『よさ来いワイナリー』高知のテロワールを生食用ぶどうのワインで表現

森林面積の割合が日本一大きい都道府県の、「高知県」。そんな緑豊かな高知県高知市にあるワイナリーが、今回紹介する「よさ来いワイナリー」だ。

高知県民はお酒好きといわれるが、日本酒とビールの消費量が大半を占め、ワイナリーはまだ少ない。

「お酒の国」高知で、ワインの可能性を広めようと立ち上がったのが、よさ来いワイナリー代表の窪内靖治さん。サッカーチームの運営やIT企業の社長など、実に珍しい経歴を持つ造り手だ。

窪内さんから伺ったお話から見えてきたのは、自由で型にとらわれないワイン造りへの思いと、地元である高知への愛だった。

ワイナリーができるまでのきっかけや、よさ来いワイナリーならではのワイン造りについて、魅力的なエピソードと熱い思いの数々を紹介していきたい。

『「ワインが好き、高知が好き」まっすぐな思いが生んだワイナリー』

まずは、よさ来いワイナリー代表の、窪内さん自身の経歴を紹介しよう。また、ワイナリーを立ち上げるきっかけと、ワイナリーを始めるまでに歩んだ道のりについても気になるはず。

深い地元愛に満ちている窪内さん。ワイン造りで高知を元気にしたいという強い思いを、ぜひ感じてほしい。

▶︎前職では、IT業界からサッカー業界へ

「以前は、ワインとはかけ離れた仕事をしていました。醸造学科を出たわけでも、ワイナリー勤務経験があったわけでもありません」と、窪内さん。

新卒でIT企業「アクセンチュア」に入社し、その後サッカー関連の仕事に転職。再度IT企業で働いてからワイナリーを始めたという、珍しい経歴を持つ。

アクセンチュア時代の窪内さんは、勤務地である東京に住んでいた。

「地元が好きなので、ずっと高知に戻りたいと思っていました。その後、大学時代から夢見ていたサッカー関連の仕事がしたくなり、高知にサッカーチームを作ることが自分の目標になったのです」。

早速、スポーツビジネスアカデミーに通い始めた窪内さん。2010年には当時JFL(現J2)のサッカーチーム「ブラウブリッツ秋田」で2年ほど仕事をすることになる。2012年、「高知にサッカーチームを」という目標を叶えるため地元に帰還。地元のサッカーチームをJリーグに入れるために尽力した。

「地元に、『誇れるもの』を創りたいと思って活動していました。今そのサッカーチームはJリーグのひとつ下のカテゴリJFLにいて、もうすぐJ3入りというところまで来ていますよ」。

サッカー関連の仕事が一段落した窪内さんは、会社員時代の先輩に誘われて、東京に舞い戻る。再び、IT系の仕事を始めたのだった。

「2年だけという約束で東京に行くことにしました。せっかく東京にいるのだから、仕事以外に並行してできることはないかと探していたときに、『ワイン造り』がふと頭をよぎったのです」。

窪内さんの脳裏に浮かんだのは、「老後に、自分で造ったワインを飲みながら、自分で作ったサッカーチームを見て過ごす」という夢。サッカーチームは既に作った。夢の実現のための次なるステップは、自分のワインを造ることだ。

そこで2019年、ワイン造りを学ぶために、長野県のワイナリー「アルカンヴィーニュ」が運営する「千曲川ワインアカデミー」に参加した。

▶︎ワイン造りの世界に飛び込んで

ワインの世界に足を踏み入れた窪内さんだが、すぐに「現実」に直面する。

「ワイン造りは、思った以上に厳しい仕事でした。老後の趣味程度にやるのは、気力や体力的にも難しい。始めるなら若いうちからだと思いましたね」。

そこで、窪内さんは大きな決断をする。2020年に高知に戻り、ぶどうの苗木を育て始めたのだ。東京での仕事を続けながらの挑戦だった。

まず地元で手に入れたのは、10aほどの畑。仕事のない週末に地元の畑に通い、初めての農作業にいそしんだ。

だが、ここから本格的にワイン造りを始めるとなると、より大きな畑の確保が必要だ。高知県の耕作放棄地の情報を集めていた窪内さんは、またとない話を耳にした。

「2020年11月末頃のこと、県内のあるぶどう畑が、新しい借り手を探しているという話を聞いたのです。高知県はぶどう栽培が盛んではないため、ぶどう畑そのものが手に入るなんて、奇跡のような話でしたね」。

