日本でも注目されている白ワイン用品種「アルバリーニョ」。スペイン北西部ガリシア地方のアルバリーニョは、そのフルーティな味わいで1980年代後半から世界的に注目を集めるようになりました。
今回は、7月7日に東京銀座にて開催されたアルバリーニョに特化した試飲会「第1回スペイン&ポルトガル&日本 アルバリーニョ試飲会」をレポートします。
インポーターと日本のワイナリー、合わせて25社が出展。当日会場に並んだアルバリーニョのワインは、ブレンドも含めなんと95種類。アルバリーニョのワインを造る生産者であれば、アルバリーニョ以外のワインも出展対象です。
インポーターと日本のワイナリーが一堂に会する試飲会はあまりないということで、主催した株式会社Wine in Motion 代表 別府岳則さん、出展ワイナリー、参加者からいただいたコメントを紹介し、日本ワインの新たな可能性を探ります。
『「第1回スペイン&ポルトガル&日本 アルバリーニョ試飲会」イベント概要』
日時:2026年7月7日(火) 2部制・各回120分
場所:ホテルモントレ銀座 東京都中央区銀座2-10-2
対象:ワイン業界関係者(飲食店・酒販店・インポーター・卸売業・メディア関係者など)
参加費:1000円
出展インポーター対象ワイン:
スペイン:ガリシア産ワイン
ポルトガル:ヴィーニョ・ヴェルデ産ワイン
出展国内ワイナリー:
神田葡萄園(岩手)
Woody farm & Winery(山形)
CAVE D’OCCI WINERY(新潟)
Vin de la bocchi(石川)
井上ワイナリー(高知)
安心院葡萄酒工房(大分)
『イベント主催者 別府岳則さん インタビュー』
レストラン、インポーター、ワインショップを経験したのち独立した別府さん。現在は海外のワイン協会や生産者の様々なプロモーションに従事し、プロフェッショナル向け、ワインラバー向けのセミナーやウェビナーを多数開催しています。
「Feel Japan Wine!」をはじめ、日本ワインのイベントも多数開催する別府さんに、日本ワインのこれからについてもお話をいただきました。

▶︎別府岳則さんプロフィール
株式会社 Wine in Motion 代表
ワインプロモーター、エデュケーター
WSET®Level 4 Diploma
オーストリアワイン大使
ポートワイン・コンフラリア カヴァレイロ
ダオンワイン大使
J.S.A ソムリエ
Podcasts「ワインを読む」配信中
▶︎アルバリーニョの多様性を発見するきっかけになることを願って
日本の気候でも比較的育てやすいということもあり、アルバリーニョは近年国内でも注目を集めています。アルバリーニョの世界的産地であるスペイン、ポルトガル、そして日本のアルバリーニョのワインを飲み比べる機会を作ったら面白いのではないか、と以前から考えていたんです。「白ワインの需要も世界的に高まっているし、今がタイミングかもしれない」と今回開催しました。
日本国内でアルバリーニョを栽培、醸造する代表的なワイナリーにお声がけしたところ、皆さん「面白そうだね!」と快く賛同してくれました。
「アルバリーニョのワインは、リアス・バイシャスのような潮風を感じるフレッシュ&フルーティなワイン」と連想する方も多いかもしれません。一方で、アルバリーニョのワインは様々なスタイルがあり、ドライなものや熟度の高いもの、樽の効いたものなど、実に多様な表情を見せてくれる品種です。
試飲会が始まる前に出展者の皆さんには「休憩時間などにさまざまなワインをテイスティングして情報交換してください」とお伝えしました。交流の中から、「アルバリーニョだからと言って、必ずしもフレッシュ&フルーティである必要はないんだな」「フルボディのアルバリーニョもアリかもしれない」などという新たな可能性が見えてくるかもしれません。今回のイベントがそんな機会になればいいなと考えています。
▶︎日本ワインの「垣根」を取り払うお手伝いができれば
日本ワインは、いまでは世界の優れたワインと並べて飲んでも全く遜色ないクオリティのワインが出ていて、「日本ワインらしい個性」が確立されてきています。
一方、流通面で課題を感じる生産者さんが多かったり、東京のマーケットにおいても改善の余地があると感じています。限られた販路やコミュニティで消費されている傾向にもあるので、垣根を壊すお手伝いができればいいなと考えています。
たとえば、飲食店関係者に「これまでは輸入ワインだけを扱ってきたけれど、日本ワインもすごくいいね」と新たに取り引きするチャンスを生み出せたらいいですね。
今後、アルバリーニョに次ぐ「品種に特化した」イベントを国内で開催するとなると、正直何の品種がよいか悩みます。アルバリーニョは日本ではトピックが多く、海外でも注目されている品種ですから。



