『7c | seven cedars winery(セブン シダーズ ワイナリー)』生産者に光を当てたワイン造りで、新たな価値を創造する

日本ワインの一大産地である山梨県では、さまざまなエリアでぶどう栽培が盛んにおこなわれている。だが、実はこれまであまりぶどう栽培と縁がなかった土地もある。そのうちのひとつが、河口湖周辺だ。

今回紹介するのは、山梨県南都留郡富士河口湖町にオープンした「7c | seven cedars winery(セブンシダーズワイナリー)」。河口湖のほとりにできた新たなスポット、「旅の駅 kawaguchiko base」隣設ワイナリーだ。

「セブン=7」「シダーズ=杉」というワイナリー名は、富士河口湖町にある河口浅間神社の境内にある七本杉に由来する。地域に根ざし、長く親しまれてきた存在にあやかり、長く愛されるワイナリーになるようにとの思いが込められているのだ。

山梨の新しいぶどう産地である河口湖のテロワールを追求し、生産者にスポットを当てるという新しいコンセプトを掲げるセブンシダーズワイナリー。設立までの経緯と、ぶどう栽培・ワイン醸造におけるこだわりについて、栽培・醸造責任者を務める鷹野ひろ子さんにお話を伺った。

興味深いエピソードをたくさん聞くことができたので、余すことなく紹介していきたい。

『セブンシダーズワイナリー 誕生までの道のり』

セブンシダーズワイナリーの経営母体は、富士河口湖町を拠点に宿泊施設運営をおこなう「株式会社 大伴(おおとも)リゾート」。大伴リゾートにとって、ワイナリー運営は初の取り組みだ。なぜワイナリー事業をスタートさせることになったのだろうか。

セブンシダーズワイナリーが誕生することになったきっかけと、設立までの経緯を振り返ってみよう。

▶︎「旅の駅」構想と、ワイナリー設立計画

大伴リゾートのオーナーである伴一訓さんは、先代から事業を引き継いだ際に、新規事業をスタートさせることにした。手がけることにしたのは、地域密着型の大型観光施設「旅の駅」を造る計画だ。

2022年6月、河口湖エリアにオープンした「旅の駅 kawaguchiko base」は、物販店舗及びレストランを併設した複合型の商業施設。地元で獲れた新鮮な野菜や果物、地域の名産品やオリジナル商品を販売している。レストランや宿泊施設も併設し、さらに河口湖エリアで初めてのワイナリーも設立することになったのだ。

ワイン好きだった伴夫妻は当初、「旅の駅」に「山梨特産ワインのセラーコーナー」を作ろうと企画していた。どこよりも充実した山梨ワインのラインナップを取り揃えて、日本ワインの銘醸地である山梨の魅力を発信しようと考えた。

だが、企画を進めるなかで芽生えてきたのは、「既製品を販売するだけでなく、より地域に根ざした取り組みができないか?」という思い。そして、さまざまな可能性を検討するうちに、自社でぶどう栽培とワイン造りに挑戦することを決意したのだ。

▶︎鷹野さんの決心

ぶどう栽培とワイン醸造を新たにスタートさせるにあたり、ワイン造りのパートナーとして伴さんが声をかけた人物が、山梨県内のワインメーカーで醸造家として活躍してきた経歴を持つ鷹野ひろ子さんだった。

鷹野さんは、山梨大学工学部発酵生産学科で学び、卒業後はワイナリー勤務やワイン講師として活躍してきたプロフェッショナルだ。

鷹野さんが伴夫妻と出会ったのは、「旅の駅」設立のプロジェクトが進行しているときのことだった。ワイン好きの伴夫妻と鷹野さんはすぐに意気投合し、一緒にワインを飲む仲になったという。

「ワイナリーの責任者として声をかけていただいた時は、とても驚きました。実は、ちょうど前職を辞めると決めたばかりのタイミングでしたので、運命を感じました。引き受けるかどうか迷いましたが、家族や周囲の人に背中を押してもらい決意したのです」。

