こんにちは、宮坂佳奈です!
ワインテイスティングに関する前回までの記事は読んでいただけましたか?まだの方は、お時間のあるときにぜひご確認いただければ嬉しいです!
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今回テイスティングコメントを紹介するワインは、長野県「はすみふぁーむ&ワイナリー」の「千曲川ワインバレーシリーズ ピノ・ノワール2020」です。
まずは、ワイナリーとワインについて紹介します。「Terroir.media」には、「はすみふぁーむ&ワイナリー」の紹介記事と追跡記事を掲載していますので、ぜひあわせてご覧ください!
▶ワイナリー紹介
「はすみふぁーむ&ワイナリー」は、日本における重要なワイン産地である長野県東御(とうみ)市にある。
2005年に「日本一小さなワイナリー」としてスタートしたワイナリーだ。アメリカ・メジャーリーグの球団職員からワインの造り手に転向したという、異色の経歴を持つオーナー蓮見喜昭さんが立ち上げた。
はすみふぁーむ&ワイナリーは規模こそ小さいが、造るワインは本物。自社畑で草生栽培するぶどうは、すべてワイン用ぶどう品種だ。造り手は、栽培作業のひとつひとつについて徹底的に考え抜き、日々ぶどうに対し真剣に向きあっている。
高品質なぶどうから生まれたワインは、辛口の仕上がりだ。「アメリカンスタイルのピノ・ノワール」を目指しているのが、ワイナリーならではのこだわりのひとつだ。樽にアメリカンオークを使用しており、フレンチオークが主流の一般的なワイナリーとは異なる。
はすみふぁーむ&ワイナリーは独自の価値観を持ち、よりよいワイン造りに向けてチャレンジを続けている。
▶ワイン紹介
千曲川ワインバレーシリーズ ピノ・ノワール2020
【品種】ピノ・ノワール
【アルコール】12%
【内容量】750ml
はすみふぁーむのプレミアムワインの千曲川ワインバレーシリーズの中でも人気ナンバー1ワイン、ピノ・ノワール2020がリリース。雨が多く厳しいシーズンでしたが、スタッフ一丸となって丁寧に仕上げたワイン。野生酵母で発酵、オーク樽で熟成、そして心地よい酸が絶妙のワインに仕上がりました。生産本数が少ないビンテージとなっておりますのでお早めにどうぞ。
公式サイトより引用
今回のワイン会では、千曲川ワインバレーシリーズ ピノ・ノワール2020を冷蔵庫で30分ほど冷やしてから提供しました。冷やし過ぎると酸が際立ってしまうので、冷蔵庫から出すタイミングを忘れないでくださいね。
▶ピノ・ノワールとはどんな品種?
フランスのブルゴーニュ地方が原産のピノ・ノワールは、4世紀ごろから栽培されていたという記録もあるほど、歴史あるぶどう品種です。
ピノ・ノワールの一番の特徴は、なんといっても「芳醇な香り」です!バラやスミレなど華やかな花の香り、ベリーなどの赤い果実の香り。ピノ・ノワールの香りは、どれだけの言葉を使っても表現し尽くせないといわれるほど。「官能的」「妖艶」といった言葉も使われ、「高貴なぶどう」といわれています。
赤ワインとしては色調が淡いのも特徴で、「ルビー」や「ガーネット」などの宝石の色に例えられます。
比較的タンニンは少なめで、酸はしっかり。繊細な味わいのワインです。
ポテンシャルの高いぶどう品種といわれる反面、皮が薄いため病気になりやすく、栽培が難しいため、農家泣かせのぶどう、と呼ばれることも。
また、突然変異を起こしやすいぶどう品種でもあります。「ピノ・グリ」や「ピノ・ブラン」など、「ピノ」がつく品種はピノ・ノワールが突然変異した品種なんですって!
芽吹きが早く早熟なピノ・ノワールは生育期が短く、冷涼な場所でしかうまく育たない傾向があります。
細部まで手をかけなければ素晴らしいワインができない点も、「高貴なぶどう」といわれるゆえんなのです。
高温多湿の日本では栽培が難しいといわれる品種ですが、きめ細やかな対応をしている生産者の努力のおかげで、日本のピノ・ノワールの進化はとどまることを知りません。現在では長野県や北海道で多く栽培されています。
長野県東御市で栽培されたピノ・ノワールを使った千曲川ワインバレーシリーズ ピノ・ノワール2020。早速試飲してみたいと思います!
▶ワイン会参加者の声
参加者の皆さまの感想を紹介します!
確かに、梅やプラムのような酸味、風味を感じました!日本のピノ・ノワールは「梅カツオのような香り」と表現されることがあるんですよ。今回提供した牛のローストとは相性抜群、ローストビーフにもぴったりですね。
キノコ独特の香りと旨味が、千曲川ワインバレーシリーズ ピノ・ノワール2020とマッチしたのだと思います。ピノ・ノワールの香りはびっくりするほど豊かで、湿った森の中のような香りも感じました。ピノ・ノワールを飲む時には、ぜひ香りを嗅いで、感じたままを言葉で表現してみてください!
