『Fattoria AL FIORE』ワインを通じて地域の文化や暮らしの意味を問うワイナリー

蔵王連峰の麓に位置する宮城県川崎町。この地域で、2015年に誕生したのが「Fattoria AL FIORE(ファットリア・アル・フィオーレ)」。
学校の体育館を改装して生まれた、なんとも個性的なワイナリーだ。

Fattoria AL FIOREプロデューサー兼醸造家の目黒浩敬さんに詳しく伺った。ワイナリーやワイン造りについて、これまでのエピソードや思いを紹介していこう。

話を聞く中で見えてきたのは、手作りにこだわり、地域の文化を愛する目黒さんたちが、楽しんでワインを造る姿だった。ぜひ最後までご覧いただき、Fattoria AL FIOREの魅力を感じて欲しい。

『農業や地域の幸せを目指して ワイナリーを始めたきっかけ』

最初に伺ったのは、Fattoria AL FIOREができるまでの歴史やきっかけについて。ワイン造りを始めた理由やきっかけなどを、順に紹介していこう。

▶レストランからワイナリーへ 農業が直面する問題を考える

2015年にワイナリーをスタートするまで、目黒さんはレストランを経営し、シェフを担当していた。レストランの立地は仙台市内。自家製の食材を使用した、イタリアンレストランだった。

材料である野菜の自然栽培を自ら行っていた目黒さん。レストラン時代から実感していたのは、農業界全体が抱える危機感だった。
特に農業で成り立っている地方は、過疎化が急速に進んでいる。若い人材が流出し、耕作放棄地は増える一方だ。

「日本の地方を復興できるのは、やはり農業のはず。農業を衰退させてしまうことは、日本にとってもマイナスだと思ったのです」。

日本の農業を活性化させるためにできることは何だろうか?目黒さんは自分に問いかけた。地方農業活性化のためにチャレンジできそうなテーマは、ほかにもチーズや有機野菜などが見つかった。
だが、いくつもある選択肢の中で目黒さんが選んだのは「ワイン」だったのだ。

最初の挑戦としてワインを選んだのには理由がふたつあった。
「ひとつはあらゆる選択肢の中で最もハードルが高いと感じたから。もうひとつは、当時宮城にワイナリーがなかったからです」。

なんと、難しそうだからとあえて茨の道である「ワイン造り」を選んだというのだ。ワイン造りに参入するハードルは非常に高い。時間と資金がかかることが最たる理由だ。毎日休む暇もないぶどうの世話を行っても、最初のワインができるのはぶどうを植えた数年後。
醸造や栽培に必要な設備投資にも資金が必要で、ワインは熟成にも時間がかかる。すぐに利益が出ない事業なのだ。しかも病害虫や醸造中の汚染などで、常に失敗のリスクとも隣り合わせだ。

だがリスクを背負いながらもワイン造りを始めたのは、目黒さんに大きな目標があったからだ。

▶なぜワイナリーをやるのか 目黒さんが見据えるものとは

「自分はワインを造りたいというより、ワイナリーがあることで地元のよい文化や伝統が伝えていけると思ったから、ワイナリーを始めたのです。ワインはみんながハッピーになるための、ひとつのツールだと考えています」。

目黒さんが目指しているのは、ワインを通じて日本や東北が昔から持っていた「よさ」外部に向けて伝えるためのツールとして、ワインが最適だと考えたのだ。

「ヨーロッパにある古くからのワイン醸造が盛んな地域は、長い時間を経て成り立っています。ワインだけでなく、地域を繁栄させるコミュニティとして、ワイン以外の農作物や生業がある。日本でもその文化を表現できたら、日本にワインが根付くと思うのです」。

地域を盛り上げるには、ワインだけでは難しい。その地域の産業や農作物の魅力が合わさり相乗効果を生み出すことで、初めてひとつの村や町として盛り上がっていくのだ。

目黒さんの地元は福島県。東日本大震災での原発事故の影響が大きい地域だった。目黒さんは自分の活動で、いつの日か地元に還元することを目指している。宮城の地でレストランやワイナリー経営モデルを造り上げ、いずれは地元に持ち帰るつもりだ。

▶醸造までの道のり 無農薬の難しさを知る

「ワインで地域のよさを発信する」という明確な目標があって始めたワイナリー事業。ぶどう栽培の開始から醸造を行うまでの道のりを追っていこう。

「開始当初はぶどう栽培を甘く見ていましたね」という目黒さん。レストラン経営時代に完全無農薬で野菜を栽培していたことから、ぶどう栽培にもある程度の自信を持っていたのだ。しかし現実はなかなか厳しかった。

