今回は、2月4日に東京銀座にて開催された、ワイン業界関係者を対象とした試飲会「Feel Japan Wine ! 」のレポートをお届けします。
「Feel Japan Wine ! 」は参加ワイナリーが同じ金額を出資し運営費をまかなうという、完全に「ワイナリー主導」の新しいスタイルの試飲会で、開催場所が「東京都内限定」というのが特徴です。
「Feel Japan Wine ! 」発起人の一人、サントリー株式会社 ワイン本部 ワイン経営戦略部 シニアスペシャリストの柳原亮さんに、開催の背景や期待する効果について詳しくお話を伺いました。
▶︎「Feel Japan Wine ! 」イベント概要
日時:2026年2月4日(水) 1部 12:30~14:20 / 2部 14:40~16:30 各部定員150名
場所:ホテルモントレ銀座 東京都中央区銀座2-10-2
対象:ワイン業界関係者(酒販店 業務店 小売店)・報道関係者
参加費:500円

▶︎山梨県も長野県も県主催の試飲会を東京都で開催していないという現状
日本ワインはここ15年ほどの間で、品質が明らかに向上しています。品質向上に力を注ぐ一方、営業にまで満足に手が回らないという課題を抱えるワイナリーは少なくありません。
品質がよくなっても、飲んでもらわなければ意味がありません。しかも、東京という最大市場で飲んでもらう必要があります。「東京都内で試飲会を開催しなければ」という危機感が高まりました。
というのも現状、山梨県も長野県も県主催の試飲会を東京都で開催していないのです。以前は年に一回開催されていましたが、コロナをきっかけに途絶え、復活していません。
その結果、ワインを消費者に広める立場であるソムリエや酒販店は、自分たちで現地に行かなければ情報を得ることができなくなりました。もちろん、酒販店主催の試飲会は都内で開催されていますが、その酒販店が扱うワインしか知ることができません。
インバウンド需要の増加にともない、日本ワインへの関心や需要が高まっているにも関わらず、ワイナリーが都内の飲食店や酒販店へ直接アピールできる場が少なくなってしまった。この現状を打破したいという思いから「Feel Japan Wine ! 」が誕生しました。
▶︎日本ワイン=「Fine Wine」は継続して飲んでもらわなければ存続が難しい
日本ワインは、価格から考えるとほぼ全てのワインが「Fine Wine」という分類に入ります。(「Fine Wine」とは、卓越した品質、高い希少性、長期熟成のポテンシャルを秘めた最高級ワインのこと)。
Fine Wineである日本ワインは、消費者に継続的に飲んでもらい、ワイナリーやワインのファンになってもらわなければ存続が難しい現状です。ヴィンテージの違いや、生産者が代替わり等を経て変化している様子を理解してもらうことが重要で、それを知ってもらう場が必要だと考えました。
そこで、東京都内で「参加ワイナリーが主導の試飲会を開こう!」という話が持ち上がったのです。昨年都内にて、山梨・長野各県の試飲会を開催し手応えを感じていたマンズワインの渡辺さんが火付け役となりました。ワインイベントの運営経験が豊富な別府さん、ワイナリー同士を繋ぐ役割を担う私の三人が発起人となり、「Feel Japan Wine !」が誕生したのです。
▶︎参加ワイナリーの選別について
今回は初回ということもあり、参加ワイナリーは運営側で決めました。選別の際に重視したことは、「注文が入った時点で、全てのワインは難しくともいずれかのワインを出荷できるワイナリー」であるという点です。人気があるワイナリーということは前提ですが、注文しても「ワインが無い」という状況では、日本ワインは浸透しません。
「供給できるワイナリー」「生産量が明確なワイナリー」「日本を代表するワイナリーになり得るワイナリー」を選びました。
▶︎第1回 「Feel Japan Wine ! 」 参加ワイナリー(20社)
《山梨県》
・勝沼醸造株式会社
・白百合醸造株式会社
・マルス穂坂ワイナリー(本坊酒造株式会社)
・セブンシダーズワイナリー
・丸藤葡萄酒工業株式会社
・岩崎醸造株式会社
「新規参入のワイナリー」と「代替わりしたワイナリー」という観点から選別しました。山梨は老舗ワイナリーが多いと思われがちですが、実際は2000年以降に誕生したワイナリーが30軒ほどあります。一方、老舗ワイナリーでは代替わりがおこなわれ、ワインのスタイルが変化しています。
《長野県》
・株式会社ヴィラデストワイナリー
・株式会社Domaine KOSEI
・株式会社信州たかやまワイナリー
・ドメーヌ ヒロキ(株式会社ヴィニョブル安曇野)
・坂城葡萄酒醸造株式会社
・ジオヒルズワイナリー(株式会社ジオヒルズ)
品質が安定した新規参入のワイナリー、創業から10年ほど経ち経営が安定しているワイナリーを選びました。
《山形県》
・高畠ワイナリー株式会社
・有限会社タケダワイナリー
・株式会社ベルウッドヴィンヤード
・ピノコッリーナ(エルサンワイナリー松ヶ岡株式会社)
「山梨、長野に加えてもう1県入れたい、しかし遠方から呼んだにも関わらず来場者が少なかったら申し訳ない」ということから、山形県のワイナリーを、長野県と同じ基準で選びました。
《複数県》
・サッポロビール株式会社
・メルシャン株式会社
・サントリー株式会社
・マンズワイン株式会社
※順不同






