『Nikkawaワイナリー』地元勝沼を愛する、「生産者の顔が見える」ワイナリー

勝沼ワイン村の中にある、Nikkawaワイナリー。小規模ながらさまざまな種類のワインを醸造しており、ショップの棚を眺めるだけで心躍るワイナリーだ。

お話を伺った代表取締役の吉原和夫さんは勝沼出身。しかし定年を迎えるまで東京でサラリーマンをしていた。なぜ勝沼に戻り、ワインを造るに至ったのだろうか?ワイナリー立ち上げまでの歩みや、ワイン造りのこだわりについて紹介しよう。

ワイナリー誕生のストーリーからは、家族や地元を大切に思う吉原さんの気持ちが伝わってくる。ぜひ最後までご覧頂きたい。

『サラリーマンからぶどう農家へ ワイナリー創業のきっかけ』

Nikkawaワイナリーができるまでのきっかけと背景を見ていこう。
Nikkawaワイナリーは、オーナー吉原さんの第2の人生のステージでもある。吉原さんが送ってきた今までの人生と共に、ワイナリー創業までの歩みを紹介したい。

▶高まっていったぶどう栽培への思い サラリーマンをしながら農業に勤しむ

吉原さんは、山梨県勝沼のぶどう農家に生を受けた。農家を継ぐのは決まって長男。そのため、三男の吉原さんは家を出て独立した。

1966年に地元の高校を卒業した後は、東京の大学に進学。1970年には銀行に就職し、67歳で退職するまでの45年間、サラリーマンとして勤め上げた。銀行員は全国転勤のある勤務形態だ。
吉原さんも、日本各地の支店を担当しながら忙しく働いていた。

サラリーマン生活も残り10年に差し掛かった頃、第1の転機が訪れる。実家のぶどう農園を手伝うことになったのだ。当初は「週末のレクリエーションに」と考えて、兄のぶどう栽培を手伝っていた吉原さん。
週末に山梨を訪れ、ぶどう栽培を手伝う生活が続いた。

だが、ぶどう栽培を続ける中で、次第に気持ちに変化が表れる。それは「自分の畑を持ち、もっと本格的にぶどう栽培がしたい」という思いだった。

▶念願のぶどう畑でワイン造りを始める

ぶどう栽培への思いが高まった頃、タイミングよく実家の隣にある広さ5aほどの畑に空きが出た。そこに兄がアジロン・ダックというぶどう品種を植樹してくれた。念願の、自分のぶどう畑だった。

その後はサラリーマン生活を送りつつ、週末には山梨に通ってぶどう栽培に熱が入る日々が続く。2〜3年が経ち、自分の畑に植えたぶどうが収穫の時を迎えた。農協の組合員ではないため、収穫したぶどうを生食用として市場に出荷することはできない。そのため「ワイン原料ぶどう」として、ワイナリーに卸すことにした。

卸先のワイナリーは「東夢ワイナリー」。東夢ワイナリーの代表取締役、髙野英一さんと吉原さんは幼稚園からの同級生だ。2年目の収穫を迎えたとき、吉原さんにはひとつの思いが芽生えていた。
「ぶどうをただ売却するだけではなく、自分のワインを造りたい」。
髙野さんに相談し、東夢ワイナリーでの委託醸造がスタート。吉原さんは自らも醸造作業に参加した。

その後5年間は、東夢ワイナリーへの委託醸造で自分のワインを造り続ける。その間に、酒類の通信販売免許も取得した。

▶独立の決断 「勝沼ワイン村」の誘いを受けて

委託醸造でワイン造りを続けていた吉原さんに、やがて第2の転機が訪れる。髙野さんから、あるプロジェクトへの参加を打診されたのだ。プロジェクトとは、複数のワイナリーで「勝沼ワイン村」を造る構想だった。
新規ワイナリー立ち上げ希望者を募り、勝沼のワインが1か所で楽しめるロケーションを造ろうという計画だ。