2021年の秋に大伴リゾートに入社した鷹野さん。伴さんと共に、セブンシダーズワイナリー立ち上げに向けて動き出した。

▶︎セブンシダーズワイナリーの誕生

「ワイナリー設立の企画がスタートしてからは、何もかもがものすごい勢いで進み出しました。オープン予定まではわずか1年半しかない中、怒涛の日々でしたね」。

まず取り掛かったのは、ワイナリーのコンセプト造りだった。伴さんが提案したテーマは、「河口湖でぶどう栽培をすること」。そして、鷹野さんの要望は「生産者に光を当てたワイン造りをすること」。これらを軸に、ワイナリーを造ることが決定した。

「ワイン造りというと、一般的には醸造家が光を浴びがちですが、実はぶどう農家さんあってのワインです。そのため、生産者が表に出て行けるようなワイン造りをしたいと考えたのです」。

並行して、自社畑として使用する土地を探したが、河口湖周辺エリアでの畑探しは想像以上に難航した。町内の耕作放棄地は、果樹ではなく水田や畑として使われていた土地ばかり。米や野菜を栽培する場合には数年単位での借用が可能なため、何十年という長期間の借用は難しいと断られることが多かったのだ。

だが、畑が決まらないからといって、苗の購入を先延ばしにすることはできない。苗木商に苗を発注しても、すぐに入手できるわけではないからだ。そのため、使える畑が未決定だったにもかかわらず、見切り発進で苗を発注して準備を進めるしかなかった。候補地は二転三転し、畑として使える土地がようやく確保できたのは、2021年9月になってからだった。

ワイナリーを無事オープンさせるためには、醸造所兼ショップの準備ももちろん必要だ。着工したのは2022年3月で、建物の完成と引き渡しは7月。大急ぎで醸造設備を整え、8月には醸造免許を取得。なんと、免許取得の翌日には仕込みをスタートさせたというのだから驚いてしまう。

「あれほどの短期間でワイナリー開業に無事こぎ着けることができたのは、周囲の方のご協力があってこそです。例えば建設会社の方とは、着工のゴーサインが出たら一気に完成まで持っていけるようにと、毎週のように打ち合わせを重ねました。関係者の皆さんが協力してくださって、本当に助かりました」。

そして2022年8月、河口湖の新たなスポットである「旅の駅 kawaguchiko base」のすぐ隣に、セブンシダーズワイナリーがオープンしたのだ。

『河口湖のテロワールを見極める セブンシダーズワイナリーのぶどう栽培』

続いては、セブンシダーズワイナリーが自社畑でおこなっているぶどう栽培について紹介したい。

河口湖周辺は冷涼な地域のため、かつてはぶどうの栽培適地ではなかったエリアだ。しかし現在では温暖化の影響もあり、ぶどう栽培が可能な場所に変貌を遂げた。

そんな新しい産地としての可能性を秘めている土地で、セブンシダーズワイナリーはどんな栽培管理をしているのだろうか。

▶︎ひとつの畑から、ひとつのワインを 4つの畑の特徴

セブンシダーズワイナリーの自社畑は富士河口湖町内の4か所に点在しており、現在のところ広さは合計1.1ha。フィールドブレンドのワインを造るため、畑ごとに異なる品種を植栽していて、4つの畑のうち赤ワイン用と白ワイン用の畑が2か所ずつある。それぞれの畑について見ていこう。

ひとつ目の畑ではシャルドネを栽培。鷹野さんはこの畑を、スパークリングワイン用にしたいと考えている。

もうひとつの白ワイン用畑は、ソーヴィニヨン・ブランとプティ・マンサン、少量のケルナーが植えられている。

「富士河口湖町は、ぶどう栽培の歴史がなかった地域です。そのため、この土地に適合する品種を探るために複数の品種を植えました。また、冷涼な気候に合う品種であることも、選定時に重視したポイントです。自社畑の標高は850mほどで、冷涼な地域の場合には晩熟の品種だとうまく熟さない可能性が出てくるため、晩熟すぎる品種は避けました」。

