見学体験記:名称変更した『サントリー信州塩尻ワイナリー』を訪問!最新設備と岩垂原の自社管理圃場をレポート

「サントリー塩尻ワイナリー」は、2026年9月1日に「サントリー信州塩尻ワイナリー」へと名称を変更し、新たな一歩を踏み出しました。1936年の開設以来90年にわたり、地元のぶどう農家と共に日本のワインの歴史を切り拓いてきたサントリー信州塩尻ワイナリー。これからは、地元塩尻をはじめ、長野県各地の多様なテロワールを表現する高品質なワインづくりを通じて、「信州塩尻」のブランド力を高め、信州の発展により貢献したい考えです。

今回は、サントリー信州塩尻ワイナリーと、自社管理圃場を特別に見学した取材会の内容をレポートします。「サントリー信州塩尻ワイナリー」の最新情報は、Terroir.media取材記事をあわせてご覧ください。

サントリー信州塩尻ワイナリーは通常一般公開をしておらず、特別な機会にだけ中に入ることができます。サントリー信州塩尻ワイナリーを見学できるイベント情報も後半に掲載しているのでお楽しみに!

サントリー信州塩尻ワイナリーへの名称変更をきっかけに、今回の新ヴィンテージより「岩垂原」と「塩尻」を冠したワインのエチケットが刷新されます。2026年9月8日より、長野県産ぶどうを100%使用した新ヴィンテージ7種が数量限定で発売されたので、ぜひSUNTORY FROM FARMホームページから公式オンラインショップをチェックしてください。

『「伝統」と「最新鋭の醸造設備」が融合したサントリー信州塩尻ワイナリー』

JR塩尻駅西口を出て線路沿いに歩きはじめると、大きな看板が目に飛び込んできました。看板を越えて右に曲がると、すぐにサントリー信州塩尻ワイナリーの門が見えます。JR塩尻駅から徒歩5分という立地も、サントリー信州塩尻ワイナリーの魅力です。

サントリー信州塩尻ワイナリーの見どころは「創業時の面影を今に残す佇まい」と「最新鋭の醸造設備」が融合している点です。

サントリーのワイナリーを今すぐ見学したい!という方には、山梨県にある「サントリー登美の丘ワイナリー」の見学がおすすめです。見学ツアーの他に秋の特別イベントも開催。サントリー登美の丘ワイナリー公式HPをぜひチェックしてください。Terroir.mediaが取材した「サントリー登美の丘ワイナリー見学ツアー体験記」はこちらから。

▶︎創業時の面影を今に残す「第一ケラー」が見守り役

「1936年にサントリー信州塩尻ワイナリーの前身となる「壽屋塩尻工場」がこの地に誕生し、以降現在に至るまで、私たちはここでワインづくりを続けています。この『第一ケラー』は1937年に建てられた熟成庫で、2022年頃まで実際に使われていました。今は私たちを見守ってくれる大切な存在です」。

案内役は、サントリー信州塩尻ワイナリー所長 齋藤卓さんが担当してくれました。サントリー信州塩尻ワイナリーは、1907年に発売され大ヒットした「赤玉ポートワイン」の原料調達を目的として誕生したワイナリーです。

今ではウイスキー、ビール、清涼飲料など、幅広い飲料の製造・販売を手がけるサントリーですが、サントリーの祖業は「ワイン」。操業当初に建てられた「第一ケラー」を近年まで大切に使用していたことからも、サントリー信州塩尻ワイナリーのワインづくりへの誇りと、先代への敬意がうかがえます。

第一ケラーは半地下の構造で、地下部分に樽を置き、熟成庫として使われていました。地上部は木造で、二重構造の屋根には断熱材として籾殻(もみがら)を敷きつめ、夏場でも20度ほどに温度管理されていたそうです。

ワイナリーの敷地内には複数の棟が配置され、作業効率を重視した構造になっています。続いては、最新鋭の醸造設備を見学しました。

▶︎最新鋭の除梗機と二段階のぶどう選別

収穫したぶどうはスタッフ全員で基準を合わせ、丁寧に選果します。とりわけ赤ワイン用のぶどうは、一粒一粒を見極め、ワインに使用したい果粒だけを二段階で選別するのがサントリー信州塩尻ワイナリーのこだわり。選ばれたぶどうの粒はコンベアに乗ってタンクまで静かに移動します。