「最初は『自分にワイナリーなんてできるはずがないだろう』と言いました。自分がワイナリーを経営するとは、想像もしていなかったからです」。

新規ワイナリー立ち上げに現実味を持てなかったのも無理はなかった。実は、勝沼のワイナリーには、独特の歴史がある。それは「地域でも裕福な家がワイナリーをしてきた」という特徴だ。

古くから地域全体でぶどう栽培を行っていた勝沼では、生食用として市場に持ちこめないぶどうを持ち寄って、自分たちの晩酌用の「ぶどう酒」にしていた。ぶどうを持ち寄って酒にするには、大きな蔵が必要だ。そのため必然的に、地域の中で最も土地が広く、醸造設備が設置可能な家が醸造を担当してきたのだ。

幼い頃から勝沼で育ってきた吉原さんにとって、「ワイナリー経営は資産家がするもの」という勝沼特有のイメージが根強かった。そのため、髙野さんの誘いを受け、悩みに悩んだ。だが一念発起し、勝沼ワイン村の第1号ワイナリーとして名乗りを挙げた。

ワイナリーを創業する決断に至った理由は3つあった。

ひとつは、農業への思いが強かったことだ。誘いを受けたのは定年間近の時期。ちょうど、定年後に何をして過ごすべきか考えていた頃だった。定年後にやりたいこととして頭に浮かんでいたのが農業だ。土に触れて老後を過ごしたいという気持ちが強かった。
「農業をするなら、一番自分になじみのあるぶどう栽培がよいのではと思っていました。加えてワイン醸造ができたら、こんなに幸せなことはないだろうと考えたのです」。

ふたつめの理由は、サラリーマン定年後の人生を充実させたいと考えていたからだ。人生100年時代といわれる現代の老後は長い。老後を無為に過ごす選択肢は、吉原さんのなかには存在しなかった。定年後を無為に過ごすことに、世の中から切り離されるようなさびしさを感じた。
「今後の人生を送るモチベーションを維持するためにも、いつまでも社会の一員でありたいという思いを強く抱いていました」。

3つめは「勝沼ワイン村」の一員としてワイナリーをスタートできれば、経済的な不安が少なくなると考えたからだった。勝沼ワイン村でワイナリーを始めれば、複数のワイナリーでの販売促進やイベントも開催できて、運営上の利点が大きい。ゼロからワイナリービジネスをはじめる自分にとっては、これ以上ない好条件だと考えたのだ。

銀行員としての知見や経験から、資金繰りなどに慎重だった吉原さん。
「ワイナリーが集まって運営すれば、お客様にも訴求しやすくビジネスとして成り立つ見込みがありそうだ」と、確信にも似た思いを抱いたのだった。

▶親族全体で協力し合うワイナリー経営

そして Nikkawaワイナリーは、勝沼ワイン村の7つのワイナリーのひとつとして、2020年9月に晴れてオープンの日を迎えた。
現在は家族と親族で協力し合いながら、ぶどう栽培からワイン販売までを一貫して行っている。

ぶどうを栽培するのは吉原さん家族と甥一家だ。醸造や販売は、吉原さんと妻が協力して行っている。「まさに、一族内6次産業です」。

ワイナリーに運営は、吉原さんの長男も参加している。長男は元々東京の鍼灸接骨院で働いていた。父親がワイナリーを創業するにあたり、今は東夢ワイナリーの研修生として、栽培醸造の技術研鑽に励んでいる。Nikkawaワイナリーの後継者として、猛勉強中の頼もしい存在だ。 

家族の絆で結ばれたNikkawaワイナリーは、2020年にファーストヴィンテージを迎えた。「ワイナリーの代表として、責任をまっとうすること」の重みをひしひしと感じながら毎日を過ごす。