一方、赤ワイン用の畑は、ひとつがメルローとプティ・ヴェルド、もうひとつがピノ・ノワール。これら4つのエリアのぶどうから、個性豊かな4種類のワインが生まれるのだ。

▶︎エリアごとに異なる土壌

セブンシダーズワイナリーの自社畑は、特徴を探り土壌への調整を加えている最中だ。

「4つのエリアのうち、シャルドネの畑とメルロー、プティ・ヴェウドの畑は元・水田で、残りの畑は野菜畑だった土地です。エリアごとに土壌の性質が異なることを実感しています」。

まずは、水田だった土地の特徴を見ていきたい。開墾前は水田特有の水が抜けない硬い「鋤床層(すきどこそう)」があり、粘土質の表土だったため、そのまま苗を植えることはできなかった。そのため、重機を使って深く土の上下を入れ替え、土質の改善を図った。すると、水はけが劇的に改善したという。実は、水はけの悪い粘土質の下は、ゴロゴロとした石がたくさん含まれた轢(れき)質の土壌だったからだ。表土から80cmほど掘り返すことで粘土質と礫質がほどよく混ざり合い、雨の直後でも畑に入れるほどに水はけが改善された。

粘土質の下に礫質が広がっていたのは、度重なる川の氾濫により流れ込んだ土砂のため。つまり畑から出土した礫は、川からの土砂が堆積したものなのだ。

ここで、畑を造成していた時のエピソードをひとつ紹介したい。畑を大規模に掘り返したことで土質は改善されたが、大変なのはその後だった。出土した比較的大きめな石を、すべて手作業で除去しなくてはならなかったのだ。

「畑に石をそのまま残すと、植栽後に草刈り機などの機械を入れることができません。そのため、地中から出てきた石をひとつひとつ手で拾って、畑の周りに掘った穴に入れていくという地道な作業を3か月かけておこないました。まるで、古代のピラミッドをつくらされている奴隷みたいな気分でしたね」。

当時を思い出して朗らかに笑う鷹野さんだが、相当大変な作業だったことが伺える。地元の人から、ねぎらいの声をかけてもらったことが励みになったそうだ。

▶︎今後の目標は団粒構造化

続いては、もともと野菜畑だった畑の特徴と、土壌改良における工夫を紹介しよう。

野菜畑だった土地は水田とは異なり、サラサラした性質を持つ砂壌土(さじょうど)だ。ふかふかで柔らかく作業のしやすい畑ではあるが、鷹野さんとしては、もう少し粘土質の「団粒構造化」を進めたいと考えている。

団粒構造とは、土の粒子同士が程よくくっつき合い、団子状の粒を形成した状態のことを指す。粒の間に隙間が生まれることで水はけや通気性がよくなり、根が生育しやすい土中環境になる。土中の微生物を増やすことで土は自然と団粒構造を形成していくため、「団粒構造化」には、微生物の働きが不可欠だ。

鷹野さんが団粒構造化を進めたいと考えている理由は、畑の下層部にある。砂壌土の50cmほど下の層には目の詰まった赤土層があり、非常に固く水はけが悪く、冷たい。元・水田の畑よりも、こちらの方をむしろ問題視しているという。

「今後は土中の微生物を増やして、土の団粒構造化を進めていきたいと考えています。具体的には、炭水化物系の堆肥を中心に、有用微生物が増えるような施肥をしていきます。土壌に足りないものは少しずつ補い、ぶどうの根が育ちやすいように調整していくつもりです」。

セブンシダーズワイナリーの自社畑では、土壌分析を実施した結果、全てのエリアで窒素と鉄分が乏しいことがわかったという。今は足りないものを補う段階のため、必要な成分をきちんと把握し、植物が健全に育つ環境を整えていく。急激に土を変えないように留意しつつ、区画ごとの特性を見ながら、自然な栽培に移行できるように調整しているのだ。

