分ですね。また、化学肥料を使わず、農薬の使用量は最小限に抑えています。可能な限り早めに防除や笠かけをすることも意識しています」。

伊藤さんがこだわっているという剪定作業について、詳しく見ていこう。ドメーヌ・イトウでは、長梢剪定で自然形整枝という樹形に仕立てている。枝を切りすぎてしまうと樹形を大きくすることにエネルギーを使ってしまうため、房が小さくなってしまったり、種ができなかったりといった弊害が出てくる。そのため、適切な枝を正確に剪定する必要があり、高い栽培スキルが求められるという。

次の年にぶどうがどのように生育し、どんな房をつけるかは、冬の剪定の出来によってある程度決まる。冬の剪定はぶどうの成長を具体的に思い描きながら作業する必要があるので、常に緊張感を持って臨まなければならない。

「短梢剪定にすれば剪定作業にそこまで神経質になる必要もないのですが、ぶどうに青臭い香りが乗ることを避けるため、長梢剪定を採用しています。難しいと感じることもありますが、しっかりと管理できるだけの技術を身につけようと日々奮闘しています。技術を高めればよいぶどうを作れる可能性が高くなるので、頑張っていきたいですね」。

伊藤さんの言葉から感じられるものづくりへのこだわりには、ぶどう栽培を極めたいという強い熱意があふれていた。

▶︎生食用ぶどうとワイン用ぶどう

ドメーヌ・イトウでは、収穫したぶどうのうち3tをワイン用に、2tを生食用として栽培している。生食用ぶどうは、毎年直売所にて販売しているそうだ。

生食用とワイン用のぶどう栽培において異なる点や、両方を育てる利点などはあるのだろうか。

「生食用ぶどう栽培をしたことで感じた一番のメリットは、ぶどうについて深く理解できたことです。ぶどうの生育の仕組みをより詳しく知ることができました」。

例えば、近年の生食用ぶどうは「種なしぶどう」が主流となっているため、種なしにするには薬品を使って処理をする必要がある。そして、種無しにするための仕組みを学ぶ過程で、種ができるメカニズムなどを学んだことによって、ぶどう栽培における基礎をしっかりと身につけることができたのだという。

「ぶどうの休眠期について知ることで、剪定すべきタイミングがわかります。また、花芽はいつどこにできるのかなど、ぶどうの生育にまつわるすべてのことを突き詰めて考えることができたのは、生食用ぶどうの栽培を手がけたからこそだったと思います。おかげで、雨対策を実施する適切なタイミングなどのコツをつかむこともできました」。

さらに、生食用ぶどうを購入してくれるお客様に鍛えられた部分も大きいのだとか。直売所にぶどうを買いに来るお客様は「舌が肥えている」ため、買ったぶどうが美味しくなければ2度と来てくれなくなる。味にうるさい顧客を満足させる美味しいぶどうを作りたいと考えた伊藤さんは、ぶどう栽培に真剣に取り組み、試行錯誤を続けてきた。

「生食用ぶどうのみを作り続けた3年間があったからこそ、経験値を上げることができたと思います。品質を上げ、収量も確保できるようにと必死になったからこそ、今の自分があると感じています」。

喜びや悔しさなどのあらゆる経験を力に変えて、伊藤さんは自分の納得するぶどう栽培を貫いてきたのだ。

『ドメーヌ・イトウのワイン醸造』

続いては、ドメーヌ・イトウのワイン醸造にフォーカスしていこう。伊藤さんはどんなワインを目指し、どんなワイン造りをおこなっているのだろうか。

おすすめの銘柄も紹介するので、ドメーヌ・イトウのワインが気になる方は、ぜひチェックしてみて欲しい。

▶︎ワインは「タイムカプセル」

伊藤さんは、ワインのことを「タイムカプセル」だと表現する。ぶどうが育った年は「過去」、そして熟成した姿が「未来」だ。

「ワインを開けると、香りや風味を感じることで、『ぶどうが育ってきた過去』に戻ることができます。しかも、過去に戻れるだけでなく、『今このワインの状態からして、数年後にはこんなワインになっているだろうな』といった未来への期待や予測も込めることができます。私はワインに関する知識がまだ不足しているので、未来を的確に予測することは難しいですね。しかし、ぶどうが育ってきた過去を振り返ることはできます」。

そんな風に話してくれた伊藤さんが目指すのは、「夏場の収穫時期に、畑で感じたぶどうの味と香りを閉じ込めたワイン」。ワイン造りを志した当初からブレずに貫いてきた、ドメーヌ・イトウのコンセプトだ。

自分ならではのものづくりを実現するために、ぶどうとワインに真剣に向き合う。よいぶどうを作り、ぶどうそのままの味と香りを表現するために醸造技術を高めていくことを目標に据えつつ、自分の思いをワインに閉じ込めるのだ。

▶︎余分なものを加えず、ぶどうそのものを表現

ドメーヌ・イトウでは、ぶどうが持つポテンシャルを最大限に引き出す醸造手法をとっている。できる限り人の手を加えず、余分なものを加えない。ぶどうのよさを引き出すためのサポートに徹するのが、醸造におけるこだわりだ。

「補糖や補酸はおこないませんし、フィルターをかけてクリアなワインにすることもありません。最後の異物除去は実施しますが、ぶどうが本来持っているものを濾し取らないように気をつけています」。

自然派に近い造りのナチュラルな味わいを、ゆっくりと楽しんでみたい。

▶︎「HANAMUSUBI 白」

ドメーヌ・イトウの定番銘柄に、「HANAMUSUBI(はなむすび) 白」がある。自社圃場のぶどう複数品種をブレンドした白ワインだ。「HANAMUSUBI 白」は、2023年にオランダに輸出し、現地で好評を博した銘柄だという。