醸造作業をしながらよく聞いている音楽がある。司馬遼太郎の歴史小説「坂の上の雲」の、ドラマ版の主題歌である、久石譲作曲の「Stand Alone」だ。
「Stand Alone、つまり『ひとりで立つ』という意味に、すべてを自分でやらなくてはいけないという戒めを込めているのです」。サラリーマン時代とは異なる緊張感を胸にいだきつつ、ワイナリー経営という新しい人生を歩みだしたのだ。

『Nikkawaワイナリーのぶどう栽培 安心安全を第一に考えて』

続いては、Nikkawaワイナリーで育てるぶどう品種や、栽培のこだわりをみていこう。

▶Nikkawaワイナリーで育てるぶどう 家族で幅広い品種を育てる

Nikkawaワイナリーでは、家族で協力してぶどうを栽培する。ワイン用ぶどうの栽培に使用している圃場の広さ合計は、95a。そのうちの55aは吉原さんが栽培する畑で、残りは甥に管理を任せている。

自分が栽培する畑のぶどうは、全部で5品種ある。

  • アジロン・ダック
  • シャルドネ
  • モンドブリエ
  • ソーヴィニヨン・ブラン
  • プティ・ヴェルド

モンドブリエ、ソーヴィニヨン・ブラン、プティ・ヴェルドは、育て始めて2年程度の新しい苗。今後収穫が本格化するため、続々とワインとしてリリースする予定だ。

甥が育てるぶどう品種は以下の通り。勝沼で古くから育てられてきた品種を中心に栽培を依頼している。

  • 甲州
  • マスカット・ベーリーA
  • メルロー
  • ビジュノワール

育てるぶどう品種のうち、最も力を入れたいと考えているのは勝沼を代表する品種の「甲州」だ。勝沼の地で栽培され続け、長い栽培の歴史を有している事実は「勝沼に適しているぶどうである」という何よりも明確な証拠。

勝沼の地に生まれ、勝沼でワイナリーをするのだから、甲州の伝統と歴史を守りたい。そう考える吉原さんは、これからも甲州のワインを増やし、品質を向上させることを目指している。

「甲州は、自分が子供の頃から親しんできたぶどうでもあります。勝沼ならではの甲州を、お客様に満足してもらえるワインとして提供していきたいですね」。

甲州の栽培を重視する一方で、ワインの「品揃え」も考慮し、ほかの品種の栽培にも意欲的だ。多くの品種を栽培すると、収穫や醸造の時期が異なることで体力を分散する効果もある。
サラリーマン時代の金融業で培われたリスク感覚の鋭敏さと、ぶどう農家としてのチャレンジ精神をバランスよく備える吉原さん。

ワイナリーを運営するため、そしてお客様に喜んでもらうため。Nikkawaワイナリーのぶどう品種選定は、あらゆる観点から考え抜かれているのだ。

▶息子さんと協力して取り組むぶどう栽培

自身が管理する55aの畑でぶどう栽培作業の中心を担うのは、吉原さんの長男だ。
「息子は子供の頃、汚れるからと砂場にも入りたがらない子でした。ですが今では、自らすすんで畑で作業してくれています」。
吉原さんの言葉からは、息子と仕事ができることに対する喜びが感じられる。

2021年に御年73歳の吉原さん。体力的にも毎日の農作業は厳しいため、長男には大変助けられている。「むしろ自分は、長男の補助役ですよ」と目を細める。畑に立つ姿を見ると、長男にも「ぶどう農家の血」が確かに流れていることを感じるという。

ぶどう栽培で頼りになる長男は、ワイン醸造の技術習得にも熱心だ。Nikkawaワイナリーは、いずれ長男が引き継ぐことになるだろう。ぶどう栽培もワイン造りも、結果を出すにはそれなりの年数が必要だ。吉原さんはワイナリーの完成を次の世代に託そうと考えている。