「栄養分のやり過ぎはぶどうにとってもよくないので、少し足りないくらいのイメージで、様子をみながら実施していきます」。

セブンシダーズワイナリーのぶどう栽培はまだ始まったばかり。初収穫に向けて試行錯誤を繰り返していく。

▶︎理想を目指し現実を乗り越える

なるべく自然に近い環境でのぶどう栽培を目指すセブンシダーズワイナリーでは、草生栽培を導入し、薬剤の使用量も可能な限り抑えている。草生栽培をおこなうため、畑には数種類の草の種子をまいた。マメ科のクローバーなどは、土の中に窒素を固定する働きを持ち、緑肥としての効果が期待できるためだ。

河口湖周辺エリアでのぶどう栽培は苦労も多い。栽培をスタートさせた当初、完全有機栽培を試みた鷹野さん。だが、虫害という壁が立ちふさがったのだ。

「最初は、有機仕様で栽培して、自然の成り行きを見ようと考えました。このエリアで、ぶどうがどんな風に育つのかを知りたいという思いがあったのです。しかし、蓋を開けてみると、毎日があらゆる虫との戦いでした」。

殺虫剤を使用しない場合、発生した虫は手で捕まえて取り除くしかない。取っても取っても追いつかず、畑を一周して同じ場所に戻ると、また虫がいる。新梢や葉がどんどんかじられ、樹が弱ってしまう危険性が出てきた。

そこで鷹野さんはぶどうの樹が健全に成長することを優先し、薬剤での防除に踏み切った。その後、苗は順調に生育した。

「河口湖周辺は標高が高く、積雪のない地域です。冬季には気温が低くなるため、冬を乗り切れるだけの強い苗を育てる必要がありました。もう少し畑の環境を整えて、有機栽培実現の可能性を模索していきたいです」。

▶︎気候の変動を実感

数十年前の河口湖付近は、ぶどう栽培には向かない場所だった。冬は氷点下まで気温が下がり、河口湖全体は氷に覆われた。また、雪が少ないため地表が保温されず、ぶどうの越冬はほとんど叶わなかったそうだ。

しかし近年、気候は劇的に変化。湖は冬季でも全面結氷はなくなり、ぶどうの越冬が可能な気候になってきたのだ。

一方で、夏から秋の気温は寒暖差が大きく、夏にも夜温がしっかりと下がることから、ぶどう栽培に適した環境だ。カラッとした風が通ることも、ぶどうを栽培する上では嬉しいポイントだという。

「風があらゆる方角から吹くのが河口湖エリアの特徴です。山からの吹き下ろしだけでなく湖方面など、さまざまな方向からの風が吹きますね」。

ただし、気温が上昇してきたとはいえ、冬の寒さに対する対策は現在も欠かせない。セブンシダーズワイナリーでは、寒さが厳しくなる前に、全ての苗に藁(わら)を巻き付けて保温している。2022〜2023年にかけての冬には数日の大寒波に襲われたものの、藁のおかげで大きな被害を免れた。

気候の変動と共に、日本におけるぶどうの栽培適地はこれからも変わっていくだろう。あと10年もしたら、河口湖周辺が一大ぶどう産地として変貌を遂げているかもしれない。

『セブンシダーズワイナリーのワイン醸造』

セブンシダーズワイナリーでは、自社畑のぶどうはまだ収穫に至っていないため、契約農家が栽培した買いぶどうを使ってワインを醸造。契約農家は13軒で、収穫したぶどうは24時間以内に醸造を開始するのがこだわりだ。

2022〜2023年に醸造したワインの特徴と、醸造方針や造り手のこだわりを探っていきたい。

▶︎セブンシダーズワイナリーの醸造方針

セブンシダーズワイナリーでは、あえて「ゴールを定めない」ワイン造りをしている。あくまでも、「ぶどうありき」のワイン造りなのだ。まず生産者の元を訪れ、その年のぶどうの品質を直接見てから、ぶどうの個性を生かせるワインを造るための醸造法を組み立てていく。

