『中伊豆ワイナリー シャトー T.S』ワイン・レジャー・料理全てが楽しめる地上の楽園

中伊豆ワイナリー シャトーT.Sは、大のワイン好きだというオーナーが手掛けた伊豆半島にあるワイナリーだ。中伊豆ワイナリー シャトーT.Sは、ぶどう畑と醸造所を見学できるだけのワイナリーではない。
宿泊、アクティビティ、レストランなどが楽しめる、リゾート総合施設「中伊豆ワイナリーヒルズ」のひとつとして運営されているのだ。

ワイン好きが家族で一日中楽しめる、中伊豆ワイナリーヒルズ。ワイナリー創業のきっかけや、ぶどう栽培とワイン造りのこだわりについて紹介していこう。
中伊豆のテロワールを映し出す、高品質なワイン造りのエピソードについても必見だ。

『きっかけは、地元への恩返し』

中伊豆ワイナリーヒルズを立ち上げたのは、シダックス株式会社の創業者でもある志太勤さん。現在は、同社の取締役最高顧問を務めている。
シダックス株式会社は、フードサービス事業、車両や運行サービス事業、社会サービス事業などを手掛ける総合サービス企業だ。

ワイン造りとは違った分野で活躍されている志太さんが、なぜワイナリーの立ち上げに至ったのか。その経緯について話を聞いた。

ワイナリーが造られたきっかけは、志太さんの「地元への恩返し」にあった。ワイン愛好家の志太さんは、自分の好きな「ワイン」を使って地域活性化ができないかと考えたのだ。

そして1987年、地元伊豆で本格的にぶどう栽培を開始する。伊豆半島の付け根にある、三島市で2aほどの畑を借り、ぶどうの試験栽培を始めたのだ。

1989年には旧修善寺町(現・伊豆市熊坂)に試験栽培農場を開設。雨が多い伊豆の気候対策として「レインカット方式(雨よけの被膜でぶどうの上部を覆う栽培方法)」を採用するなど、より良いぶどう栽培のために試行錯誤を繰り返す。

そして1993年、現在の中伊豆ワイナリー シャトーT.Sがある静岡県伊豆市下白岩の土地を取得。ワイン用ぶどう品種の試験栽培・醸造も開始し、本格的にワイナリー事業を始動するための大きな一歩となった。

1999年に醸造免許を取得し、2000年1月には「中伊豆ワイナリー シャトーT.S」がオープン。中伊豆ワイナリー シャトーT.Sでは、ワインの売店やレストランを併設したワイン工場の見学ができる。
ワインを余すことなく楽しめる総合施設が生まれたのだ。

2001年には2kmほど離れた場所に「ホテルワイナリーヒル」をオープン。総合リゾート施設「中伊豆ワイナリーヒルズ」として、様々な体験が楽しめる場所になった。宿泊・アクティビティ・温泉・食事・結婚式など、訪問客の幅広い要望に応える設備が備わっている。
中伊豆ワイナリーヒルズには、宿泊や日帰り温泉の入浴客を含めて年間約10万人が来館している。

そして2021年現在、ぶどう畑の広さは10haほどまでに広がった。日本ワインコンクール2019では、欧州系品種・赤部門で「伊豆プティ・ヴェルド2017」が金賞を受賞。ワイン造りに対する評価も、ますます高まっているのだ。

▶「中伊豆ワイナリー シャトーT.S」名前の由来とワインコレクション

一面に広がるぶどう畑の丘を臨む場所にある、中伊豆ワイナリー シャトーT.S。ワイナリー名の由来と、ワイナリーが保有しているワインコレクションの内容について紹介していこう。

ワイナリー名の「中伊豆」は、造語ではなく旧地名だ。ワイナリーがある場所は「伊豆市」だが、市町村合併前の地名が「中伊豆町」なのだ。

続く「シャトー」はフランス語で「城」の意味。フランスで「ワインを生産する場所の名称」としても使われる言葉だ。

中伊豆ワイナリー シャトーT.Sにも、まさしくお城のような建物(シャトー)が建っていることから「シャトー」が名付けられた。そして最後の「T.S」は、オーナーである志太勤さんのイニシャルからとられたものだ。

