追跡!ワイナリー最新情報!『Domaine KOSEI』最高品質のメルロを追求し続ける

長野県塩尻市にある「Domaine KOSEI(ドメーヌ・コーセイ)」は、長年にわたってシャトー・メルシャンで醸造をおこなってきた経験を持つ、醸造家の味村興成さんが立ち上げたワイナリーだ。ワイン造りへの熱い思いを胸に、ヨーロッパ系品種に適した気候と土地を求めた味村さんが、ぶどう栽培をする土地として選んだのは塩尻市の片丘地区だった。

Domaine KOSEIの自社畑で栽培しているのは、赤ワイン用品種のメルロのみ。片丘地区の水はけのよい土壌と恵まれた気候を生かし、手間を惜しまず丁寧な栽培管理をおこなっている。

味村さんが造り出すワインは、「日本食に合うクリーンでバランスの取れた味わい」が特徴だ。味村さんがワインに込めた熱い思いは、栽培から醸造の全工程に一貫して息づいている。

今回は、2023年と2024年のぶどう栽培とワイン造りを中心に、Domaine KOSEIの栽培・醸造について、味村さんにお話いただいた。Domaine KOSEIがリリースしたワインと、最新情報をお届けしよう。

『Domaine KOSEI 2023〜2024年のぶどう栽培』

最初のテーマは、Domaine KOSEIにおける2023年と2024年の天候と、ぶどう栽培の様子について。具体的なエピソードや、味村さんのこだわりなどを見ていこう。

▶︎年ごとの気候を映し出すぶどう

味村さんは2023年を「スーパーグレートヴィンテージ」、2024年を「醸造家の腕の見せどころの年」だったと表現する。

「2023年は素晴らしい天候でした。健全なぶどうからは、今までになかったほどボリューム感があり濃厚なワインが出来ています。一方、2024年はこれまで経験した中でも難しい年でした。そういう年こそ、醸造家の腕が問われます」。

どんな年でも「悪かった」とは言いたくないとつぶやく味村さんからは、職人のこだわりとワインへの愛情が感じられる。

Domaine KOSEIが育てているメルロの収穫開始時期は例年10月上旬頃だが、2023年は9月下旬頃から始まり、非常に素晴らしい状態で収穫を迎えることができた。収穫時期に雨が降ると病気やトラブルの原因となるが、幸いにも秋雨が少なく、積算温度も高かったためにしっかりと熟したのだ。トラブルなくヴェレゾンを迎えたぶどうは順調に色付き、ぶどうが成熟していく過程において気になることがなんら見当たらないという、文字通り最高の年だった。

一方、2024年における最大の難点は、日照量が少なかったことだった。日照時間が不足すると光合成が満足にできなくなるため、樹に十分な養分が蓄えられない。結果として、糖度が上がりづらくなってしまうのだ。

「2024年はお盆過ぎからずっと曇天続きでした。また、同じ時期には台風がいくつか来ましたね。長野が直撃を受けることはなかったものの、台風の影響で曇りの日が続いたのが痛手でした」。

日照不足という困難があったものの、雹(ひょう)や遅霜による被害は見られなかった。圃場が風の通り道にあり、雲や湿気の滞留が起こりにくいためだという。良質なぶどうを育む片丘地区でのDomaine KOSEIの取り組みは、これからも続いていく。

▶︎気候を味方に付けた2023年

標高700メートルの場所にあるDomaine KOSEIの自社圃場は、冷涼な気候が特徴だ。全国的に気温の上昇が問題となっているものの、片丘地区ではこれまで高温障害は発生しておらず、温暖化の影響はさほど感じられない。「片丘はぶどう栽培をするのに最高の場所」だと味村さんは言う。

「気温が年々上昇してきているのは確かです。例えば、2023年は例年よりも暑い年でした。しかし、気温が上がったことは、片丘ではむしろよい結果を生み出しました。2023年のぶどうは、新大陸のワインを思わせる非常に濃厚な仕上がりになるでしょう。日本ワインとは思えないような、濃い味わいになりそうです」。

2023年のぶどうは、糖度が24〜25度に達したものもあった。豊富な糖分によって発酵が活発に進み、出来上がったワインのアルコール度数は13度を超えたほどだ。2023年ヴィンテージの赤ワインは樽熟成中。味村さん自身が「今まででいちばん素晴らしい出来」だと太鼓判を押す、魅力的なワインに育ちつつある。

「近年の暑さについて栽培担当のスタッフに聞いてみたところ、夏場の湿度が多少高くなっている程度だということでした。片丘でぶどう栽培をする上では、夏の暑さよりも、冬の寒さの方に気をつける必要があります。気温が下がると凍害が出てしまうため、幹に1本ずつ藁(わら)を巻いて保温しています」。