長男がワイナリーを継ぐときに備え、力を入れているのがワイナリーの「インフラ整備」だ。東京生まれの長男には、勝沼の土地勘や人脈がない。一方の吉原さんは勝沼出身で、幼い頃から慣れ親しんだ土地だ。人脈を使って仕入れ、販売ルートを広げるのは自分の使命だと考え、安定運営の「基盤造り」に取り組んでいる。

Nikkawaワイナリーには、未来がある。吉原さんは家族という心強いパートナーと共に、理想の未来を手にするために信じた道を進む。

▶健全なワインのために健全なぶどうを作る 栽培のこだわり

「健全なぶどうから健全なワインができる」。
ワイン造りにおいて頻繁に使われる言葉だ。Nikkawaワイナリーも同様の考えを持つ。健全なぶどうは高品質なワイン造りに直結すると考え、栽培においても妥協は一切しない。

吉原さんが日頃から肝に銘じているのは「お客様の口に直接入るものを育てているのだ」との意識を持つこと。生食用と同じクオリティを提供するための安全性への信念を持って、ワイン用ぶどうを栽培している。

安心安全なぶどうを育てるために徹底しているのは、病気のないぶどうを育てること。栽培のこだわりは、ふたつある。

ひとつは、さまざまな人の意見を取り入れながら、常に向上心を持って栽培に取り組んでいること。もうひとつは、日々ぶどうの観察を欠かさないことだ。畑の見回りを頻繁に行い、少しの変化も見逃さないことを心がける。

だが、ぶどう栽培に「予想外」が起こるのは日常茶飯事。どれだけ注意して観察していても、最新の試みを取り入れても、すべてのアクシデントが取りのぞけるわけではない。同じ作業を行っても年によって出来は異なり、試行錯誤の連続だ。

普通ならあきらめてしまうような状況でも、吉原さんはポジティブマインドで乗り越える。
「予想外の困難をどう乗り越えていくか。困難を負のものだと思わずに『この歳になっても新しい経験ができるなんて幸せだ』と考えているのです」。
なんとたくましく、勇気ある言葉だろうか。

「今は苦しくても、よくなった時に備えて何をするか」を常に考える。地表に見えない努力は、花開いた時に大きな差となって現れるのだ。苦しみや辛さを経験として受け入れながら、向上する努力を忘れないひたむきさは、Nikkawaワイナリーの大きな魅力のひとつだ。

『Nikkawaワイナリーのワイン お客様が心から満足できる時間の創出を目指して』

続いては、Nikkawaワイナリーが造るワインについてみていこう。どのようなワインを、どんなこだわりを持って醸造しているのだろうか。
ワインに対する思いや、Nikkawaワイナリーならではのワイン造りについて伺った。

▶選ぶ楽しさ Nikkawaワイナリーのワイン

Nikkawaワイナリーが造るワインのラインナップは、実に多彩だ。年ごとのぶどうの状態によっても異なるが、年間10種類近くの銘柄をリリースしている。

今までにリリースしたワインをぶどう種類で分けると、以下のようになる。

<白ワイン>

  • 甲州

<赤ワイン>

  • マスカット・ベーリーA
  • アジロン・ダック
  • カベルネソービニヨン

だが驚くべきは、同じぶどう品種の中でも数種類のワインが存在すること。
例えば甲州であれば、収穫時期の違い、シュール・リー(ワインの澱と共に熟成させることで、旨味を引き出す製法)や樽熟の有無で、何種類ものワインを造り分けているのだ。
収穫時期によってワインを変えるときは、使用する酵母も目指す味に合わせて変える。

甲州で造ったワイン「甲州 桜地蔵 20‘」は、吉原さん自慢の1本だ。最もバランスが取れたワインに仕上がっており、初めてNikkawaワイナリーのワインを飲む人にもおすすめだという。

「桜地蔵」とは、圃場がある土地の名だ。冬でも開花することがある、四季咲きの桜が植えられている。吉原さんが幼い頃には相撲大会が開かれたこともあった思い出深い場所だ。