ぶどう栽培1年目の8月には、ベト病でぶどうの葉がすべて無くなってしまった。予想外の出来事だった。もう1年栽培すれば、苗も耐性ができてくるだろうと挑戦した2年目。1年目と同じく葉が落ちた。

このままでは3年目も同じことになるだろう。対策の必要に迫られた目黒さんは、初めて「ボルドー液」を使用する。ボルドー液とは、有機栽培にも使用できるほど安全性の高い防除剤だ。
「ボルドー液は驚くほどよく効きました。まったくの無農薬で育てようと思っていましたが、難しいということを悟りましたね」。

ワイン用のぶどうは元々降雨の少ない地域が原産の植物だ。しかし日本は1年を通して高温多湿なうえ、ぶどうが実を付けるタイミングでの降雨が多い。降雨は病気発生の大きな原因になる。
日本にいる以上、気候の問題はいかんともしがたい。何かしらの方法で雨や湿気からぶどうを守る必要があったのだ。

ボルドー液を使用することで無事ぶどうが収穫できるようになり、ワインの本格的な醸造に入っていく。最初の醸造は、同時期に宮城県でワイナリーを開始した「仙台秋保ワイナリー」に委託した。仙台秋保ワイナリーでの委託醸造を2年間行った後、山形県南陽市のワイナリー「グレープリパブリック」から声をかけられる。
グレープリパブリックの委託醸造1年間を経て、2021年現在では完全に自家醸造に移行した。今は、自家醸造ファーストヴィンテージをリリースする時を待っている。

『Fattoria AL FIOREのぶどう栽培 目の前のぶどうの個性に向き合う』

続いて紹介するのは、Fattoria AL FIOREのぶどうについて。栽培方法や、目黒さんが考えるワインぶどうについての思いとは?じっくりと紹介していこう。

▶Fattoria AL FIOREの自社畑

Fattoria AL FIOREの自社畑は2.3ha。現在は全ての木が垣根仕立てで栽培されている。

畑のある川崎町は蔵王の麓にあり、土壌は蔵王連峰の影響を色濃く受ける。
火山灰質の土壌が広がり、山の傾斜によって水はけは良好だ。

草生栽培を実践しているため、土壌の必要最低限の湿度は守られている。周りの草たちが、自然に湿度を調整してくれるからだ。

畑で栽培するぶどう品種についても紹介したい。宮城県でワイン用のぶどうを育てるのが初めてだったため、最初はどんな品種が合うのかが分からなかった。
当初は試験的な目的もあり、15品種を植樹。現在では12品種ほどに絞って栽培している。

2021年現在メインで栽培している品種や、量を増やしている品種は以下の通りだ。

  • メルロー
  • ゲヴュルツトラミネール
  • シャルドネ
  • ピノ・ノワール
  • ピノ・グリ
  • マルヴァジア

日本では珍しい「マルヴァジア」は、イタリアではメジャーなぶどう品種。
トスカーナ地方で多く生産されており、ナチュラル志向の造り手がオレンジワインにすることが多い白ぶどうだ。

自社畑での栽培ではないが、契約農家が栽培する品種がもうひとつある。それが「レッド・ミルレンニューム」だ。レッド・ミルレンニュームは、ライチのようなアロマティックさを特徴とするぶどう。
「日本のワインの父」と呼ばれる川上善兵衛が生み出した交配品種のひとつだ。目黒さんの妻、礼奈さんもお気に入りの品種なのだとか。

自社畑で栽培したぶどうは、2021年が初ヴィンテージ。目覚めの時を静かに待っている。

▶ぶどう栽培の工夫 気候に合うぶどうを育てる

土地に合うぶどうの見極めや、日本ならではの気候に対応させる栽培方法の工夫について伺った。

Fattoria AL FIOREでは、土地に合う「品種単位」の見極め以上に重視していることがある。それは「苗単位での選抜」だ。
「現状、比較的どの品種でも上手く育てられそうだと感じています。そのため、品種選び以上に大事なのは、強い苗のクローンを増やしていくことだと考えています」。

同じ品種の中でも、ぶどうの苗ごとの特性は異なる。Fattoria AL FIOREでは、自社の畑で育つ苗の中でも、特に強い苗を選んで台木を作っているのだ。台木とつないで良質な枝を選抜していくことで、日本の気候に強い苗のクローンができていく。
強い性質の苗を選抜し、地域に根ざせるぶどうに育てている最中なのだ。