メルロの栽培に最適な場所である片丘ならではの気候を生かして、味村さんは最高のぶどうで最高のワイン造りを目指すのだ。

▶︎2024年のぶどう栽培における工夫

2024年の栽培についても、具体的なエピソードを紹介しよう。雨や曇りの日が多かった中で、いかにぶどうの品質を上げるかという点が課題だった2024年。Domaine KOSEIでは、摘房することで収穫する房の品質向上を目指した。

「8月に入ってから摘房をおこないました。残した少数の房に糖度を集中させるために房数を減らして、品質を確保するためです。自社畑で栽培しているのはメルロのみですが、同じ品種でも、区画や房ごとに色づくタイミングが異なります。ヴェレゾンがなかなか進まない房を中心に摘房しました」。

しっかりと熟したぶどうのみを収穫したため、結果的に収量は例年より少なめとなったが、味村さんのこだわりをしっかりと反映したワインが誕生することだろう。

『Domaine KOSEI 2023〜2024年のワイン醸造』

続いては、2023〜2024年のワイン醸造にスポットを当てる。

「ワイン造りで特別変わったことはしていません」と話す味村さん。奇をてらわず、ぶどうに真摯に向き合って最高のメルロを醸すことが、創業当初から変わらないDomaine KOSEIの使命だ。

リリース済みのアイテムから、いくつかの銘柄を紹介しよう。

▶︎「メルロ ロゼ 無濾過 極辛口2024」

最初に紹介する銘柄は「メルロ ロゼ 無濾過 極辛口2024」。Domaine KOSEIの定番銘柄であり、年ごとのぶどうの味わいをダイレクトに感じることができるワインだ。

「2024年ヴィンテージの『メルロ ロゼ 』も、例年通りフレッシュ&フルーティーをテーマに造りました。フルーツを思わせる香りが楽しめるロゼに仕上がっています。早飲みが美味しいスタイルなので、気軽に開けていただければと思います。完全無濾過で瓶詰めをしているので、ワインの持つ美味しさがぎゅっと詰まっていますよ」。

「メルロ ロゼ 無濾過 極辛口2024」からは、メロンやリンゴ、パイナップルのようなジューシーな香りが感じられる。甘い果実香がふくよかに立ち上る一方で、味わいは完全なる「辛口」。つまり、料理に合わせて楽しむと、美味しさがより際立つ仕上がりだ。もちろん、ワイン単体でもぶどう本来の美味しさを存分に楽しめる、バランス感覚抜群のロゼである。

料理に合わせるのであれば、サーモンやエビと合わせるのがおすすめだ。それ以外にも、色々な料理と共に自由に楽しんでほしいと味村さんは話す。

「私自身は、味噌や醤油、みりんなどを使った『日本の昔ながらの夕食』と合わせて楽しんでいます。Domaine KOSEIのメルロは、日本の調味料との相性が最高ですよ」。

もうひとつ提案したい贅沢な楽しみ方が、地域の郷土料理とのペアリングだ。例えば長野県中信地方の郷土料理である「山賊焼き」は、Domaine KOSEIのロゼと赤ワインにベストマッチするという。鶏もも肉をニンニク醤油のタレに漬け込み、片栗粉をまぶして揚げた山賊焼きを「メルロ ロゼ 無濾過 極辛口2024」と共に味わえば、至福の時間を過ごせるだろう。

「例年5月に開かれている『塩尻ワイナリーフェスタ』に足を運んでいただけたら、うちのワインと郷土料理の組み合わせが堪能できます。ぜひ遊びに来ていただきたいですね」。

▶︎「メルロ ロゼ アヴァンタージュ2024」

続いて紹介するのは、「メルロ ロゼ アヴァンタージュ2024」。フランスから直輸入した特別な瓶「アヴァンタージュボトル」を使ったスペシャルな1本だ。螺旋状にカッティングされた模様がボトルの内側にあるアヴァンタージュボトルは、2019年のファースト・ヴィンテージにも使用したものだ。

「特別感のあるボトルなので、お客様からも好評です。2024年も同じボトルが手に入ったので使用しましたが、やはり注目度が高く、あっという間に完売しましたね」。

「メルロ ロゼ アヴァンタージュ2024」の注目すべき点はボトルだけではない。通常版のロゼである「メルロ ロゼ」とは異なる調整を加えているのだ。ステンレスタンク熟成の通常版「メルロ ロゼ」とは異なり、「メルロ ロゼ アヴァンタージュ2024」は短期間のみ樽熟成の工程を加えた。ほんのりと樽香をまとった柔らかい味わいのロゼに仕上がっている。

「アヴァンタージュボトル版」は、フランスからボトルが空輸できたヴィンテージのみ製造しているため、毎年登場するとは限らないそうだ。今後のヴィンテージのリリース情報は、Domaine KOSEIの公式サイトと公式SNSをチェックしてほしい。