「まずは甲州で納得のいくワインを造りたい」という、吉原さんの思いが表現されたワインである。ぶどうに鳥がとまったエチケットのイラストは、絵本作家の田頭よしたかさんに依頼したもの。小規模ワイナリーならではの、ほのぼのとした雰囲気を表現している。

マスカット・ベーリーAのワインでは、垣根栽培と棚栽培のぶどうを別々に醸造している。赤だけでなくロゼワインも造っているため、多彩なマスカット・ベーリーAのワインを楽しむことが可能だ。

なぜこんなにもたくさんのワイン種類を用意するのだろうか?その理由は、お客様のあらゆる好みに合わせるため。醸造方法やぶどうの選定を変えれば、ワインの味は無限に広がる。

「人間の好みは十人十色。自分がおすすめするものが、お客様に響かないこともあります。テイスティングしてお好みのものを厳選し、心から満足していただきたいのです」。

Nikkawaワイナリーでは、ワインを選ぶ時間までも楽しめる。時間と労力とお金をかけて、わざわざワイナリーまで来ていただいた人に対して「これしかありません」とは言いたくないという吉原さん。

また、2021年ヴィンテージからは、新たに以下のラインナップが追加予定だ。

  • メルロー
  • シャルドネ
  • ソーヴィニヨン・ブラン
  • ビジュノ・アール

Nikkawaワイナリーでワインを選ぶ楽しみは、これからもますます拡大していく。

▶タンクローテーションと徹底した衛生管理

ワインの種類が多いNikkawaワイナリーでは、小規模ワイナリー故にタンクローテーションに最も頭を悩ませる。醸造のタイミングを細かく考えてシミュレーションした上で、タンクローテーションの年間計画を立てて醸造しているのだ。

タンクローテーションの管理は非常に煩雑に思えるが、吉原さんは「楽しく有意義」な作業だと考える。
「多くの種類を醸造しているからこそ、お客様と会話が弾むこともあるのですよ。一見めんどうに思えることでも、お客様とのつながりを生むのです」。

タンクローテーション以外にも、とりわけ気を使っているのが衛生管理だ。ワインはお酒ではあるがれっきとした「食品」だと考え、衛生管理を徹底している。

衛生管理を徹底するうえで心強いのが、吉原さんの妻の存在だ。自分では気を付けているつもりでも、妻に不十分だと指摘されることが多々あるという。
「やはり家族の食卓を守ってきた妻は、衛生に対して見る目が厳しく頼りになりますね」と、妻への信頼は厚い。

▶醸造の苦労 すべてが自分次第

醸造で苦労するのは、ぶどう栽培と同様に、常に予想外のことが発生すること。そしてトラブルの責任はすべて自分で受け止めなくてはならない点だ。

ワイン醸造では、目に見えない「酵母」を使う。変化が分かりにくいからこそ、思いもしなかった結果になることもある。サラリーマン時代のように「やることさえやれば、うまくいく」ものではないのだ。

組織で働いていたサラリーマン時代と比べ、ワイナリー運営は個人の仕事。
「組織の中では隠せていた自分の弱みがあぶり出されて苦しい時もあります。しかしなにごとも100%自分次第なので、進んでいくための活力にもなります」。

予想外のことが頻発するからこそ、何が起こっても受け止められる心の余裕を持ってワイン造りに取り組むようになった。
「ワイン造りをするようになってから、心が広くなったように感じますね」。

Nikkawaワイナリーの造り手は、さまざまな人生経験を経て「瓶内熟成」を迎えた存在だ。ワイン造りは、吉原さんの人生を映し出す鏡のようなものなのかもしれない。

▶生産者の顔が見えるワイナリーとしての強み 小規模だからこそお客様とのつながりを大切に

Nikkawaワイナリーが掲げるポリシーは「ぶどう栽培者と、ワイン醸造家の顔が見えるワイナリー」であること。ワイン造りの全工程を一族で行うことで、すべてに目が行き届く透明性が最大の強みだ。