中伊豆ワイナリー シャトーT.Sには、貴重なワインを展示しているコレクションセラーがあるという。コレクションセラーには、いったいどのようなワインがどのくらい展示されているのだろうか。
ワイン好きなオーナー、志太勤さんが集めた「志太コレクションセラー」について紹介したい。

コレクションセラー内にあるのは、カリフォルニアワインの頂点に立つ「オーパス・ワン」を始めとする貴重なワインの面々だ。
なんと「オーパス・ワン」は全てのヴィンテージがそろっているという。このことからも、志太さんがワインを愛してやまないことがうかがい知れる。

オーパス・ワンの他にも、希少価値の高い「プレ・フィロキセラワイン」が8本ほど展示されている。ワイナリーに足を運んだ時は、是非コレクションの貴重なワインを目に焼き付けていただきたい。

『中伊豆のテロワールを反映したぶどう作り』

中伊豆ワイナリー シャトーT.Sの、ぶどう栽培やこだわりについて紹介していきたい。

最初に紹介するのは中伊豆ワイナリー シャトーT.Sで栽培しているぶどう品種と、品種を選んだ理由についてだ。中伊豆ワイナリー シャトーT.Sで栽培しているぶどうは、白ぶどう品種が2種類、黒ぶどう品種が4種類。
具体的には以下の品種を育てている。

  • シャルドネ
  • 信濃リースリング
  • カベルネ・ソーヴィニヨン
  • メルロー
  • プティ・ヴェルド
  • ヤマ・ソービニオン

これらの品種を選んだ理由は、大きくふたつある。
ひとつは創業時のオーナーが好んでいた品種であること、もうひとつは中伊豆で栽培適性がある品種であることだ。

それぞれのぶどう品種は、伊豆の土地ならではの特性がワインに表現されていて面白い。シャルドネは伊豆半島の温暖な気候が影響し、トロピカルフルーツ様の香りが生まれる。酸が柔らかいことも特徴だ。

信濃リースリングはリンゴ様の品種香が特徴的だが、伊豆の気候を如実に映し出す品種だという。同じリンゴ様でも「青リンゴ様」や「赤リンゴ様」、さらには「完熟リンゴ様」と年によって成熟度合いが変わる。
ヴィンテージによって様々な表情が生まれる、興味深い品種だ。

プティ・ヴェルドからは果実の風味と色が濃いワインが生まれる。温暖な伊豆の気候と、プティ・ヴェルドの特性が上手くシンクロしているかのようだ。

ヤマ・ソービニオンは野趣あふれる風味が濃く、まるで自然あふれる伊豆を表しているよう。

伊豆の気候や土地の特性をまとえば、他では見られない唯一無二のぶどうに生まれ変わる。温暖な伊豆ならではの気候は、ぶどうの仕上がりに華を添えるのだ。

▶温暖で湿潤 ぶどうに影響を与える伊豆の気候とは

伊豆半島の真ん中だが海からもほど近い中伊豆の土地。気候も温暖で海の影響を受ける伊豆は、ぶどう栽培にどのような影響があるのだろうか。伊豆という土地が持つ気候や、伊豆ならではのぶどう栽培について紹介していこう。

伊豆の年間雨量は2,000mm前後、年間の降雨量が多い地域にあたる。特に6~7月の梅雨と台風の影響が大きく、時期によっては大幅に雨量が多くなる。

平均気温は15度前後だ。ぶどう成熟期の気温が高いため、品種によっては着色不良や低糖度になることもあるのだとか。一方、健全なぶどうの生育には必須の「風通し」に関しては良好だ。