続いて日本の気候に合う栽培の工夫を見ていこう。行う工夫は2点ある。

ひとつは雨よけの設置だ。使用しているのは、ビニールハウスの「屋根だけ」を付けたような形状のもの。病気の原因になる雨対策として、物理的にぶどうを雨から守ることを重視している。
雨よけを付けると病気が減らせるため、ボルドー液の散布量が抑えられる。

「いくらボルドー液が有機栽培に使用できるからといって、土に染みこみすぎるのは避けたいのです。土壌の個性がなくなってしまうので」。

ふたつ目は、苗の仕立て方に関する工夫だ。行っているのは「垣根仕立てと棚仕立てのハイブリッド」を利用すること。
現在は通常の垣根仕立てだが、徐々に切り替えている最中だ。

「垣根仕立てと棚仕立てのハイブリッド」とはいったい何かというと、過去のフランスでも使用されていた「高さのあるコルドン仕立て」のことを指す。
コルドン仕立て自体は垣根仕立ての一種だが「高さのあるコルドン仕立て」は、棚仕立てのように高い場所に実がなる点が特徴だ。

高い位置に実がなってしまうと作業効率が悪いため、現在ではほとんど使用されることがない。しかしこの方法をあえて試すのは、湿気対策のため。苗を高い位置に誘引して実を付けさせることで、湿気を逃がし風通しをよくする効果があるのだ。

湿度はぶどう栽培の大敵。「高さのあるコルドン仕立て」は、日本特有の気候に合う栽培方法として期待が持てる。

新たな挑戦が続くFattoria AL FIOREのぶどう栽培。チャレンジの成果が反映した、ぶどうの出来を楽しみにしたい。

▶挑戦を楽しむ ぶどう栽培の信念

未経験からのぶどう栽培は大変なことも多かっただろうと、ぶどう栽培における苦労を聞いた。しかし意外な答えが返ってきた。

「大変は大変でしたが、苦労とは思っていないです」。目黒さんは、レストラン時代の「料理」をはじめ、ぶどう栽培もワイン造りもすべて独学だ。
情報を得たり勉強したりと、経験者に比べて苦労が多いのではと思える。

「ぶどうや酵母は生き物。ひとつひとつ違い、育て方に王道はありません。その子に合った方法で育てるべきです。だから『一般的な方法を知らない』ということに対する不安や苦労はありませんでした」。

Fattoria AL FIOREが相手にしているのは、全て「生き物」。ぶどうや土壌に住む微生物はもちろん、ワイン造りに欠かせない「酵母」も、ぶどうに付着している自然の生き物なのだ。

相手が生き物である以上、すべてに個性がある。たとえ同じ環境のなかでも、ひとつひとつ細かな部分で異なる。「僕らが手をかけなければいけないのは、自分の目の前のぶどうです。
だからほかのワイナリーがどうやっているのかではなく、自分の目の前にあるぶどうに真剣に向き合うことが、何より大切だと考えます」。

育児書を見ても、すべての子に合う方法とは限らないでしょう?と目黒さん。確かにその通りだ。
Fattoria AL FIOREが持つ、ぶどう栽培の最大の工夫であり信念は、「自分のぶどうの個性を受け入れて、自分のぶどうと真剣に向き合うこと」に尽きる。

『手作業のよさ 地域の魅力を伝えるワイン』

Fattoria AL FIOREで醸造する「ワイン」についての話に入っていこう。
Fattoria AL FIOREが目指すワインの姿は「日本の食文化に合うワインであること」だ。

ワインが「特別なお酒」の立ち位置であるうちは、日本の文化に根ざすことは難しい。地元食材を使用した日本の家庭料理に合わせられるようになってこそ、文化に根ざしたワインができると考えているからだ。

日本の食文化に合わせるワインにするため、目黒さんが重視しているのは「テーブルグレープ」つまり生食用ぶどうの可能性に着目することだ。
「日本人のDNAに古くから浸透しているのは、圧倒的に『テーブルグレープ』です。テーブルグレープで造ったワインは、日本の食事には必ず馴染むはずなのです」と目黒は力強く話す。

一般的に、生食用ぶどうから造られるワインは『フォクシー・フレーバー』(北米系統のぶどう品種から造られたワイン特有の芳香のこと)と表現され敬遠されがちだ。
しかし実は、Fattoria AL FIOREが造る生食用ぶどうから造ったワインは、海外での評価も高いという。デラウェアやスチューベンからできたワインが、美味しいと喜ばれているのだ。