「農家さんが作ってくださったぶどうのよさを、しっかりと表現することを一番に考えています。ぶどうのポテンシャルと個性を生かすため、どんなワインにするかを先に決めることはしません」。

鷹野さんが心がけているのは、とにかく臨機応変に対応すること。酸が強めのぶどうの場合はスパークリングワイン、糖と酸のバランスがよいなら樽を使って味わいに厚みを出すなど、ぶどうの特徴を引き立てる造りを目指す。素直な味わいのぶどうなら、タンクで発酵・熟成して、クリーンなワインを造ることもある。

「熟度が高くて酸が落ちているなら、芳醇な香りを生かすために皮ごと醸して熟した成分を引き出すなど、ぶどうごとにイメージを膨らませてワインを造っていきます。非常に楽しい作業ですよ」。

▶︎ぶどうファーストのワイン造り

ぶどうを実際に見てからどんなワインを造るかを決めるセブンシダーズワイナリーでは、年ごとに味わいはもちろん、製品構成や内容まで異なるのが特徴だ。鷹野さんたちは、あえて前回の醸造のことを意識しないように取り組んでいるそうだ。

そんなセブンシダーズワイナリーの醸造方針がわかる例を紹介したい。2022年に醸造されたデラウェアのワインだ。

「2022年のデラウェアは、スパークリングワインにしました。収穫時期をずらして、味わいのバランスがよくなる工夫をしたのです。早くに完売しており、お客様からの評判もよかったので、普通なら翌年も同じような造りにするでしょうね」。

だが、2023年のデラウェアは、前年に比べて全体の糖度が非常に高く、しっかりと熟した果実が収穫できた。そのため、スパークリングワインではなく、醸し発酵のスティルワインに向けたのだ。2023年のデラウェアのよさを生かすには、スパークリングより醸し発酵が合っていると判断したためだ。2022年ヴィンテージで大人気だったスパークリングワインを造らないという判断は、周囲を驚かせた。

だが鷹野さんは、「2023年のデラウェアは、スパークリングワインになるべきぶどうではなかったのです」と言い切る。そんな大胆な決断ができるのは、個々のぶどうと全力で向き合っているからなのだろう。

ヴィンテージごとに、どんなワインがリリースされるかわからないことは、周囲を戸惑わせるかもしれない。一方で、何ができるかわからないドキドキを、とても楽しみにしてくれる人もいるのだとか。

「ぶどうを見てからどんなワインにするのかを決めるというスタイルは、これからも貫いていきたいですね。私共のこだわりを受け入れてくださるお客様やオーナーに感謝しています」。

セブンシダーズワイナリーの造り手から感じるのは、生産者やぶどうへの確かな愛情だ。そんな造り手が手がけるワインだからこそ、誰もが応援したくなってしまうのではないだろうか。

ひとつの銘柄につき、だいたい2軒の農家のぶどうを使用しているというセブンシダーズワイナリーのワイン。異なる生産者のワインをブレンドするとき、以前は「短所を補う」ことを考えていたという。だが、鷹野さんが今意識しているのは「同類の個性をかけ合わせる」ことだ。

フルーティーなワインには、フルーティーなワインを。特徴的な部分に着目して同じ性質を組み合わせれば、個性が明確に表現できる。

「生産者の個性と、ぶどうの個性を消さないワインにしたいですね。せっかく出ているよい特徴を、十分に生かせるように造っています」。

▶︎私たちの思いを知ってほしい セブンシダーズワイナリーの楽しみ方

セブンシダーズワイナリーでは、特にターゲット層は設けていない。ただし、「コンセプトを知った上でワインを飲んでもらいたい」と考えているそうだ。

生産者やぶどう、どのような造りなのかを知ったうえでワインを楽しんでほしい。そこで、製品が生まれた背景を知ってもらえるような取り組みもおこなっている。

「エチケットには、栽培した方の氏名や、使っているぶどうとブレンドの割合などを明記しています。また、QRコードを読み取って、より詳しい情報を確認していただくことも可能ですよ。年齢や性別に関係なく、いろいろな方に飲んでいただけたら嬉しいですね」。