中伊豆ワイナリー シャトーT.Sでの2020年のぶどう栽培は、どのような様子だったのだろうか?栽培の様子やぶどうの出来について尋ねた。

6~7月の梅雨の時期は例年の2倍近い降雨量があった反面、収穫前の8月には雨がほとんど降らなかった。おかげで、主に8~9月に収穫される白ぶどうの調子はまずまずだったという。
秋雨の影響も少なかったため、収穫直前の降雨に悩まされず「比較的良いヴィンテージ」と言える出来だったそうだ。

▶「伊豆のぶどう」という強み 畑や栽培のこだわりとは

続いて、中伊豆ワイナリー シャトーT.Sの畑や栽培のこだわりについて見ていこう。まずは畑の土壌について紹介したい。

中伊豆ワイナリー シャトーT.Sの土壌表層は、腐植質黒ボク土で排水性の良い土壌だ。なお黒ボク土とは、火山灰に由来した土壌のことである。

畑で行っているのは「雑草草生栽培」。草生栽培は下草を生やしたままにする栽培方法のことだ。

また土壌分析による土作りも行っている。分析結果によって極端に少ない土壌栄養素がある場合は施肥によって補っている。

続いて紹介していくのは、ぶどう栽培のこだわりだ。一番のこだわりとして挙げていただいたのが「伊豆でぶどう栽培していること自体がこだわり」だというもの。いったいどういうことなのか説明していこう。

伊豆でのぶどう栽培は、高温多湿というぶどう栽培にとって難しい要素もあるが「中伊豆のテロワールをワインで最大限表現できる」という強みがある。

雨が多い、気温が高いといったマイナスイメージを工夫と努力で乗り越え、伊豆のテロワールを前面に表現する。まさに「弱みを強みに変える」ぶどう栽培を行っているのだ。

伊豆のテロワールを表現するための具体的なこだわりは3つある。ひとつは、健全で高品質なぶどうを収穫すること。もうひとつは伊豆の気候に合ったぶどう品種の選定・栽培をすることだ。

3つ目が、ぶどうの樹形と樹勢を適切にコントロールすること。ぶどうの高品質化に向けて、近年特に注力している作業だという。伊豆は雨が多く土も肥えているため、そのまま育てると樹勢が強くなるぶどう品種がほとんどだ。
現状、夏場の摘芯は3回、多い場合には4回行っている。

そこで、樹勢を抑えるため剪定で残す結果母枝(実をつける枝を生やすための元になる枝のこと)候補は、やや細い枝を選び木と木の間隔を空けて長さを長めにとるように工夫する。

樹形は管理しやすいことを一番の目的に形作っている。同時に、継続性を保てることも重要だ。継続性を保つためには、現状だけでなくその後の状態もイメージすることを強く意識して作業しているという。

農場ではこの「共通認識」を持つことに重点を置き、日々のぶどう栽培を行っている。最終的な理想は「誰が見ても誰がやっても同じ状態になり、それにより畑全体が整うこと」だと話してくれた。

困難も多い、伊豆の広大な土地でぶどうを作るということ。雨が多いと作業も多く、通常より人手も多く必要で大変な作業だ。

しかし中伊豆ワイナリー シャトーT.Sでは「難しい場所で広い土地を使ってぶどうを育てているからこそ、多くの素晴らしい点がある」と考える。なぜなら数多くの品種のぶどう樹を、自分たちで見ながら手を加えて栽培できるから。そして自分たちの考えや、造りたいワインに向けたアプローチを畑づくりの段階から行うことができるためだ。

▶多雨の伊豆ならでは 栽培の苦労と工夫

中伊豆ワイナリー シャトーT.Sでのぶどう栽培における、苦労や工夫について伺った。伊豆ならではの「雨・高温による問題」が、苦労と工夫の中心になっているという。具体的な内容を紹介していこう。

第一声は「とにかくどの品種でも、病気対策は必須です。雨が多いため、病害が出やすいのです」というものだった。

基本的な雨対策として、雨除けの「グレープガード」を使用している。多湿に強いヤマ・ソービニオン以外の品種は、適切な雨対策が必須なのだという。
丁寧な雨対策を行っていても、夏の温暖湿潤な気候により「灰色カビ病」「ベト病」「晩腐病(おそぐされびょう)」などが発生する年もあるのだ。