▶︎「KATAOKA MERLOT 2022」

Domaine KOSEIの定番銘柄に「KATAOKA MERLOT(片丘メルロ)」シリーズがある。このシリーズでは、アメリカンオーク樽熟成とフレンチオーク樽熟成の2種類を展開。それぞれの樽香の違いが如実に感じられる銘柄だ。

「KATAOKA MERLOT(片丘メルロ)」シリーズのうちでは、2022年の「KATAOKA MERLOT 2022 AMERICAN OAK(アメリカンオーク)」が飲み頃になりつつある。

「アメリカンオークの甘い香りがよく表れ始めています。アメリカンオークならではのココナッツやバニラ、チョコレートを彷彿とさせるような甘くコクのある香りが特徴的です」。

もう一方の「KATAOKA MERLOT 2022 FRENCH OAK(フレンチオーク)」についても紹介しよう。

「フレンチオークの方は、繊細かつエレガントな趣がありますね。もう少し瓶内で熟成させることにより、ワインとフレンチオーク由来の香りが溶け合って、より豊かな芳香を放つでしょう」。

ゆっくりと熟成が進んだ「KATAOKA MERLOT 2022 FRENCH OAK」からは、開栓とともに優しいバニラの香りが立ち上る。複雑な熟成香と柔らかなバニラ香が見事に調和して、素晴らしいハーモニーを奏でるはずだ。

アメリカンオークとフレンチオークを両方揃え、それぞれのベストな時期で楽しめば、素晴らしい体験となることだろう。

「『フレンチオーク』と『アメリカンオーク』は、樽の違いがはっきりと感じられる仕上がりなので、ぜひ飲み比べてみてください。このふたつのワインは、ワインスクールが教材に使うくらい樽香の違いがわかりやすいのです」。

「KATAOKA MERLOT 2022 AMERICAN OAK」のペアリングも紹介しておこう。ワイン自体の風味が力強いため、濃い味付けの料理と合わせるのがおすすめだ。しっかりと味付けしたステーキやジビエ料理と合わせてみてほしい。一方、「KATAOKA MERLOT 2022 FRENCH OAK」は日常の家庭料理とも申し分なく合うそうだ。自分だけの自由な発想で、Domaine KOSEIのワインと料理の素敵な組み合わせを探したい。

『まとめ』

スーパーグレートヴィンテージだったという2023年と、醸造家の腕の見せどころの年だったという2024年。対照的な2年間はワインに異なる個性を付与する。ヴィンテージ違いの「KATAOKA MERLOT」で、年ごとの味わいの違いを感じてみたい。味村さんが自信をもってすすめる2023年ヴィンテージの解禁が待ち遠しいところだ。

丁寧なこだわりが光るDomaine KOSEIのワインは、妥協せず最高のメルロを追求する味村さんの努力の結晶だ。素晴らしいワインができてもおごることなく、淡々と自分の求める品質のワインを追求していく。

「今造っているものがベストになるようにと、それだけを考えてワインを造っています。あまりにもワインのことを考えすぎて疲れてしまうこともありますが、醸造期間は寝ても覚めてもワインのことばかりですね。ワインが健全に育つように、常に気にかけています」。

醸しが終わったワインをタンクや樽に移して、瓶詰めするまでおこなう貯酒管理においても、温度の調整や空気との触れ方など、細かなケアを徹底している。瓶詰めをして栓を打つまでが正念場であり、気を張り詰めて取り組むべき局面なのだ。

「英語では瓶詰め前の貯酒管理も瓶詰め後の熟成も、同じく『エイジング』と表現されますが、ワインの本場フランスやイタリアでは、貯酒管理の工程に『育成』を意味する言葉を使って表します。『熟成』とは別の言葉として存在しているように、私も『育成』と『熟成』は別の工程だと捉えています」。

ワインの「育成」を丁寧におこなう味村さんのこだわりは、スタッフにもしっかりと浸透している。「優秀なスタッフが、しっかり貯酒管理をしてくれています」と胸を張る味村さん。スタッフにまでしっかりと醸造家のワイン哲学が伝わっているのは、味村さんがワインだけでなく「人の育成」にも力を入れていることの証だろう。

Domaine KOSEIが見据えるのは「最高のメルロ」。味村さんの職人気質で実直な姿勢が生み出すワインは、日本のメルロを代表する存在になりうるポテンシャルを秘めている。

「塩尻市の片丘地区で、メルロにこだわっているワイナリーがあることを知っていただきたいですね。とてもおいしいのでぜひ味わってみてくださいと、多くの方に伝えたいです」と、味村さんは朗らかな笑顔を見せた。


基本情報

名称Domaine KOSEI
所在地〒399-0711
長野県塩尻市片丘7861-1
アクセスhttps://goo.gl/maps/rXKWGU1ceH3qAY4U7
HPhttps://domaine-kosei.com/

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