セブンシダーズワイナリーのコンセプトを知ると、毎年違った特徴を持つワインが生まれることも、さらに楽しみになるだろう。

『ワインを楽しむ「空間」を提供できる場に セブンシダーズワイナリーの未来』

最後のテーマは、セブンシダーズワイナリーの未来について。今後、新しい施設や設備のオープンを控えているため、さらに新たな楽しみ方が可能になるそうだ。
セブンシダーズワイナリーを訪問することで、何が体験できるのか、どんな時間を過ごせるのか。未来の姿を少しだけ覗いてみたい。

▶︎お客様により一層楽しんでもらいたい

セブンシダーズワイナリーを運営する大伴リゾートは、「カントリーコテージban」や「旅の駅 kawaguchiko base」などの宿泊施設や、レストランも運営している。そのため、宿泊や滞在、食事などを通して、あらゆる角度からワインを楽しんでもらいたいと考えているのだ。

「醸造コンセプトを楽しんでほしいという『ワイン造り』に対する思いと同じくらい、ワインを楽しむ時間そのものを満喫していただきたいと考えています」。

セブンシダーズワイナリーのストアには、スタイリッシュなインテリアで統一したラウンジが併設されている。ぶどう畑を見ながらワインをテイスティングし、ゆったりとした雰囲気の中でワインを楽しむことが可能だ。

また、今後はワイン好きなお客様にフォーカスした宿泊にも力を入れていく予定だという。ワイナリーストアの裏手には、「7c villa & winery」と称する宿泊施設を10室建設中で、2024年夏にオープン予定。

「週末を使って、のんびりとワインを楽しむためだけにヴィラに宿泊していただくのもよいでしょう。夜にはラウンジで宿泊者向けのイベントを開催したり、ワイングラスを傾けながら一緒にお話をしたりする予定です。完成を楽しみにお待ちください」。

「旅の駅」にはドッグランもあるため、愛犬を連れの訪問客も多いのだとか。テラス席では、ペットと一緒に食事やワインを楽しむこともできる。

ヴィラの使い方は無限大。セブンシダーズワイナリーは、ここにしかない時間の流れや雰囲気、ワインを取り巻く環境すべてを満喫できる場所なのだ。

『まとめ』

これまで醸造家として、満足のいくワインを造ることに全力を注いできた鷹野さん。もちろん、これからも自分自身が納得できる品質のワイン醸造を目指すが、同時に「楽しむこと」も大切にしたいという。

「セブンシダーズワイナリーでの毎日は、私のワイン人生の集大成なのです。『生産者に光を当てる』というワイナリーのコンセプトを大切にしつつ、自分自身も楽しみながらワインを造っていきたいですね。そして、さらなるワインの楽しみ方をお客さまに提供できるワイナリーにしていきます」。

そんな鷹野さんが何度も口にするのは、生産者への尊敬と感謝だ。

「畑を守って引き継いでいくのは、とても大変なことなのです。何代も土地を守ってきた生産者さんたちは、自分の土地の性質を誰よりもよくわかっています。場所ごとに違う細かな栽培のコツや工夫は、書物では学ぶことができない大切な情報です。長い経験を生かした栽培管理から学ぶことも多いですし、心から信頼しています」。

ワインが出来上がると、必ず生産者に届けることにしているという鷹野さん。みなさん、いつもすごく喜んでくださるんです、と目尻を下げる。

湖畔の爽やかな風が吹き抜けるセブンシダーズワイナリーに直接足を運べば、ワインに込めた思いとコンセプトに、より共感できるだろう。富士山を臨む豊かな自然のなかで、洗練された「ワイン時間」を満喫してほしい。

基本情報

名称seven cedars winery(セブンシダーズワイナリー)
所在地〒401-0304
山梨県南都留郡富士河口湖町河口513-5
アクセスJR河口湖駅からタクシー10分
最寄りインター:富士吉田西桂スマートIC、富士吉田忍野スマートIC
HP7cwinery.com

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