適切な時期に丁寧な防除を徹底することにより、極力病気の発生を抑えて栽培を行っている。雨の被害といえば「台風」の存在も無視できない。台風が発生した時には、いついかなる時も進路から目が離せないのだという。

続いては「高温による問題」についてだ。成熟期の気温が高いと、低糖度になる問題が起こることもある。

低糖度の問題は次の2つが原因と考えられている。ひとつは夏場の高温・高湿で光合成などが上手く進まなかったこと。そしてもうひとつは、収穫前に秋雨や台風による大雨で、粒が水分を吸って肥大することだ。

夏場の高温多湿は対策が難しいが、大雨による実の肥大は工夫により改善が可能だという。できる限り雨が止んでから、2~3日晴れた後に収穫するのだ。ただし実際は秋雨が続くことも多く、思い通りに行かないことも多い。

実は近年、新たな種類の苦労も発生している。シカによる食害だ。食害は春の芽吹きから収穫まで続き、甚大な被害となっている。シカの食害防止策として実施しているのが、電気柵やワイヤーメッシュなどで畑全周を囲う対策だ。

栽培の苦労についての話を聞くと、自然相手の難しさがひしひしと感じられる。自然と共存し自然から来る困難に対処して、中伊豆ワイナリー シャトーT.Sはぶどうに向き合っているのだ。
生まれるワインは、人と自然と大地のエッセンスが凝縮されている。

▶品種によって異なる栽培の工夫

高温多湿が特徴の伊豆では、ぶどう品種ごとに異なる栽培の工夫も必要だ。品種ごとの栽培の工夫や苦労、こだわりを見ていこう。

降雨に関して特に敏感な品種は、白ぶどうのシャルドネ。雨が降ると、如実に水分を吸う品種なのだとか。実が過度に水分を吸うと、薄く味わいの少ないワインになってしまう。
中伊豆ワイナリー シャトーT.Sでは、多雨でも品質を確保するために小粒化・房内の果粒密度低減を目指して栽培を行っている。

信濃リースリングは開花後の花かす(おしべとめしべ、またそれが入っていた蕾)が落ちにくい品種。花かすを残したままにすると、灰色カビ病が発生しやすくなってしまう。そのため刷毛やブロワーを使用して花かすを落とす必要がある。

黒ぶどう品種のカベルネ・ソーヴィニヨンとメルローは、夏の高温により着色が弱くなる。中伊豆ワイナリー シャトーT.Sでは着色不良の原因を、夏場の高温および房への日照不足と考え、対策を行っている。

具体的に行っているのは、梅雨前の早い時期に除葉(ぶどう栽培で、葉の一部を除去する作業)をすること。除葉に加えて、房を回し房全体に太陽の光を当てる作業も行う。
房同士が密接していると、全体に日光が当たらないからだ。対策は実を結んでおり、着色に改善が見られている。

品種ごとに異なる特性があるため、違いを理解しながら特性に応じた対策を行う。気の遠くなるような繊細な作業だ。根気強い観察も必要だろう。ぶどうやワインへの深い愛を感じさせる、造り手の努力が見て取れる。

『「中伊豆」を表現するワイン』

ワイン醸造のこだわりは「ワインの品質を上げ続けること」そして「伊豆の風土を表す特徴あるワイン造りへ挑戦すること」。この大きな2つが柱になっている。

自社工場を設け、醸造を始めたのは1999年。「毎年が経験と勉強の連続です」という中伊豆ワイナリー シャトーT.S。
今までに21ヴィンテージが造られているが、満足のいく方法を確立するには、まだまだ経験が少ないと考えている。毎年のようにぶどうの状態・品質が違う上、新しい品種が増えながらワイン造りを行っているからだ。