「ワインだからワイン用ぶどうでなければ」そんな固定観念は捨て去り、ワインを楽しむべきだと話す目黒さん。その先には、自由にワインを楽しめる日本の未来が待っているはずだ。

▶素焼きの壺「アンフォラ」を使うワイン醸造

Fattoria AL FIOREでは、樽やステンレス以外に「アンフォラ」を使った熟成を行う。

アンフォラとは、素焼きの壺のこと。Fattoria AL FIOREで使用しているアンフォラは、ひとつが500ℓの容量のものだ。

世界で見ると、オレンジワインを生むジョージアや、イタリアのフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州でアンフォラ熟成が盛んに行われている。
オレンジワインを醸造する際などに、ナチュラルワインの造り手もアンフォラを使用しているのだ。

日本ではあまり見ない「アンフォラ」を使用した熟成。アンフォラと樽熟成との違いや、使用する理由について目黒さんに聞いた。

「目に見えない細かな隙間から徐々に酸素が入るため、ゆっくりと酸化熟成させられる点は樽と同様です。しかしアンフォラの場合『樽香』が付かないのが最大の特徴ですね」。

ゆくゆくはワイナリーがある場所の土で作ったアンフォラを使用してワインを造りたいと、目黒さんは話す。土壌のミネラルを吸ったぶどうを、同じ土地のミネラルをたっぷり含んだアンフォラで熟成させる。
真の意味で「土地の味」を表現することができると考えているのだ。

土地に元からあるミネラルや微生物を大切にしたいと考えているFattoria AL FIORE。だからこそFattoria AL FIOREでは、樽やアンフォラを「交換することなく」使用し続けるという。

「アンフォラや樽は、表面の細かな隙間に酵母などの微生物が住めるのです。うちは酸化防止剤である亜硫酸塩も使用していないので、アンフォラの中で長年よい微生物が生き続けることができます」。

一方で、酸化防止剤を使用しない分、衛生管理には特別気を遣っている。樽よりも洗いやすいため、アンフォラを積極的に使用している面もある。500ℓのアンフォラであれば、横倒しにして丸洗いできる。

清潔に保ちながらも、ワインによい働きをもたらす微生物の住みかになる「アンフォラ」。

大地と共に生き、土地を生かすワイン造りをする目黒さん達にぴったりの熟成方法だといえるのではないだろうか。

▶Fattoria AL FIOREで造るワイン

年間でリリースしているワインの種類は、およそ20種類。
醸造本数にして4万5,000本ほどの量だ。

今回紹介したいFattoria AL FIOREのワインは「NECO」シリーズ。「NECO」というシリーズ名にはふたつの意味があり、ひとつは「新しく実験的な試みと協力」というイタリア語の頭文字を合わせた造語。そしてもうひとつの意味は、響きの通り「ねこ(猫)」だ。目黒さんが飼う7匹の保護猫にちなんでいる。

個々のワイン銘柄名にはすべて、保護猫の名前を付けた。デラウェアスパークリングワインの「sola」、スチューベン主体の赤ワイン「hana」など、どれも個性豊かなラインナップだ。
「テーブルグレープを使ったフランクなワインらしい、キャッチーなイメージのシリーズです。深く考えず、気軽に飲んで欲しいですね」。

ぶどうの個性を重んじる目黒さんだからこそ、ワイン造りにおいても独自性が光る。

例えばFattoria AL FIOREでは、醸造では当たり前のように使用する「ポンプ」を使わない。ポンプを使用する代わりに醪(もろみ)の入ったタンクをフォークリフトで持ち上げ、重力に任せて液を流すのだ。

また搾汁も手作業にこだわる。強く搾りたくないぶどうの場合、手で軽く握って終わりにすることも。

「ほかのワイナリーから見ると、『馬鹿じゃないの』と言われるようなことをしている自覚があります」。笑いながらも、目黒さんは楽しそうだ。

▶手作業が伝える本質 とことんこだわることで見えてくる「良さ」

個性的なのはワインの中身だけではない。エチケットやキャップシールに至るまで、手作業のこだわりと地元のエッセンスがふんだんに込められている。
「全部手作業だからこそ、見えてくる『よさ』や『本質』があると思うのです」。

Fattoria AL FIOREのエチケットには、地元の職人によって漉かれた「和紙」が使われている。昔ながらの「和紙作り」では、化学的な素材を一切使わない。
すべて手作業で作られる和紙には驚異的な耐久性がある。100年の寿命を持つともいわれているのだ。

職人による伝統的な技で作られた和紙を使ったエチケット。デザインを担当したのは目黒さんの妻である礼奈さんだ。エチケットは大地に芽吹くぶどうや種を表現しており、「大地」を表す色は柿渋染めで表現した。これまた目黒さんたちの手作業によるものだ。

