長野県北安曇郡池田町。山々が連なる自然豊かな土地にある1軒のワイナリー。
それが「DOMAINE HIROKI(ドメーヌ・ヒロキ)」だ。ぶどう畑が広がる、丘の上にたたずむ。
DOMAINE HIROKI代表の横山弘樹さんは、「ワイン用ぶどう専業契約農家」として長くぶどう栽培にたずさわってきた。
ワイナリー開業は、長年ぶどうを作り続けてきた横山さんの夢だったのだ。
自らの夢を実現させた横山さん。その経緯やぶどう栽培のこだわり、ワイン造りの工夫についてお話を伺った。
『ぶどう栽培農家からワイナリーへ 創業のきっかけ』
まず紹介していくのが、DOMAINE HIROKI創業のきっかけについてだ。代表の横山さんがワイナリーを始めようと思い立ったきっかけとは?またワイナリーを始めるまでには、どのような道のりを歩んできたのだろうか?
横山さんとワインとのつながりについて、順を追って紹介していこう。
▶13年間携わってきたぶどう栽培
横山さんは、13年間ぶどう栽培に携わってきた。それも、ただのぶどう栽培ではなく「ワイン用ぶどう」を栽培してきたプロフェッショナルだ。
横山さんがぶどう栽培を始めたきっかけには、横山さんのふるさとである長野県北安曇郡池田町の農地造成が関係している。
ワイン用ぶどうの農地を造成していた、当時の池田町。池田町は町をワイン用ぶどう産地として盛り上げるべく、耕作放棄地を農地へと作り替える事業に着手していたのだ。
今でこそ、ワイン用ぶどうは人気が高い農作物だ。池田町においても、町を挙げてワイン造りやワイン用ぶどう農地の確保に力を入れている。しかし10数年前は、ワイン用ぶどうに手を出す農家はまだ少なかった。
「これからワイン用ぶどうの生産を盛り上げていこう」という、まさに先駆けの時期だったのだ。
町からぶどう栽培の声がかかったのが、農協職員であった横山さんの父。ちょうど、農協を早期退職したタイミングだった。横山さんの父は、息子の横山さんに地元に帰って来ないかと相談する。東京の大学に進学した横山さんは、故郷を離れそのまま東京で暮らしていたのだ。
元々、将来は故郷に帰ることも考えていたという横山さん。
「タイミング的にもちょうどよく、それならばと挑戦してみることにしました」。
故郷の池田町に戻った横山さんは、初めてのぶどう栽培をスタートさせたのだ。
ぶどう栽培について右も左も分からないなかでお世話になったのが、某大手ワイナリーや、ぶどう栽培の先輩達だった。栽培のイロハは、契約関係があったワイナリーに学んだ。
またワイン用ぶどう栽培技術者がいた長野県高山村に赴き、垣根栽培についても教えてもらった。栽培実績があるぶどう畑で、基本から応用に至るまで多くの技術を学び、知識を得た。
「当時知り合った人たちには、大変お世話になりました。たくさんのことを勉強させてもらえましたね」と、横山さんは当時を思い起こす。とにかくがむしゃらに、ぶどう栽培の経験を積む毎日だった。
▶13年のぶどう栽培を経て ワインの魅力に引き込まれる
ぶどうを栽培して契約ワイナリーにぶどうを卸していた横山さんは、長野県松本市にあるワインに関する知識を学べる学校にも通い始める。
ぶどう栽培を始めてから、ワインに興味が出てきたからだ。
ぶどうや醸造方法によって、多彩に表情を変えるワイン。人と人とのつながりを生み出す、不思議なお酒だ。10年近くぶどう栽培を続けるなかで、ワインという飲み物に強く魅了されていた横山さん。
自分の中で「ぶどうだけでなくワインも造りたい」という思いが強まってくるのを感じていた。
そんな横山さんに転機が訪れる。2016年頃に、池田町から新規の農地造成の話が持ち上がったのだ。造成予定の土地は、現在の自分の畑から近い場所。
何かの縁を感じた横山さんは、造成された場所の近くに自分のワイナリーを造ろうと決心したのだった。
▶契約栽培農家から自社ワイナリー運営へ 自分の植えたい品種を育てたい
自分のワイナリーを造ることを決心した横山さんは、育てるぶどう品種を検討することにした。
横山さんの頭にあったのは「せっかく自分のワイナリーなのだから、自分の好きな品種を植えたい」という思いだ。契約ぶどう農家専業時代は、苗木はすべて契約先のワイナリーから提供されたものだったのだ。