まだ歴史が浅く、数少ない仕込みヴィンテージからいかに多くの情報を取り出せるか。それぞれのヴィンテージから得た情報を、それぞれのワインの品質向上にどうつなげていくか。これを1人の醸造責任者で考えるのは大変な作業だ。

現在、醸造を主として担当しているのは3名(内エノログ2名)。3名がそれぞれの担当を持つことで、数多い品種や銘柄に対応した仕込みの方法を考えている。なおエノログとは、ワイン醸造に関する専門機関で高度な知識と技術を学んだ「ワイン醸造技術管理士」のことだ。

毎年の醸造では、担当者全員がそれぞれ改善点を持ち寄って話し合いが行われる。担当者全員での話し合いによって、知識や経験、技術の補完がスピーディに進むのだ。それぞれが感じた良い点や悪い点、新しい発見を共有することで、ワインの品質向上につなげている。

醸造の担当者だけでなく、農場担当者との話し合いも頻繁に設ける。ぶどうの品質を醸造と栽培双方で共有し、同じ目標に向かって畑でも改良を進めていくのだ。

「ただシンプルに、多くの方に美味しいと思って頂けるワインを造りたいです」という。過去の味や方法にこだわらず、よいものを目指して挑戦を続けること。中伊豆ワイナリー シャトーT.Sのワイン造りのこだわりだ。

▶五感で堪能できる「強み」自然相手の「苦労」

中伊豆ワイナリー シャトーT.Sならではの強みと、醸造における苦労について紹介していこう。

中伊豆ワイナリー シャトーT.Sの大きな強みは「五感で堪能できるワイナリーである」ということだ。中伊豆ワイナリーヒルズにはワインを楽しめる施設が充実している。「ぶどう栽培からワイン醸造、そしてレストランやホテルでワインを堪能しながらの食事」と、ワインに関する全てがそろっているのだ。

一方ワイン醸造の苦労は「健全で良い品質のぶどうを収穫すること」これに尽きるという。

「今までを振り返ると、当初は健全な状態でぶどうを収穫すること自体が難しかった」という中伊豆ワイナリー シャトーT.Sのぶどう栽培。自然相手のぶどう栽培は常に予期せぬ困難と隣り合わせだ。
ひとつひとつの困難に対策を施さなければならず、苦労の連続だ。伊豆という場所に最適なぶどう栽培方法を模索している最中だが、栽培の工夫は自然相手である以上終わりのない闘いになる。

しかし、良いぶどうを収穫するためにすべきことは徐々に分かってきているという。「多くの難題はあるものの、ぶどうの品質はまだまだ上げることができると思っています」。

中伊豆ワイナリー シャトーT.Sのワイン造りの将来には、明るい光が差している。

▶「まずは飲んでみて欲しい」ワインへ込めた願い

どんな人に中伊豆ワイナリー シャトーT.Sのワインを飲んでほしいかを尋ねたところ、返ってきたのは「どのような方にも、まず飲んでいただきたい」という答えだった。というのも中伊豆ワイナリー シャトーT.Sは、自分たちのワインの知名度をより一層向上させていきたいと考えているからだ。
より多くの人に、中伊豆ワイナリー シャトーT.Sのワインを知ってほしいという思いが強い。

地産地消にも力を入れている。「伊豆で造られたワインを伊豆で、伊豆産の様々な食材・料理と共に楽しんでもらえればより嬉しい」と話す。地元の宿泊施設などでも楽しむことができるため、地元料理と合わせて飲んでみてほしい。最高のペアリング体験ができるだろう。

また、中伊豆ワイナリー シャトーT.Sのおすすめ銘柄について紹介したい。

おすすめのワインは数多くあるが、コンクールでも評価の高い銘柄を2種類紹介しよう。ひとつは「伊豆シャルドネプレミアム」ともうひとつは「伊豆プティ・ヴェルド」だ。シャルドネは2009年ヴィンテージで、プティ・ヴェルドは2017年ヴィンテージで日本ワインコンクールの金賞を受賞した。