▶︎需要は確実にある
ワイナリーに参加を依頼したところ、各ワイナリーも経営について同じような課題を抱えていて、我々の趣旨に賛同し、準備はたいへんスムーズに進みました。昨年11月に「Feel Japan Wine ! 」の開催が決定し、2月に実現したので実に早かったですね。
今回の定員は各回共に150名、計300名で設定しました。実際に来場いただいた方は1部140名、2部140名の計280名。申し込みされた90%以上の方が来場されたのでまずまずの結果だと考えています。
集客に不安はありましたが、募集を開始すると開催2週間前にはチケットが完売。会場の規模から、これ以上人数を増やすことはできませんでしたが、実際は500名くらいの需要がありました。需要は確実にある、と確信しましたね。






▶︎参加者の内訳
申し込みいただいた300名のうち、6割はホテルやレストランでのサービス従事者、3割が酒販店、1割がメディアという割合でした。出品するワインは全てワイナリーに任せていますが、価格の目安としては3000-4000円台のワインに需要が見込めるのではないか、と伝えました。
参加者をワイン業界関係者に限定する理由は、ワインを消費者に広める立場の業界関係者とワイナリーを繋ぐことが目的だから。参加費をいただく理由は、きちんと自分の投資として払っていただける方に来場してもらいたいからです。参加ワイナリーをガッカリさせてしまう試飲会にはしたくないと考えています。
▶︎今後の開催について
年に1回は開催できるよう、継続開催を実現します。参加県を増やし、参加ワイナリーの数も増やしたいですね。今回参加いただいたワイナリーからの意見をもとに、よりよい試飲会を目指します。
参加ワイナリーは皆、どのワイナリーも同額を出資し、同じ大きさのブースを出展する、「共同主催者」という立場です。「ワイナリー主導」で「どのワイナリーも同じ立場」という新しいスタイルの試飲会だからこそ、ワイナリーの意見をダイレクトに反映できると考えています。
「Fine Wine」である日本ワインは、毎年お客様に飲んでもらい、年ごとの違いや生産者の変化がワインに反映されることを理解してもらわなければ、継続的に販売が難しいお酒です。「このワイナリーのワインは前に飲んだから知っている」ではなく、ヴィンテージや代替わりによって変化・進化するワイナリーの「今」を、より多くの人に知ってもらいたい。「Feel Japan Wine ! 」を、そのきっかけとなる試飲会にしていきたいですね。
「Terroir.media」は、これからも日本ワインの普及を目指して、日本全国のワイナリーの紹介記事を掲載して発信していきます。
今後の記事もどうぞお楽しみに!