『海外のワインを主に取り扱う飲食店関係者の声を紹介』
これまで日本ワインの取り扱いがあまりなかった飲食店関係者からの、日本ワインを試飲した感想をご紹介します。
- 日本の生産者Aのアルバリーニョはどれも美味しくて驚いた。これまで当店ではスペインのワインを扱っていたけれど、これほど美味しいアルバリーニョが日本で生産されているとは知らなかった。
- 日本の生産者Bが栽培する品種は、原産国でも「タンニンが強すぎてワイン造りには難しい」といわれる品種。そんな品種を育て、ワインを造っていることにたいへん驚いた。このようなチャレンジをする生産者がいることで、日本のワイン業界も成長するだろうと感じた。
- 日本の生産者Cのアルバリーニョ以外のワインもたいへん美味しかった。
『出展した日本の生産者の声を紹介』
海外のワインを扱うインポーターと日本の生産者が一堂に会し「アルバリーニョ」にフォーカスした試飲会を開催する、という今回の取り組みに参加した国内ワイナリーの声を紹介します。
▶︎CAVE D’OCCI WINERY 取締役 掛川史人さん インタビュー
インポーターさんと合同の試飲会、面白かったですね。
これまで「輸入ワイン」と「国産ワイン」は縦に分断されたようなイメージもありましたが、「張り合う」のではなく「補完し合う」関係にあるべきなんじゃないか、と考えるきっかけになりました。
柔らかいワインが好みの方には日本ワインが合うかもしれません。一方で、味わいや香りのバリエーションを考えると、海外のワインを含めた方が圧倒的に選択の幅が広がります。輸入ワインと国産ワインが「補完し合う」ことで、お客様により大きな受け皿を提供できるし、結果「ワインの楽しみ方」をお伝えすることができると。
これだけの数のアルバリーニョを試飲する機会はあまりなく、どれも美味しくて、スペイン、ポルトガル、日本、それぞれの違いを知ることができました。もちろん各ワインメーカーごとに違いがあるけれど「日本のアルバリーニョ」は味の系統が同じだなと。現在の「国ごとのアルバリーニョの傾向」を良くも悪くも理解できました。
「我々は与えられた環境の中で、より高みを目指し進んでいこう」と強く感じましたね。
「海外のワインと張り合う」という感覚はありません。私たちは私たちですから。特に今の造り手は、アイデンティティというか「日本らしさ」を追求する人も多いですし。
会場でインポーターさんと話す中で「アルバリーニョは日本国内で比較的よく売れる」「アルバリーニョという品種を知っているお客様が多い」「アルバリーニョって日本で盛り上がってますよね」という話を耳にしました。「アルバリーニョ」という品種テーマがなければ、インポーターさんとこのような情報交換はできなかったですし、日本ワインにおけるアルバリーニョという品種の立ち位置が浮き彫りになってきたと感じます。
我々のワインを試飲いただいた方からは、総じて良いコメントをいただきました。一件、印象的なコメントをいただいたのですが、「スペインでアルバリーニョを作っているんですね、美味しくてびっくりしました!」と。日本ワインをよく召し上がる方だと思うのですが、今回の試飲会を象徴するようなコメントで面白いな、と感じました。
インポーターさんと合同の試飲会、今後もっともっと、このような機会が増えることを望んでいます。



▶︎井上ワイナリー 執行役員 梶原英正さん コメント紹介
今回の試飲会は私にとって初めてとなる、インポーターさんと国内生産者と合同の試飲会でした。
国内も海外も、生産地が異なると香りの特徴やボリュームなどワインを構成する要素が異なる点なども勉強になりました。試飲したこともない生産者のアルバリーニョを味わうこともできましたので。
また普段は日本ワインの取り扱いが少ないホテル、飲食店の担当の方々にも試飲いただく機会があり、良いPRの場になったと思います。
今後、インポーターさんと生産者の合同の試飲会が継続して開催されれば、より多くのワインを消費者の方々へ、日本ワインの良さ、味わいの特徴を知ってもらえるのではないかと考えました。
▶︎安心院葡萄酒工房 執行役員 古屋浩二さん コメント紹介
弊社では2011年にアルバリーニョの試験栽培を開始し、日本における本品種の可能性について評価・検証を続けてきました。現在では、自社畑においてシャルドネに次ぐ栽培面積を誇る主要品種となっています。
アルバリーニョといえば、スペインやポルトガルが代表的な産地としてワイン愛好家の間では広く認知されています。そのような中、日本のアルバリーニョ生産者として今回の試飲会に参加できたことを大変嬉しく思うとともに、本品種の認知が着実に広がっていることを実感できる機会となりました。
試飲会では世界各地のアルバリーニョワインに触れましたが、日本で生産されるアルバリーニョも決して引けを取ることなく、十分に魅力的な品質を備えていると改めて感じました。また、日本国内においても産地ごとの個性や特徴がしっかりと表現されており、アルバリーニョは日本ワインのさらなる発展を支える重要な品種であると再認識しました。
生産量が限られる日本ワイン産業が世界に向けて存在感を高めていくためには、シャルドネのような国際的に栽培されている品種だけでなく、アルバリーニョのように特定地域を代表する品種や、日本独自の品種の魅力を積極的に発信していくことが重要だと考えています。
将来、「アルバリーニョといえばスペイン、ポルトガル、そして日本」と言われる日が訪れることを願っています。
海外のワインを扱うインポーターと国内生産者が合同で開催した試飲会。次回参加する際には、インポーターの方からのコメントも頂戴したいと考えています。
Terroir.mediaでは、これからも日本ワインの普及を目指して、日本各地のワイナリーや産地の魅力を発信してまいります。今後とも、Terroir.mediaをよろしくお願い致します。