どちらも温暖な伊豆の気候からくる、熟した果実の風味が特徴だ。伊豆のテロワールを、是非ワインから感じてみてほしい。

『より伊豆らしさあふれるワインを造りたい、中伊豆ワイナリー シャトーT.Sの未来』

最後に、中伊豆ワイナリー シャトーT.Sの未来の姿を見てみよう。

中伊豆ワイナリー シャトーT.Sが将来行いたいワイン造りとして「新しい品種への挑戦」がある。
「今以上の品質を目指すのはもちろん、伊豆の気候に合うかもしれない新品種の試験栽培も進めていき、さらに伊豆らしさあふれる特徴的なワインを造りたい」とその熱意を語る。

試験栽培や、今後検討しているぶどう品種について見てみよう。現在試験栽培中の品種は5種類。ソーヴィニヨン・ブラン、プティ・マンサン、マルスラン、シラー、マルベックだ。今後の栽培を検討している品種はアルバリーニョとカルメネールがある。

アルバリーニョを検討している理由は、雨耐性に強い品種だからだ。アルバリーニョは、スペインで白ワインの原料として栽培されている品種。産地のガリシア州リアス・バイシャスは、年間降水量が約1,600mmと多雨な地域であり、伊豆と通ずるものがある。
そのため品質のよいぶどうが栽培できるのでは、と考えているのだ。

今までも困難な挑戦を続けてきた中伊豆ワイナリー シャトーT.Sだが、真の挑戦はまだ始まったばかりなのかもしれない。一般的にぶどう栽培に適するといわれる「乾燥」とは真逆の気象条件を持つ、伊豆の地。伊豆のテロワール表現に命を懸けるワインの造り手たちが、今日も汗を流しながら高品質なワイン造りに励んでいる。

『まとめ』

中伊豆ワイナリー シャトーT.Sは、ワインにまつわる全てが堪能できる楽園のような場所だ。中伊豆ワイナリーヒルズに行けば、温暖な伊豆の魅力的な気候に包まれながら「地元の料理」「伊豆のワイン」「楽しい時間」全てが楽しめる。

中伊豆ワイナリー シャトーT.Sのぶどう畑に行く際には、造り手の思いと土地のエネルギーを存分に感じて欲しい。中伊豆ワイナリー シャトーT.Sを実際に訪れて五感で感じれば、果実感はじける伊豆ワインの魅力のとりこになることだろう。

基本情報

名称中伊豆ワイナリー シャトー T.S
所在地〒410-2501
静岡県伊豆市下白岩1433-27
アクセス【電車】
JR 三島駅から伊豆箱根鉄道で修善寺駅まで30分
修善寺駅から無料シャトルバスで20分~30分
またはタクシーで10分~15分
【車】
東名高速道路沼津I.Cから45分
国道136号線から伊豆中央道(有料)経由、 大仁南I.Cを降り、
修善寺駅前入り口を通過、中伊豆方面へ3km。
上和田バス停を左折してホテルワイナリーヒルへは約5分。
中伊豆ワイナリー シャトーT.Sへは約10分
HPhttps://www.nakaizuwinery.com/

関連記事

  1. 『サントリー塩尻ワイナリー』日本ワインの銘醸地「塩尻」の魅力を生かしたワインづくり

  2. 『シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原ワイナリー』日本ワインの歴史を変え、新たな挑戦を続ける

  3. 追跡!ワイナリー最新情報!『若尾果樹園・マルサン葡萄酒』基本に返り学びなおした1年

  4. 追跡!ワイナリー最新情報!『はすみふぁーむ&ワイナリー』商品ラインナップがバラエティー豊かになった1年

  5. 日本ワインと共に歩んできた勝沼の老舗ワイナリー『丸藤葡萄酒工業』

  6. 追跡!ワイナリー最新情報!『 GAKUFARM & WINERY』新たな醸造技術に挑戦し、ラインナップの幅を広げた1年