ぶどう畑の広さは、約90aの一枚畑。願ってもないほど好条件の畑だった。

巡り合った奇跡を、生かさない手はない。窪内さんはすぐに、会社を辞める決心をする。観光ぶどう園の圃場を譲り受け、本格的にぶどう栽培を開始した。

もともと観光ぶどう園だったこともあり、すでに植栽されていたぶどうは生食用のぶどう品種のみ。ちょうど生食用ぶどうを中心にワイン造りを行っていくビジョンを持っていたため、品種選定の意味でも好都合だった。

「願ったり叶ったりとは、まさにこのことだと思いましたね」。よさ来いワイナリーの物語が動き出した瞬間だった。

『生食品種中心のぶどうで、高知ならではのぶどう栽培』

続いては、よさ来いワイナリーの「ぶどう栽培」について見ていこう。

高知県といえば、日本の中でもとりわけ降水量が多い土地。ぶどうにとっては「逆境」となる気象条件の中で、どんなぶどう栽培をおこない、どんなぶどうが育っているのだろうか。

高知ならではの強みを生かした、よさ来いワイナリーのぶどう栽培を紹介したい。

▶︎よさ来いワイナリーで栽培するぶどう品種

よさ来いワイナリーで育てているぶどう品種は、観光ぶどう園だった場所で栽培されていた生食用品種が4種類。そして2021年に新しく植えた、ワイン用品種が7種類だ。それぞれの品種名や特徴を紹介してこう。

まずは、生食用品種、4種類から。栽培しているのは次の品種だ。

  • 藤稔(ふじみのり)
  • ブラックビート
  • サマークイーン
  • 雄宝(ゆうほう)

聞き慣れない品種名が多いかもしれない。それぞれの特徴を見ていこう。

藤稔、ブラックビート、サマークイーンはいずれも赤ぶどう品種だ。藤稔はピオーネの交配品種で、ジューシー感が魅力。ブラックビートは巨峰系のぶどうで、藤稔よりも収穫期が早い。サマークイーンは、ピンク色の果皮が可愛らしいぶどう。大きくなったデラウエアのような見た目をしている。

最後の雄宝は白ぶどう。シャインマスカットの交配品種で、大きな粒が特徴だ。

生食用ぶどう品種はいずれも、観光ぶどう園時代にすでに植栽されていたものなので、樹齢が40年を超えるものもあるとのこと。

続いて2021年に新しく植えた品種も見ていこう。新しく植えて育てているぶどうは、すべてワイン用の品種だ。

赤ぶどうは次のとおり。

  • メルロー
  • タナ
  • マスカット・ベーリーA
  • 小公子
  • 山幸

白ぶどうは次の品種だ。

  • シャルドネ
  • プティ・マンサン

これらのぶどうが育って収穫でき、ワインになるのは数年が経過してからのこと。

長く高知の畑で育ってきた生食用ぶどうと、新しく高知にやってきたワイン用ぶどう。異なる個性を持つぶどうが生み出すハーモニーは、ワインの味わいに奥行きをもたらすはずだ。

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▶︎少しずつ自然に近い状態へ ぶどう畑の特徴や栽培方法

よさ来いワイナリーでは、観光ぶどう園時代とはまったく異なる畑作りをしている。観光農園では化学肥料や農薬が通常通り使用されていたが、よさ来いワイナリーが引き継いでからは、「草生栽培」と「化学農薬・肥料不使用」での栽培を進めているのだ。

草生栽培をおこなうのは、水はけの改善と自然の力を畑に活用するためだ。

「水はけが悪いわけではないのですが、ぶどう畑のあった場所はもともと田んぼだった土地のようです。雨が続くと水が溜まるので、草生栽培で土壌の水はけを向上させています」。

草生栽培は、畑に下草を生やしたまま作物を育てる栽培方法。雑草があることで余分な水分を吸わせることができ、さらに植物の根が土を耕すため、土の状態がよくなるのだ。

また、自然に近い状態で栽培することで、益虫や益鳥が集まりやすくなるメリットもある。地表に緑があることで、カエルや蛇、モズといった、害虫を食べてくれる生き物もたくさんやってくるのだ。受粉を助けるミツバチやチョウも頻繁に来る。高知の自然が、健全なぶどうの生育を助けてくれるというわけだ。

除草剤を使用しない草生栽培をおこなうと同時に、化学農薬の使用も徐々に減らしている。

「初年度に化学農薬不使用に切り替えてみたのですが、いきなり農薬不使用にすると、ぶどうにとって負担がかなり大きかったようです。そのため、数年かけて徐々に使用量を減らしていこうと考えています」。