キイチゴのような赤い果実の香りも感じました!グラスに注いでから少し温まると、より香りも際立ちますね。ワインを飲む時にはぜひ、時間の経過と共に感じる変化も楽しんでみてください。
2020年ヴィンテージのワインなので、フレッシュ感も溢れていました。タンニンは、滑らかながらも口の中がキュッと引き締まるような収斂を感じます。キノコや梅、昆布の旨味を感じる、まさに秋の味覚にぴったりのワインですね。
複雑で味わい深いワインですね。ワインの香りを嗅いだ時に感じた食材を合わせると、ペアリングの幅が広がります。
ピノ・ノワールはお料理をランクアップし、華やかな場を提供してくれる、まさに「高貴なワイン」ですね!ピノ・ノワールの出汁のような旨味や柔らかいタンニンが和食に合うので、合わせるお料理の幅も広がりますね。
確かに!このピノ・ノワールはたたきと合いそうです。赤身や上品なサシの入った牛肉なら、千曲川ワインバレーシリーズ ピノ・ノワール2020がまろやかに包んでくれそうです。今回お出しした牛のローストのソースには、たまねぎやガーリックが入っていて相性がよかったですね。
シダのような香りと表現していただきました。森の空気を吸いこんだような、澄んだ香りを感じました。エレガントで可憐なイメージの赤ワインですね。
日本のピノ・ノワールは出汁感があるといわれます。このワインは本当に様々な香りや味わいを感じられて、旨味が強いですね。
炊き込みご飯は寒くなる季節にぴったりですね!西京焼の甘辛さとまろやかなコク、旨味が千曲川ワインバレーシリーズ ピノ・ノワール2020とよく合いそうです。北海道ご出身のJさんならではのご意見、参考になります!
▶おすすめペアリング
千曲川ワインバレーシリーズ ピノ・ノワール2020は、外観は少し朱色がかった赤色で、クリアで美しい色調です。
香りははじめは控えめですが、時間が経つごとにシダのような香り、森の中の澄んだ香り、赤い果実の香りやほんのり甘い香りなど、表現し尽くせないほどの複雑な香りを感じました。
口に含むとどっしりとしたタンニンが存在し、熟成させれば角が取れ、なめらかに変化する可能性に満ちたワイン。
飲んだ後は鼻に抜けるハーブ感がさわやかで、後味に残る旨味を伴った苦みが心地よく口中に広がります。
私のオススメのペアリングをご紹介しますね。
★紅茶で煮込んだ豚肉のチャーシュー
千曲川ワインバレーシリーズ ピノ・ノワール2020の香りから、紅茶を連想させる香りを感じました。ソースも千曲川ワインバレーシリーズ ピノ・ノワール2020の香りから連想する梅肉を使うといいですね。
★カツオのたたき
シソやミョウガ、ニンニクなどの薬味をたっぷり添えて。ピノ・ノワールは赤身魚とも相性のいい品種です。厚く切ったカツオのボリュームとツンとした薬味、ポン酢の酸味が千曲川ワインバレーシリーズ ピノ・ノワール2020とよく合います。
★赤酢のシャリと中トロのお寿司
赤酢とは、酒粕からつくられる日本発祥のお酢。米酢に比べて酸がまろやかで、香り豊かなお酢です。赤酢の酸味と中トロの濃厚さを、千曲川ワインバレーシリーズ ピノ・ノワール2020がマイルドに包んでくれそうです。
★鳥釜飯や炊き込みご飯
出汁を使用した炊き込みご飯にも合いそうです。お米とワインって合うの?と思われるかもしれませんが、お米の甘味、旨味とワインの甘味、旨味は相性がいいですよ。しば漬けや梅干しが添えてあると、千曲川ワインバレーシリーズ ピノ・ノワール2020に感じる梅の香りと相まってさらにいいですね。
▶まとめ
「はすみふぁーむ&ワイナリー」が造った「千曲川ワインバレーシリーズ ピノ・ノワール2020」。このワインに初めて出会ったのは、長野県のアンテナショップのバーカウンターで、違うヴィンテージのワインを飲んだときでした。
ピノ・ノワールは日本でも好まれる品種で、多くのワイナリーが醸造したいと言うものの、雨の多い日本では栽培がとてもたいへんなのです。
それでも、こんなに美味しいピノ・ノワールを栽培・醸造するワイナリーが日本にあるんだ、と感動したことを覚えています。
香りと味わいの芳醇さと複雑さに驚かずにはいられない、千曲川ワインバレーシリーズ ピノ・ノワール2020。温かいお料理と共に、この秋ぜひお試しください。大切な時間をより華やかに演出してくれるに違いありません。
次回は、甲斐ワイナリー「キュベかざまメルロー2019」のテイスティングについて紹介します。どうぞお楽しみに!
【宮坂佳奈さんプロフィール】
- 2018ミスワイン長野大会準グランプリ受賞
- 2018ミスワイン日本大会準グランプリ受賞
- 日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
- 日本ワインショップスタッフ
- 日本ワインイベントMC経験多数
- ニッポンのいいお酒 ディレクター