横山さんは自分の好きなぶどう品種を選び、畑に植樹。4年後の本格収穫を目指し、自社ワイナリー用のぶどう栽培をスタートした。
苗を植えてから3年目には、ワインを造れるだけの量を収穫できた。初年度に収穫したぶどうは、委託醸造したという。
2020年7月には晴れてDOMAINE HIROKIがオープンし、委託醸造のワインが並べられた。2021年現在は、自社醸造したワインのファーストヴィンテージが店頭に並ぶ。
横山さんは現在も県の醸造勉強会に参加しながら、ワイン造りのさらなる技術向上に励む。ワイナリー設立という自分の夢を叶えた横山さん。
「自分の望むワインを造り、多くの人に味わってもらう」とのさらなる夢の高みに向け、歩みを止めることなく突き進んでいく。
『自分の好きな品種を育てたい DOMAINE HIROKIのぶどう』
続いて、DOMAINE HIROKIで育てるワイン用ぶどうについて見ていこう。紹介するのは、ぶどう栽培のこだわりや自慢の自社畑についてだ。
まずは、DOMAINE HIROKIの自社畑で栽培するぶどう品種を解説しよう。
DOMAINE HIROKIで育てるぶどうは、すべてワイン用のぶどう品種だ。
栽培品種は全部で6種類。メインに使用する品種4種類と、試験的に栽培している2種類に分かれる。
メインの品種は以下の通り。
<白ぶどう品種>
- ソーヴィニヨン・ブラン
- シャルドネ
<赤ぶどう品種>
- カベルネ・ソーヴィニヨン
- メルロー
そして試験的に植えている品種は「カベルネ・フラン」と「プティ・ヴェルド」となっている。
それぞれの品種を植えた理由を紹介していこう。まずは、ソーヴィニヨン・ブランについて。ソーヴィニヨン・ブランを育てる最大の理由は、横山さん自身が好きな品種だということだ。ソーヴィニヨン・ブランならではの「香り」が気に入っているという。
ソーヴィニヨン・ブランを育てる理由はもうひとつある。自社畑のある池田町では、ソーヴィニヨン・ブランの栽培が適していると考えているからだ。池田町の中には、30年という長い期間に渡りソーヴィニヨン・ブランを栽培している圃場があるのだ。
池田町で育てられたソーヴィニヨン・ブランから造られたワインは、コンクールで4年連続の受賞実績があるという。
「池田町には質の高いソーヴィニヨン・ブランが栽培されている。だからこそ、自分の畑でもチャレンジする価値があると思いました」。
続いて、メルローやカベルネ・ソーヴィニヨンといった赤ぶどう品種を栽培する理由について紹介していく。1番の理由は、重厚感のあるワインを造れる品種を植えたかったから。ボルドー系のブレンドにチャレンジするため、メルローやカベルネ・ソーヴィニヨン、そしてカベルネ・フランとプティ・ヴェルドといったボルドーで使用されている品種を植えたのだ。
池田町で採れるメルローは、メルロー産地として有名な「塩尻」よりも2週間ほど収穫タイミングが早いのだとか。同じ長野だというのに、地域の違いで2週間も収穫タイミングが異なるという話には驚いた。ぶどうの個性も大きく異なるのだろう。
メルローは、池田町ならではの個性を生かしていきたいという。
「土地に合うぶどうをしっかりと育てていきたいと考えています」。
横山さんは、自社畑でのぶどう栽培に対する決意をそう話す。
▶美しい斜面に広がる自社畑
DOMAINE HIROKIの自社畑の広さは5ha。そのうち2ha分が、自社ワイナリー用の圃場だ。残りは、大手ワイナリーと契約しているぶどうを栽培する圃場である。
2021年現在、自社ワイナリー分の圃場2haは、栽培5年目に突入したところだ。自社畑は、雄大な北アルプスが見渡せる丘の斜面に広がる。
栽培方式は垣根仕立てのみ。まるでヨーロッパのぶどう畑さながらの風景だ。天気がよければ、圃場から白馬の山までが見渡せるという。
「風景が大変美しい場所で、素晴らしい立地だと思っています。ぶどう畑の美しさも魅力ですね」。
ワイナリーの建物からぶどう畑が一望できる点も、DOMAINE HIROKIの魅力のひとつだ。
美しいだけでなく、ぶどう栽培にとっても利点の多い「斜面」の畑。斜面にある畑は水が溜まらずに流れていくため、水はけがよくなるのだ。