少しずつ着実に、ぶどう本来の力で生育させる環境を整えていく。

化学農薬や肥料に頼らない理由は、テロワールを表現するためだ。薬に頼るぶどう栽培では、ぶどう自身の生きる力を育てることはできない。力のないぶどうからは、土地の風味を引き出すことも難しいだろう。ぶどう本来の力を育てるために、化学的なものに頼らない栽培への切り替えを目指す。

▶︎雨が多い高知県栽培の苦労と工夫とは

高知県は、日本トップクラスの「多雨」の県。ぶどう栽培でも、雨に悩まされることは多いという。

「特に2021年は、高知でも過去最長の梅雨でした。8月もずっと雨で、あらゆる作物が不作でしたね。うちもサマークイーンの9割が玉割れ(ぶどうの粒が水を吸いすぎて割れてしまうこと)を起こしてしまいました」。

よさ来いワイナリーでは、ふたつの雨対策を実施している。ひとつは棚栽培にすることで、もうひとつは雨よけのトンネルメッシュを設置することだ。

それでも、高知の雨は猛威を振るう。玉割れしたサマークイーンの粒のうち、一部にカビが生えてしまったそうだ。気温が上がった時期に降り続いた、長雨のせいだった。

「玉割れだけなら、ワインにぶどうを使用できます。しかしカビが生えては使用できません。カビの生えていないものを選ぶ作業が本当に大変でした」。

話を聞いているだけで、選果作業は気が遠くなるような手間がかかる作業だとわかる。房をひとつひとつ確認し、使える粒だけを集める作業だ。選果に手間がかかったことで、収穫に費やした時間は通常の5倍ほど。ワインが仕上がるまでに、驚くべき労力がかかっているのだ。

だが丁寧な手作業の努力の甲斐があって、難しい天候ながらもサマークイーンのワインを350本生産することができた。

「昨年がひどい雨だった分、2022年がどうなるかは楽しみなところです。雨対策としては、房にひとつずつ袋をかけることも検討しています」。

ポジティブにぶどう栽培に向き合う窪内さんは、あらゆる試練をものともせず、突き進む。すべては、工夫や努力次第で、高知でもぶどうが栽培できることを広く伝えるために。

『気軽に楽しめるスタイルを極める よさ来いワイナリーのワイン造り』

次に見ていくのは、よさ来いワイナリーが造る「ワイン」について。2022年現在、よさ来いワイナリーは委託醸造で自社のワイン造りをおこなっている。

窪内さんはどんなワインを目指し、どんなワインの味を表現しようとしているのだろうか。

▶︎「飲みやすい」ワインの追求

「飲みやすいワインであることが一番だと思っています」。

ひとことに「飲みやすい」といっても色々な指標があるが、窪内さんが考える飲みやすさには、明確な定義がある。アルコール度数や酸度が高すぎずタンニンも渋すぎないことと、次から次にグラスを重ねたくなるような、「しつこすぎない旨味」が含まれていることだ。

難しいのは、ただ優しいだけの味だと飽きやすいことだという。すぐ飽きてしまい、たくさん飲めないワインは、ある意味「飲みにくい」と同義だ。

柔らかい味ながらも次々と飲める旨味を目指す上で重視するのは、生食用ぶどうを活用することだ。

「生食用ぶどうを使うことで、濃すぎずちょうとよい旨味がうまく出せるのではと思っています。雑味を取りすぎずにごりを残すことで、飲みやすい味にしようと考えています」。

窪内さんが生食用ぶどうを用いたワインに注目するのには理由がある。かつて、東京都練馬区にある「東京ワイナリー」の醸造体験に参加して造った、生食用ぶどうのワインが非常に美味しかったからだ。

それは、美味しさに感動したことでワイン醸造に興味を持ち、アルカンヴィーニュのアカデミーに行くことを決心したほどの味だった。

「アルカンヴィーニュ時代も、同期生たちから、おいしい生食用ぶどうのワインを紹介してもらって、たくさんの衝撃を受けましたね」。

日本で愛されてきた生食用ぶどうを使って、日本の食卓に馴染むワインを造ること。窪内さんの、ブレのない目標だ。

▶︎旨味を残す醸造へのこだわり

よさ来いワイナリーのワイン造りへのこだわりは、ぶどうの持つ自然の旨味を可能な限りワインの中に残すこと。できる限り無濾過、または粗目の濾過のみとし、補糖と捕酸はおこなわない。無濾過にこだわる理由は、ぶどうの中に皮の成分を溶け込ませたいからだ。