「ヨーロッパでブームとなっている日本食に合わせるワインとして、『HANAMUSUBI 白』を気に入っていただけたようです。追加注文もいただき、日本だけではなくヨーロッパの方にも好まれたという点がとても自信になりましたね」。

「HANAMUSUBI 白」の特徴を見ていこう。ブレンドのうち50%は巨峰、40%はゴルビーやジャスミンなどの果皮が赤い品種で、残りはシャルドネなどを使用。

桃や花梨のような甘い香りと、ほんのりと感じられる苦味が魅力だ。ほろ苦さは和食との相性が抜群であり、生魚との組み合わせもおすすめだという。オランダでも、刺し身や麺類との組み合わせが楽しまれているのだとか。

「特徴的な苦味の原因のひとつは、おそらく『ジャスミン』由来だと思われます。『ジャスミン』は、熟すと苦味が出やすい品種なのです。常温で楽しんでいただくと苦味が和らぎます。また、抜栓して3日目くらいが一番美味しく感じられるので、早く飲みたい場合はデキャンタージュするのもおすすめですよ」。

エチケットのデザインは、着物の和柄を組み合わせたもの。伊藤さんの妻の実家が着物の染色業をしていたことから、着想を得たのだという。着物の柄をいくつか選んで組み合わせ、その上に縁結びを意味する紅白の水引を配置。縁が繋がり、人から人へワインがすすめられ広がっていくようにとの願いが込められている。

「最初は輸出のことなど考えていなかったので、冗談で『外国の方にも和風な感じを喜んでもらえるかも』なんて話をしていたら、本当に輸出することになり、気に入ってもらえたのでよかったです。ただし、海外進出を積極的に推し進めたいという考えがあるわけではないので、これからも夏のぶどうの香りを閉じ込めたワインを造ることだけを大切にしていきたいですね」。

▶︎食事が楽しくなるワイン

ドメーヌ・イトウのワインは、「ワインを敬遠している人」にこそ飲んで欲しい。なぜなら、造り手が「食事が楽しくなるワイン」を目指して造ったワインだからだ。

「ワインは高級で手が出ないものという印象を変え、デイリーワインとして、普段の食卓で楽しんでもらえれば嬉しいですね。私が作ったワインを食事とともに味わうことで、食事をさらに楽しんでいただきたいです」。

伊藤さんがワインを造るときには、「少し子供が大きくなった子育て世代の食卓」をターゲットとして想定することが多いという。ゆったりした、楽しい食卓への願いを込めて。伊藤さんの魂がこもった作品は、食卓を優しく彩る「楽しいお酒」なのだ。

『ドメーヌ・イトウの未来』

最後に、ドメーヌ・イトウが思い描く未来について触れておきたい。伊藤さんはこれからどんなワイン造りをおこない、どんなワイナリー運営を目指すのだろうか。

ぶどう栽培における直近での目標と、ものづくりとしてのワイン造りに対する思いを紹介しよう。

▶︎ワイン専用品種の栽培を増やす

ドメーヌ・イトウの今後のぶどう栽培の目標は、ワイン専用品種を増やすこと。具体的に考えているのは、近年日本で実績を上げているプティ・マンサンやプティ・ヴェルド、アルバリーニョ品種などの植栽を検討しているという。

現在は生食用品種をメインに使っているが、ワイン専用品種がラインナップに加われば、ドメーヌ・イトウのワインをより広い層に訴求できるだろう。今後、さらにたくさんの人に飲んでもらえるワイン造りをしていきたいと考えている伊藤さん。

数年後のドメーヌ・イトウでどのようなぶどう栽培がおこなわれているか、楽しみにしたい。

▶︎強みを生かしてものづくりを追求

ドメーヌ・イトウの強みについて、伊藤さんは次のように話してくれた。

「この地域では珍しく、自然派に近いワイン造りをしていることと、ものづくりの視点でワイン造りをしていることが強みだと思っています。特に、ものづくりをしたくてワイン造りをスタートさせた点は、ドメーヌ・イトウならではの強みだといえるでしょう。何か問題が発生した場合でも、原因を考えて、対策を実行出来るという、『ものづくりの思考回路』に基づいたワイン造りをしています」。

造り手の思いを込めたワインを造ることをさらに突き詰め、ドメーヌ・イトウはこれからも、ものづくりとしてのワイン醸造を追求していく。

『まとめ』

伊藤さんにとってワインとは、「思いを実現できるものであり、自分をより高みに引き上げてくれる存在」だという。

実は、伊藤さんの母は病気のために若くして亡くなった。さらに、大病を患って長い闘病生活を送る父の姿も見てきたという伊藤さん。そんな両親から生まれた自分に長寿は望めないかもしれないと、生き方について真剣に考えたときに、偶然出会ったのがワインだったのだ。

「人生50年と考えた時に、自分は何を叶えたいかと考えて、なりたい自分になるためにワイン造りを志しました。がむしゃらに突き進んだ結果、50歳までにワインを造りたいという目標が達成でき、ワイナリーまで建てることができました。本当に満足しています」。

造り手の思いを色濃く反映できる、ものづくりのひとつの形としてのワイン。伊藤さんはこれからも岡崎の地で、魂を込めたワインを造り続ける。

基本情報

名称ドメーヌ・イトウ
所在地〒444-2111 
愛知県岡崎市西阿知和町字下山ノ田30-16
アクセスhttps://domaineito.com
HPhttps://domaineito.com

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