また日当たりが確保できるため、ぶどうの糖度が上がりやすい。そのほかの利点として、霜が降りにくいという点も挙げられる。霜は斜面を流れていくので、麓の川のほうに溜まるのだそうだ。そのため斜面の畑は、凍害に強い性質を持つ。
続いて、土壌についても紹介したい。DOMAINE HIROKIの自社畑の土壌は、ごろごろと石が出てくるような土質だ。そのため、土壌自体の水はけも大変良好だという。乾燥を好むぶどうにとって、これ以上ないほどの好条件がそろっている畑なのだ。
大手ワイナリーとの契約栽培畑があるということは、「ほかのワイナリーにとっても魅力的な場所である」ことを意味する。
「ぶどう栽培に最適な場所が確保できたことは、非常に恵まれていると感じています。自分はよい場所に生まれたな、と思いますね」と、横山さんは微笑む。
▶長年の栽培経験が強み DOMAINE HIROKIのぶどう栽培
DOMAINE HIROKIのぶどう栽培における1番の強みは、横山さん自身の栽培経験の長さにある。
契約栽培農家としての経験が、ワイン造りにダイレクトに生かせている点が、DOMAINE HIROKIならではの強みなのだ。
具体的に栽培の工夫について紹介していきたい。横山さんが最も注意しているのが、ぶどうに病気を出さないことだ。
「病気が出てしまうと、ぶどう自身の力が弱まります。病気にさせないことが、最も重要なのです」。
病気が1度出てしまうと、ぶどうの房全体を落とさなくてはならなくなる。1部だけを除去するのでは、病気の広がりを抑えられないためだ。病気の防除はとりわけ丁寧に行う。特に雨が続くようであれば、早め早めの対応を徹底している。
また、どういったときに病気が出やすいのかについても教えていただいた。
「ぶどうの病気が出やすいのは、酸が下がって糖度が上がる、熟す過程のタイミングです」。
特にフランス系のぶどう品種は、日本の気候では病気が発生しやすい。そのため、適切な収穫時期を見極めることが重要なのだ。ぶどうが熟すタイミングで雨が降ってしまうと、収穫を早める必要が出てくる。収穫時期が早くなるということは、十分に熟さないまま収穫しなくてはならないということになる。
「未熟な状態では収穫したくありません。逆算しつつ、ぶどうにとって最適な収穫タイミングを考えながら栽培しています」。
病気を出さず、最も美味しい時期にぶどうを収穫することにこだわる横山さん。長年培ってきたぶどう栽培の経験により、高品質なぶどうが生み出されているのだ。
▶ファーストヴィンテージ 2020年のぶどう栽培
自社醸造のファーストヴィンテージである、2020年ぶどう栽培の状況について伺った。長雨が続く「難しい年」ともいわれた2020年だったが、横山さんは「よい年」だったと話す。
「シャルドネは若干、灰色カビ病が出たものの、梅雨の後は晴れたため、病気も治まりました。その後は病気をほとんど出さずに収穫でき、高品質でした」。
自社ワイナリー用のぶどうも契約栽培のぶどうも、満足のいくものが収穫できたそうだ。梅雨時期まで雨が多かったことは確かだが、収穫時期の降雨が少なかった点がぶどうにとっては幸いだったという。
「DOMAINE HIROKIの畑は標高が高いため、収穫時期が少し遅いのです。収穫が早い場所だったら、病気が出ていた可能性もありますね」と横山さん。少しの場所の違いによって、病気が出るかどうかの差ができるのだそうだ。
自然を相手にするぶどう栽培の難しさを感じる。2021年も、DOMAINE HIROKIにとって素晴らしい1年になることを願うばかりだ。
『池田町の名産としての思い DOMAINE HIROKIのワイン』
それでは、DOMAINE HIROKIで醸造するワインについて見ていこう。
2020年は、およそ1万2,000本のワインを醸造。今年中に、1万本前後がリリースされる予定だ。
「ワイナリーの醸造可能容量が1万5,000本くらいなので、すでに限度近くまで運営できています」。
2020年の収量が多かったことも大きかったようだ。想定以上の好ペースでワイン醸造が進められているという。