「にごりなど、抽出された成分から感じられる『濃さ』のようなものを捨ててしまうのはもったいないと思うのです。例えば、魚を食べるときにも、身だけではなく骨や皮も出汁として使いますよね。『余すところなく使わないと、素材がもったいない』という意識ですね」。

よさ来いワイナリーでは、ぶどうはすべて皮ごと醸す。通常白ワインは果汁のみを醸すが、皮ごと醸すのが特徴だ。

よさ来いワイナリーが、広島県福山市の「福山わいん工房」に醸造を委託したスパークリングワインは無濾過。また、高知県香南市の「井上ワイナリー」に醸造を委託したスティルワインは、粗目の濾過で醸造した。酒石酸処理もおこなわず、ぶどうの成分を最大限残した醸造スタイルを貫いているのだ。

▶︎珍しいぶどう品種を使うことの苦労

窪内さんが難しいと感じるのは、よさ来いワイナリーで育てている品種を使ったワイン造りを、ほとんど誰もしていないことだ。自分のスタイルでオンリーワンのワイン造りをおこなう窪内さんには、誰もやっていないことに挑戦するからこその苦労がある。

「扱うぶどうが、あまりワインにされない品種ばかりなので、誰からもアドバイスがもらえません。やってみないとどうなるか分からないところが難しいのです」。

そのため、よい意味でも悪い意味でも、予想通りにワインができることはほとんどない。

例えば、2021年の雄宝とサマークイーンは、想像以上の複雑味が出た。よい意味で、予想を裏切られる結果になったのだ。また、藤稔から造ったスパークリングワインも、想定していた以上の出来栄えだった。

一方、悪い意味での予想外の出来事も起こった。ブラックビートと藤稔のスティルワインに色が乗らなかったことだ。チャレンジすることでしか結果を確かめられないのは、面白さでもあり、同時に怖いところでもある。

しかし、窪内さんの挑戦は終わらない。試行錯誤を重ねることで、徐々にぶどうの特性、醸造のコツが掴めてきていると感じているのだ。

▶︎ワインの銘柄と味わいの特徴 味の変化も魅力

よさ来いワイナリーのワインで窪内さんの一押しは、雄宝とサマークイーンのワインだ。

雄宝は白ワインだが、皮ごと醸しているので「オレンジワイン」と表現したほうが正しいかもしれない。香りで感じられるのは、紅茶やはちみつのニュアンス。柔らかさの中にも、果皮のタンニンが淡く感じられて飲みやすい。

「食事にも合いますが、甘いものと合わせてもおいしいです。紅茶らしい味わいがあるので、あんこを使った和菓子にも合いましたよ」。

サマークイーンは、スパークリングのロゼワインに仕上げた。今まさに、熟成によって味が変化している最中だ。リリース当初は白桃の芳醇な香りがあったが、半年ほど経過すると、トロピカルなフレーバーが顔を出してきたそうだ。

ブラックビートと藤稔を混醸した赤ワインについても紹介しよう。クリアな色合いの赤が美しい、スルスルと飲めるワインだ。2021年の赤ワインはリリース後に販売を一旦停止し、2022年秋まで寝かせる判断をした。熟成して香りや味わいが変化するのを楽しみに待ちたい。

「2021年ヴィンテージのワインは、オンラインショップではすべて売り切れてしまいました。高知県内の取り扱い飲食店に行くか、うちのワイン会員になっていただくと入手できますよ」。

公式オンラインショップから、よさ来いワイナリーのワイン会員に登録できる。高知の自然とぶどう本来の旨味がたっぷりと溶け込んだワインに興味があれば、ぜひとも登録してみてほしい。

▶︎ごくごくと気軽に飲んでほしい よさ来いワイナリーの楽しみ方

窪内さんに伺った、よさ来いワイナリーのワインの「楽しみ方」をふたつ紹介したい。

ひとつ目は、テーブルワインとしてごくごくと楽しむこと。ちびちびと味わうことを否定はしないが、お酒に強い人はまずは1本飲みきってほしい。食事に合うワインに仕上がっているよさ来いワイナリーのワインは、飲み疲れしない味わいなのが特徴。「気づいたら、ボトル1本飲んでしまった」と、驚くはずだ。