作られたエチケットも、自分たちの手でワインボトルに貼り付ける。使用する「のり」は、自分たちで作った「米のり」だ。

手作りはエチケットだけに留まらない。驚くべきことに、ワインのキャップまで手作りだという。現代の一般的なワインは、コルク栓のうえにアルミやプラスチックでできた「キャップシール」が巻かれている。

しかしFattoria AL FIOREのキャップは、今ではほとんど見られない「蝋(ろう)キャップ」だ。キャップに使用されているのは、国産のミツロウ。純正のミツロウと、口に含んでも問題ない染料を混ぜ合わせて手作りされる。開けたときに、万が一口に入っても問題ない素材でできているのだ。

「ここまでやるなんてと思うかもしれないけれど、こだわりの先に物語があり、伝えたい思いがある。だからこそみんなで笑いながらできているのです」。

ワイナリーの強みを目黒さんに聞くと「メンバー全員が楽しんでワイン造りしていること」だと答えた。個性を重んじながらも、メンバー全員の意識が同じ方向を向いている。信念に向かって楽しく明るく、まっすぐに進む力がある。

目黒さんの話を聞いていると、シンプルに「素敵だな」と感じる。Fattoria AL FIOREには、「手間暇かけた人の手の温かさ」や「素材が本来持つ、よさと美しさ」が確かに存在するのだ。

『ワインの先にある「暮らし」を伝えたい Fattoria AL FIOREの未来』

最後に伺ったのは、Fattoria AL FIOREの未来についてだ。近い将来に向けてワイナリーとして計画していることはあるのだろうか。
また最終的にワイナリーが目指す方向とは。

「私達がワイナリーをするのは、東北や日本の文化が持つ豊かさを伝えるため。真の豊かさとは何かを訴えかけ、『暮らし』に着目した企画を準備しています」。

暮らしの豊かさを伝えるため、ひとつの計画が進行中だ。それは「自然の中の暮らし」を体験できる、ゲストハウスを建設すること。ゲストハウスでは、Fattoria AL FIOREのワイン造りに携わりながら「自然の中で豊かに暮らすことの意味」を感じてもらえるようなコンテンツを用意する。
ゲストハウスを使ったイベントは、2022年からスタートする予定だ。

地元で古くから行われてきた文化へのリスペクトを込め、ゲストハウスの建築はワイナリー同様に地元の大工に依頼している。接着剤等を使用しない、木組み造りだ。そして建材として使用される木材は地元のもの。壁も土壁を使用する。昔ながらの日本家屋の造りだ。

また土地の食材を楽しんでもらうため、周囲に野菜や大豆も植えた。収穫した大豆を使い、「味噌」を手作りする。

自然や日本文化との共存をテーマにしたゲストハウスを造ったのには、大きな理由がある。ワインを通して「日本本来の暮らしの豊かさ」を日本人に再認識してもらうきっかけになると考えているから。
そして日本や国外に、日本の暮らしの豊かさを伝えることで、次世代に豊かさの本質を伝えることができると考えているからだ。

Fattoria AL FIOREでは、毎年のべ500人以上が収穫や醸造に参加している。日本全国の飲食店や海外のワインインポーター、一般のお客さんなど参加者の特性は様々だ。参加者に共通しているのは、目黒さんの思いに共鳴した人々だということ。
新しくできるゲストハウスは、Fattoria AL FIOREの思いに共感した人達の憩いの場となることだろう。

『まとめ』

Fattoria AL FIOREは、私達に「真の豊かな暮らし」を提案するワイナリーだ。手作りを大切にしたワイン造りと、地域や日本の文化をリスペクトした姿勢で、地域の伝統や文化の大切さを訴える。

目黒さん達のこだわりは、手作りの温かさに満ちている。地域文化の素晴らしさに触れて、思いの詰まったワインを飲むために、ぜひワイナリーを訪ねて欲しい。
Fattoria AL FIORE全体から伝わってくるのは、人の力を信じるポジティブな力。このワイナリーで造られたワインは、私達に日々を大切に生きることの意味を教えてくれる。

基本情報

名称Fattoria AL FIORE(ファットリア・アル・フィオーレ)
所在地〒989-1507
宮城県柴田郡川崎町支倉塩沢9
アクセス電車
仙台駅から車で286号線に乗り約40分

山形自動車道、宮城川崎ICから車で約15分。
HPhttps://www.fattoriaalfiore.com/

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