そんなDOMAINE HIROKIで目指しているワイン像について伺った。DOMAINE HIROKIが目指すのは「地元に愛されるワイナリー」であること。そのためには、ぶどうに余計な細工を加えずにワインにすることを大切にしたいと考えている。
「まずはステンレスタンクで、ストレートにぶどうの美味しさを表現できるワインを目指したいと考えています」。
育てたぶどうのポテンシャルが伝わるワインであること。そして地元の人々に愛されるワイナリーであること。それが横山さんの願いであり、ワイン造りにおける1番の喜びなのだ。
▶「よいぶどうを使うこと」 醸造方法とこだわり
続いて、DOMAINE HIROKIの醸造スタイルやこだわりについて尋ねた。DOMAINE HIROKIの基本スタイルは、原料である「ぶどう」を大切にすることだ。
「ぶどうがよければ、醸造で余計なものを加えなくても高品質なワインができますから」。
実際の醸造作業においては、醸造家が中心となりながら、横山さんとの相談を重ねてワインを造る。場合によっては、ソムリエに相談しながら方針を決めることもある。
横山さんと醸造家が相談する内容は「どんな酵母を使うか」「どんなスタイルのワインにするか」などさまざまだ。まだヴィンテージが少ないため、いろいろな工夫や調整を試しながらワインにしているところだという。
例えば2020年の醸造では、具体的にふたつの試みを行った。ひとつは、遅摘みと早摘みのソーヴィニヨン・ブランを分けて醸造したこと。もうひとつは、メルローの収穫時期を3段階にし、それぞれタンクを分けて醸造したことだ。味を見ながらブレンドし、4種類のブレンドワインができあがった。
「味を細かく見ていきながら、メンバーで話し合ってワインの方向性を決めています」。
自分の造るワインについて、とても楽しそうに話をしてくれた横山さん。
自分でぶどうを造り、自分が目指すワインにする。大変であることは間違いないだろうが、生き生きと話す横山さんの姿を見ると、それ以上の「楽しさ」が伝わってくる。
▶今しか飲めないフレッシュさを楽しんで欲しい
DOMAINE HIROKIで生まれたワインの味わいは、いったいどういったものなのだろうか?
「4〜5年目のぶどうなので、樹としては若木。若木ならではのフレッシュさが魅力です」。
ぶどうの樹齢が上がると、ワインも樹齢に伴い濃厚になっていく傾向があるという。
「自社畑のぶどうも、これから樹齢を重ねていきます。今後は濃厚なワインが増えていくでしょう。逆に言えば、フレッシュなワインは今だけ。楽しんでいただきたいです」。
年を重ねていくぶどうの味を、毎年比べてみるのも興味深い。今しかないフレッシュさを楽しむと同時に、古木のぶどうから生まれるワインが飲める日が来るのも、楽しみにしたい。
▶大勢で楽しく飲んでもらえたら
DOMAINE HIROKIのワインを、どんな人にどんな場面で飲んでもらいたいかについて、横山さんに尋ねた。
「もちろん、日常のワインとして飲んでいただけると嬉しいです。中でも1番嬉しいのは、大勢が集まる場で飲んでもらうことですね」。
ワインは大勢で飲むと楽しいお酒だ。収穫された畑や醸造年、ぶどう品種やブレンドなどで味が異なる。開けたワインのヴィンテージから当時のことを思い出したり、その年の気候について話したり。そんな楽しみ方ができるのが、ワインの魅力だと横山さんは話す。
また「大勢で飲んで欲しい」という願いに加えて横山さんが話してくれたのが、「池田町の名産品として飲んで欲しい」との思いだ。
横山さんの願いは「池田町の顔のような存在になること」だという。
「地元出身で、現在は地元から離れている人にも飲んで欲しいですね」。横山さんのお話から感じるのは、自分の生まれ故郷である池田町への愛と、ワインへの愛だ。
温かな横山さんの人柄が、ワインにも表れているかのようだ。ぜひ気心の知れた仲間や、家族との食卓に並べて楽しんでみてはいかがだろうか。
▶2020年醸造したワイン
2020年ヴィンテージのワインは、9種類を予定している。DOMAINE HIROKIで醸造するワインの特徴や魅力を紹介していきたい。
まずは、ソーヴィニヨン・ブランのワインから。ソーヴィニヨン・ブランのワインは、遅摘みのぶどうを使用した「エレガント」と、通常の収穫ぶどうを使用したスタンダードなソーヴィニヨン・ブランの2種類がある。