除梗機もぶどうを丁寧に扱えるよう最新鋭の機材を導入し、ぶどうを終始優しく扱いながらも徹底的な選果にこだわっています。

▶︎PAI圧搾機で高品質な果汁獲得を実現

サントリー信州塩尻ワイナリーでは、2026年の仕込みが8月27日からスタートしました。見学した日も、赤玉スイートワインの原料になる白ワイン用ぶどう品種「ナイアガラ」のぶどうが農家さんから運ばれるのを待っていました。

ナイアガラは一房ずつ丁寧に選果され、下画像右側のバルーン型プレス機でじっくり時間をかけて搾ります。

画像左側のコカール社PAIプレス機は、シャンパーニュ地方などで高品質なスパークリングワインをつくる過程で使用される機械で、以下の優れた性能を誇ります。
・均質な圧力で優しく素早くプレス
・プレス中のぶどうを自重でほぐす
・搾汁後に果汁をすぐに冷却する

サントリー信州塩尻ワイナリーでは2022年よりPAIプレス機を導入し、主に「SUNTORY FROM FARM 高山村 シャルドネ」や「SUNTORY FROM FARM 津軽シャルドネ&ピノ・ノワール スパークリング」用のぶどうを搾汁する際に使用します。畑で大切に育てたぶどうをすべての工程で丁寧に扱うことで、ぶどうのポテンシャルを最大限に活かしているのです。

ちなみにサントリー信州塩尻ワイナリーでは、白ワイン用ぶどうを搾汁する際、「除梗」はせず、実をつなぐ茎や枝も一緒にプレス機に投入します。とりわけナイアガラは搾る時に破裂しやすく、果梗が大切な役割を果たすと齋藤さんは話してくれました。

▶︎小型サーマルタンクを導入し畑の個性を最大限に引き出す

サントリー信州塩尻ワイナリーでは、産地・畑の個性を最大限に引き出すために、畑ごと・区画ごとに分けて醸造・熟成をおこなうことを徹底しています。

2021年から2022年にかけてタンク類を一新し、温度管理を自動でおこなう小型のサーマルタンクを導入。1、2、3、5kLサイズ、さらに少量を仕込む際には樽形のステンレスタンクなども使用し、区画ごとの個性が素直に表現された原酒を生み出します。

サントリー信州塩尻ワイナリーでは、各製品の特徴が詳細に言語化された「目標品質」というものがあり、ワインづくりの工程すべてが目標品質を達成するよう積み上げられています。最終的にさまざまな個性をもった原酒を組み合わせることで、目標品質に到達し、ワインが完成します。

だからこそ、それぞれの畑や区画の個性が繊細に表現された「原酒」の存在が大切になるのですね。

▶︎赤ワイン用プレス機は「コカール社垂直型プレス機」

赤ワイン用ぶどうのアルコール醗酵が終わった後、ワインになったばかりの液体を引き抜き、残った果皮・種からプレスワインを得る工程で活躍するのが、「コカール社垂直型プレス機」。

畑の個性を最大限に引き出すため区画ごとに合ったサイズのタンクで仕込まれます。その後、高品質なプレスワインを得るため、サントリー信州塩尻ワイナリーでは赤ワインをコカール社垂直型プレス機で圧搾します。出てくるプレスワインをバケツ一杯ごとに官能評価をしながら、プレスワインの品質の区分けやプレスの終点を見極めています。

▶︎熟成庫ではサントリー独自構造のラックで樽を保管

「こちらは1953年に建てられた建物で、当時は醗酵室として使われていました。当時は赤玉ポートワインを、プールのようなコンクリート製の容器で醗酵していたと聞いています。この『第二醗酵室』という字体がお気に入りです」。

現在は熟成庫として使われている「第二醗酵室」。サントリーでは「発酵」を「醗酵」と表記しており、先代の思いが今も大切に息づいていることを感じます。

第二醗酵室では現在、2025年ヴィンテージの樽が保管されていますが、樽を配置するラックに、サントリーならではのこだわりがありました。

このように互い違いに樽を配置するメリットは、作業スペースが保たれて、補酒(蒸発したワインを補う作業)やバトナージュ(澱の攪拌作業)がしやすいという点。この熟成庫に運ばれた樽は熟成期間の約1年半の間、振動を一切受けずに保管されます。

澱引き作業の際には、樽にノズルを差し込み、樽を傾けることなくワインを移動させます。

『サントリー信州塩尻ワイナリー 岩垂原エリア自社管理圃場へ潜入』

その後、サントリー信州塩尻ワイナリーから車で20分ほどのところにある、岩垂原エリアの自社管理圃場を見学しました。塩尻駅周辺は一見すると坂のない平坦な土地ですが、駅を降り立った地点で標高は700mを越えています。