ふたつ目は、居酒屋などの気軽な場で、大人数で楽しむこと。

「ワインは、『分からないから飲まない』という方もいるお酒です。でも、日本酒やビールだって、分かっていて飲んでいる人ばかりではないはず。肩肘張らずに、小難しいことを考えないで、ただみんなで楽しく飲んでほしいですね」。

食事と合わせて楽しむと、ワインのよさは無限大に広がる。地元の食材と合わせるとよいといわれるワインだが、もっと自由に楽しんでほしいと、窪内さん。

「高知の食材と合わせてくれれば、もちろん嬉しいです。しかしあまりそこにこだわりすぎずに、たくさんの組み合わせにチャレンジしてみると面白いと思いますよ」。

必ず自分のお気に入りの組み合わせが見つかるはず。よさ来いワイナリーのワインは、飲み手に自由な楽しみ方を提唱するのだ。

『自家醸造を目指して よさ来いワイナリーの未来』

最後に伺ったのは、ワイナリーの未来像。よさ来いワイナリーは今後、なにを目指して、どこへすすむのだろうか。具体的な計画や目標について尋ねた。

▶︎醸造免許の取得と醸造設備を整える

「自家醸造ができるように、醸造免許の取得と、ワイナリー設備の準備も進めていきたいですね。委託醸造では実現が難しい、試験的な醸造もたくさん実施してみたいです」。

よさ来いワイナリーのワイン醸造における目標は、まず、「ワイナリー設備を整えること」だ。最終的には委託から自家醸造に切り替えることを目指す。

自家醸造のよさは、新たなチャレンジがしやすいことだという。特に「アッサンブラージュ(ブレンド)」の組み合わせをいろいろと試してみたいと話してくれた。

▶︎高知にワイン造りを広めたい

また、中長期的な目標もすでにある。高知でワイナリーを始めた窪内さんが掲げる最終目標は、高知県内にワイナリーを増やすことだ。

「ワイン醸造までのすべてが独り立ちできたら、次は、高知にワイン造り仲間を増やすための活動を始めたいです。人を育てる方にシフトしていきたいですね。自分自身が世界に名を馳せるようなワイン造りをするというよりも、地域のワイン造りを応援するようなワイナリーでありたいのです」。

窪内さんは、自分ひとりでおこなうワイン造りよりも、仲間を増やしておこなうワイン造りの方が刺激的だと考えている。

高校生や大学生といった若者や、兼業でワインを造ってみたい社会人など、多くの人が気軽にワイン造りに参入できる体制を整えていくことを目指す。

「高知県には、管理されていない山林が数多く存在します。そこをぶどう畑に造成して、高知でも手がかからず栽培できる品種を選んで植えられたら、もっと高知でのワイン造りがしやすくなると考えています」。

高知にワイナリーを増やすための窪内さんの計画は、まだ始まったばかり。まずは自分でワインを造ること、そして高知にワインの造り手を増やすこと。行動力みなぎる窪内さんのお話を聞いていると、目標が現実となる日は、そう遠くないと思える。

『まとめ』

ワイナリー立ち上げ後も、さまざまな物事に対して、トライ・アンド・エラーの精神で乗り越えてきた窪内さん。高知のワイン造りを盛り上げ、高知でワイン造りができることを実証するため、よさ来いワイナリーでは地域の特色を出したワイン造りをおこなう。自分自身が高知のワイン造りについて身をもって発信することで、新しいワイン造りの可能性を感じてもらえたらと話してくれた。

よさ来いワイナリーの畑で豊かに実ったぶどうからは、気軽に飲める「飽きの来ない」ワインが生まれる。

特に注目すべきは、珍しい生食用ぶどう品種を使ったワイン造りだ。「雄宝」「サマークイーン」といったぶどうからは、よさ来いワイナリーでしか味わえないワインができる。

「ワイン造りは楽しいですね」。窪内さんは、豊かな自然に囲まれながら仕事ができることと、自らが現場に立ち、試行錯誤できることへの幸せを噛みしめる。

よさ来いワイナリーを訪れた際には、夕焼けを眺めながらワインを飲んでみてはいかがだろうか。窪内さんは畑仕事の帰りに夕焼けを眺め、高知の自然の美しさを実感するという。

造り手と同じ景色を眺めることで、ワインが生まれるまでの時間や思いをしみじみと感じるのもよいものだろう。

基本情報

名称よさ来いワイナリー
所在地〒780-8015
高知県高知市百石町1-10-20
アクセス南国ICから車で5分
URLhttps://yosakoi-winery.com/

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