特に横山さんのおすすめは、ソムリエにも評価してもらったワインだという「ソーヴィニヨン・ブラン・エレガント」だ。収穫時期をギリギリまで伸ばすことで、豊かな香りが表現されたワインに仕上がった。
続いて紹介するのが「龍眼」というぶどう品種のワイン。龍眼は、長野県の名産ぶどうだ。DOMAINE HIROKIの自社畑では栽培していないため、買い入れたぶどうを使用している。
「安曇野市に樹齢30年の龍眼があり、よいワインができました。心地よい風味もあり、飲食店に人気の高いワインに仕上がっています」。
すっきりとした辛口とほろ苦さが相まって、和食にぴったりのワインだ。
白以外だと、メルローとカベルネ・ソーヴィニヨンをブレンドした「ロゼ」や、「メルロー」の赤などもある。
「色々なブレンドも考えるのはとても楽しいです」と横山さん。表情がきらきらと輝き、ワイン造りの喜びが伝わってくる。
今後も自社圃場で栽培中のぶどうを中心に、ヴィンテージやブレンドの違いを表現していくという。
『イベントを楽しめるワイナリーでありたい 将来の展望』
最後に、ワイナリー今後の展望や近い将来計画していることについて話を伺った。2020年は、少人数での収穫体験を行ったというDOMAINE HIROKI。2021年以降も、ワイナリーに訪れて楽しめる「体験型」のイベント開催ができればと考えている。
具体的に考えていることは、大きく3つだ。
ひとつは、ワイナリーで食事を楽しみながらぶどう栽培体験ができるイベントだ。収穫だけではなく「芽かき」などの作業をしつつ、参加者で料理を楽しめるイベントを検討しているという。
「ぶどうを見ながら焼き肉したり、なんていうのも楽しそうですよね」。
横山さんの構想は尽きることがない。
ふたつ目は、横山さん自身が実行委員をしていたという「信州池田町ワイン祭り」への参加だ。ただし2021年の池田町ワイン祭りは、新型コロナウイルスの情勢から既に中止が決定されている。来年以降に開催されれば、必ず参加したいとのことだ。
池田町のワイン祭りは、毎年10月の中旬頃開催される、ワインイベントだ。会費制で、池田町産ぶどうを使ったワインが飲み放題。なんと参加者ひとりにつきワイン1本の量が用意されているのだとか。
また有料の試飲もあり、多様なグレードのワインが手頃に楽しめるのが特徴だ。
3つ目は、ワイナリーや池田町の季節を感じられるイベントを開催すること。
「ぶどう畑の四季を感じられるのは、ワイナリーの特権です。季節に合わせたワインイベントを考えていきたいです」と横山さん。
のんびりと圃場を散歩しながら、風景や四季の移ろいを感じられるイベントができればと話す。
横山さんが願うのは、遠くからも多くの人に足を運んでもらうこと。そして池田町の美しい景色と共に、池田町で生まれたワインを味わってもらうことだ。
「そのために、たくさんの人に来てもらえるような魅力的なワイナリーにしたいですね」。
池田町を代表する、多くの人に愛されるワイナリーにしたい。柔らかな横山さんの人柄と、ぶどう栽培の確かな技術は、地域の顔たるワイナリーとして末永く人に愛される存在になるだろう。横山さんが話すワイン造りや故郷の池田町へのまっすぐな思いを聞くと、確信にも似た思いが湧き上がるのだ。
『まとめ』
DOMAINE HIROKIは、2020年に誕生した長野県池田町で初のワイナリー。北アルプスの山々を望む素晴らしい景色と、可愛らしく品のよい素敵な建物が、異国情緒を醸し出す。
春夏秋冬いつ訪れても、その時期ならではの魅力が発見できるワイナリーだ。ぶどう畑の四季を体中に感じながらワインを飲むのは、なんとも贅沢なひととき。ここでしか味わえない空気やワインの味のとりこになってしまうだろう。
1度行ったらまたすぐに、「池田町に帰りたくなってしまう」、そんなワイナリーなのだ。
基本情報
名称 | DOMAINE HIROKI(ドメーヌ・ヒロキ) |
所在地 | 〒399-8602 長野県北安曇郡池田町会染24455−2 |
アクセス | 電車 JR安曇追分駅から車で7分 車 安曇野ICから車で22分 |
HP | https://domaine-hiroki.wine/ |