桔梗ヶ原エリアとは、JR塩尻駅の西側一帯、奈良井川と支流の田川にはさまれた5平方キロメートルほどを指します。このエリアの土壌は、上部はシルト質(粘土と砂の間くらいの大きさの粒)でその下に礫質があり、程よい排水性と保水力を兼ね備えています。

一方の岩垂原エリアは、JR塩尻駅から桔梗ヶ原エリアを通り抜け、奈良井川を越えた先、奈良井川左岸の高台に広がる土地を指します。奈良井川に流れ込む小曽部川が運んだ礫質を多く含み、その上に火山灰が堆積してできた土壌で、数十センチ掘っただけで岩がゴロゴロ出てくるという「岩垂原」という地名通りのエリアです。

非常に水はけがよく、ぶどう樹に適度な水分ストレスがかかるため、凝縮感あるぶどうが生まれる岩垂原エリア。サントリー信州塩尻ワイナリーでは、岩垂原エリアで主にメルロを栽培しています。「赤ワインとして世界に負けない質感のぶどうが採れる産地です」と齋藤さんも大いに期待を寄せます。

▶︎深く濃い「黒紫」色のメルロを生み出す岩垂原

「サントリー信州塩尻ワイナリーでは、2016年より自社管理圃場でのぶどう栽培を始め、今年で10年という節目を迎えました。およそ1ヘクタールの広さの畑は、区画ごとに『黒紫園』『濃紫園』『菖蒲園』という愛称で呼ばれています」。

岩垂原で収穫されるメルロの深く濃い色をイメージした「黒紫」という色は、日本では古くから紫色の中でもとりわけ気品ある色といわれています。黒紫の色のもつイメージをワインにも投影し、9月8日から数量限定で発売された「SUNTORY FROM FARM 岩垂原 メルロ 2022」には「黒紫」色の和紙がラベルに使用されています。

▶︎岩垂原での土づくりがワインの味わいを変える

サントリー信州塩尻ワイナリーが管理する岩垂原エリアの圃場には、土づくりを強化したエリアが試験的に設けられています。播種草生栽培をおこない、土には麦藁、牛糞堆肥、稲藁などをすき込んでいるとのこと。結果として、ぶどう樹自体の頑健性の向上と、味わいの要素が豊富なぶどうが得られることにつながるのではないかという仮説に基づいた取り組みだそうです。

このような試みを5年ほど続けた結果、ワインの味わいに明らかに違いが生まれているそうです。土づくりを実施しているエリアとしていないエリアの原酒を飲み比べたところ、実施エリアの原酒の方が、より深みのある複雑な味わいに仕上がっているそうです。

2026年の岩垂原エリアのメルロの収穫は10月中旬を予定しています。これからの岩垂原エリアのワインにますます注目が集まります。

『サントリー信州塩尻ワイナリーを特別に見学できる!2026年11月21日(土)開催「桔梗ヶ原ワインマルシェ」』

それでは、「伝統」と「最新鋭の醸造設備」を兼ね備えたサントリー信州塩尻ワイナリーを見学し、信州塩尻のワインと地元食材を思う存分楽しめる貴重な機会を紹介します!

▶︎塩尻市内のワイナリーが合同で開催する「桔梗ヶ原ワインマルシェ」

五一わいん、井筒ワイン、シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原ワイナリー、そしてサントリー信州塩尻ワイナリー(参加ワイナリーは調整中)。塩尻市内にあるワイナリーが合同で開催するイベントです。

各ワイナリーでは、建物内の見学に加えて、ワインのつくり手から直接話を聞ける特別セミナーを開催予定。地元人気店の料理やスイーツと、信州塩尻のワインのペアリングを心ゆくまで満喫できます!

各ワイナリーへの来場は入場無料、事前予約不要ですが、ワイナリー主催の有料セミナーには事前予約が必要です。信州塩尻の魅力を満喫できる1日限りの貴重な機会ですので、情報をぜひチェックしてくださいね!

「信州塩尻」の新たなブランド構築へと大きな一歩を踏み出した「サントリー信州塩尻ワイナリー」。これからの活躍に期待が高まります。

基本情報

名称サントリー信州塩尻ワイナリー
所在地〒399-0744
長野県塩尻市大門543
アクセスhttps://maps.app.goo.gl/nsxnTLdRPsrXy9mT7
HPhttps://japan-wine.direct.suntory.co.jp/pages/shiojiri

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