吉原さんがモットーにしているのは、お客様に「ワインを楽しむ『時間』そのものを楽しんでもらうこと」。ワインの味ではなく、ワイナリーに来た時間そのものを満喫できる場を提供したいと考えている。

お客様とのつながりという点では、Nikkawaワイナリーがある立地も強みのひとつに数えられる。Nikkawaワイナリーがある「勝沼ワイン村」は、東京からのアクセスも良好だ。また勝沼ワイン村周辺には10以上のワイナリーが集まっている。
そのため、ワイナリー巡りをする時にネックとなる「車の運転」をする必要がない。タクシーで勝沼ワイン村まで行ってしまえば、あとは歩きながらいくつものワイナリーを回ることができるのだ。

「勝沼ワイン村は、気軽にワイナリーに来ていただける最高のロケーションにあります。美しい四季の自然を肌で感じてもらうこともできる。共にワインの話をしながら、滞在時間そのものを楽しんでもらいたいのです」。
吉原さんの言葉からは、地元勝沼とワインに対する深い愛情が感じられる。

『Nikkawaワイナリーの未来とは 勝沼のぶどう栽培を守りたい』

最後に紹介するのは、Nikkawaワイナリー将来の展望について。ワイン造りの目標と、ワイナリーとしての目標を順に紹介していこう。

▶甲州やベーリーAなど地元品種のワインを造る

ワイン造りでの目標は、「勝沼ならでは」のぶどう品種を使用したワイン造りに力を入れていくこと。具体的な品種は「甲州」と「マスカット・ベーリーA」だ。

丁寧な栽培を続けながら、より高品質なぶどうで勝沼らしさを表現できるよう、ワイン醸造に励んでいきたいと話す。勝沼のぶどう栽培の歴史をワインで表現することが、吉原さんの願いだ。

▶生まれ故郷のぶどう栽培を守る存在として

ワイナリーとしての目標は、地域に貢献することと、勝沼ぶどう栽培の歴史を守ることだ。

すでに日本農業遺産に登録されている勝沼は、今後、世界農業遺産の登録も目指している。しかし農業遺産への登録は、地域でぶどう栽培が継続することではじめて成り立つもの。
「ぶどう畑のある景観をどのように維持するか」が、地区の大きなテーマになっているのだ。

「生まれ育った土地に貢献したいという思いが強いですね。景観を維持するためにもぶどう栽培を続け、地域のワイン産業の一端を担いたいと考えています」。

ふるさとを出て、東京に働きに出た吉原さん。童謡ふるさとの歌詞は「志を果たして、いつの日にか帰らん」だが、生まれ故郷に戻り、地域貢献を志す吉原さんにとっては「志を果たし『に』、いつの日にか帰らん」だ。

地域貢献への思いは、後を継ぐ息子にも伝えていきたいと話す吉原さん。勝沼ぶどう栽培の歴史をつむぎ続けることこそが、Nikkawaワイナリーが目指す「勝沼への貢献」なのだ。

『まとめ』

Nikkawaワイナリーは、ぶどう栽培とワイン造りのすべてを一族で行っている。目の行き届いたワイン造りは安心で安全。勝沼の大地が生み出した恵みを、余すところなく享受できるワインが味わえる。

日本ワインの素晴らしさを体感し、ワインが生まれる場所を満喫したいと思い立ったら、気軽に出かけてみたい。
勝沼愛に満ちたNikkawaワイナリー造り手一家が、暖かく迎えてくれるだろう。

基本情報

名称Nikkawaワイナリー
所在地〒409 -1316
山梨県甲州市勝沼町勝沼2543-15
アクセス
勝沼ICより車で5分
電車
勝沼ぶどう郷駅より車で5分
HPhttps://nikkawa-winery.com/

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