皆さま、こんにちは!
今回は、日本ワインのサブスクリプション・サービス「日本ワインにしよう」を主宰する宮坂佳奈さんをお迎えし、日本のワイナリーの皆さまへのメッセージをお届けします。
これまで「Terroir.media」にも登場し、日本ワインの魅力を紹介してくれた宮坂さん。宮坂さんが主宰する、日本ワイン生産者と日本ワインファンに広く知ってもらいたいサービス「日本ワインにしよう」を詳しく紹介します。
宮坂さんが「日本ワインにしよう」を始めたきっかけや、日本ワインへの熱い思いについてもじっくりお話いただきました。ぜひ最後までお読みください。
『宮坂佳奈さんプロフィール』
長野県岡谷市出身
日本ワインにしよう 代表
J.S.A.認定ソムリエ
2018 Miss Wine 日本大会 準グランプリ 受賞
日本ワインイベント企画運営、ワインイベント司会・登壇多数
YouTube「宮坂佳奈の日本ワインて楽しい!」
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『「日本ワインにしよう」誕生の経緯』
「日本ワインにしよう」は、月額制で毎月厳選されたワインが楽しめる、日本ワイン専門のサブスクリプション・サービスだ。
宮坂さんは、大好きな日本ワインをより多くの人に知ってほしいという一心で、これまで日本ワインをPRする数々の仕事に携わってきた。日本ワインの素晴らしさをより多くの人に知ってもらいたいと始めた「日本ワインにしよう」の、立ち上げまでの経緯を振り返りたい。
▶︎日本ワインの魅力に気づく
「私が強く興味を持ち、突き詰めたいと思ったものは日本ワインだけだった」と話す宮坂さんは、日本ワインのアンバサダーとして貢献する「Miss Wine(ミスワイン)」日本大会で2018年準グランプリに選ばれた経歴を持つ。
※現在は「Mis Wine」表記、活動内容も変更。

「日本ワインは私にとって、初めて出会った『夢中になれる存在』です。日本ワインを造っているワイナリーの皆さんを心から尊敬しています。ワイナリーの皆さんの話を聞いたり、ぶどう畑を見たりする時間が、私にとってかけがえのない時間なのです」。
宮坂さんがワインの魅力に初めて触れたのは、イタリアを旅行した時のことだった。「その土地のぶどうでお酒を造り、その土地の空気を味わいながら仲間と一緒に食卓で楽しむ」という、ワインの本質を肌で感じた。
帰国後、地元長野にある「サンサンワイナリー」を訪問して飲んだ一杯に、イタリアで感じたものと同じ深い感動を「日本ワイン」の中に見出した。日本ワインの魅力に気付いた瞬間だった。
「ちょうど同じ時期に、健康について本格的に学びたいと考えて、日本ダイエット健康協会認定資格『ダイエットインストラクター』を取得しました。その際に学んだ『身土不二(しんどふじ)』という言葉が、日本ワインの魅力の本質につながっていると感じたのです」。
「身土不二」とは、「人は生まれた土地のものを食べれば健康でいられる」という意味を持つ仏教用語だ。長野県出身の宮坂さんが長野のワイナリーで感じた「しっくりくるような美味しさ」と「じんわりとした感動」は、イタリアでその土地のものをその土地で味わった時と同じものだと腑に落ちたという。せっかく日本に住んでいるのだから、ワインならば日本ワインを飲もう、と思ったのだ。

▶︎サブスクリプション・サービスを提供
近年、日本のワイナリー数は急増して「ブーム」とも言われるような現象が起こっている。しかし宮坂さんは、日本ワインをただの流行として終わらせたくないと話す。
「日本ワインの盛り上がりがこれからも続いてほしいと願っていますが、飲む人が増えなければ難しいでしょう。また、飲む人を増やすためには『何を飲めばよいかを発信する人』が増えることも大切です。日本ワインの力になりたいという思いが、私の原動力なのです」。
出会いから今に至るまで変わらない「日本ワイン愛」が、「日本ワインにしよう」というサービスの立ち上げにつながったのだ。
ミスワイン準グランプリを受賞してから、日本ワインのアンバサダーとして数々のワイナリーを巡り、ワインの知識を深めた宮坂さん。ソムリエ資格の取得やワインイベントの企画運営など、日本ワインの伝道師として大活躍の日々を送っていた中で、新たなサービスに関するアイデアが生まれた。
「日本ワインのサブスクリプション・サービスがあれば、もっと多くの人に日本ワインを手に取ってもらえるのではと考えました」。
アイデアが生まれたのは、2021年頃のことだった。「日本ワインにしよう」というサービス名を漠然と思い描いていたとき、偶然にも「日本酒にしよう」という名前の類似サービスの存在を知ったのだ。運営者はちょうど宮坂さんと同年代の高岡麻彩さん。それから間も無く、当時携わっていたイベントで高岡さんと直接会うことができた。
お互いのSNSをチェックし合っていたことから話がはずみ、その後もイベントで顔を合わせる機会があった。そしてある時、宮坂さんは高岡さんから「『日本ワインにしよう』という名前で、サブスクリプション・サービスをやりませんか」という提案を受けたのだ。
願ってもない申し出を受け、二つ返事で引き受けることにした宮坂さん。2023年11月に本格的に企画が始動し、2024年10月からはサービスを開始するためのクラウドファンディングをスタートした。そして2025年3月、晴れてサービスページがオープンし、新たな挑戦が本格的に始まったのだ。

『全国の美味しいワインを自宅で毎月楽しむ』
「日本ワインにしよう」のサービスには、3種類のコースがある。毎月異なる地域のワイナリーのワインが届くため、自宅にいながら日本全国のワイナリー巡りをしている気分を味わえるのが特徴だ。宮坂さんは、日本ワインに興味を持つあらゆる人に、このサービスを体験してほしいと話す。
「日本ワインファンはもちろん、日本ワインを飲んでみたいと思うけれど何を選んだらよいかわからない人や、自分へのご褒美にしたい人などにも、ぜひ手に取っていただきたいですね」。
ここからは「日本ワインにしよう」のサービス内容を深堀りしていきたい。宮坂さんが抱く、日本ワイナリーへの深いリスペクトが随所に感じられるはずだ。

▶︎日本ワインの感動を届ける3コース
「日本ワインにしよう」には、以下3つのコースがある。
- 「ちょい飲みしたい方におすすめ」1本コース 送料無料・月額5,800円(税込)
- 「毎日飲みたい方におすすめ」2本コース 送料無料・月額10,800円(税込)
- 「飲み比べたい方におすすめ」飲み比べコース 送料無料・月額9,800円(税込)
基本の「1本コース」を選ぶと毎月銘柄が変わる「オリジナル日本ワイン」が1本、「2本コース」では「1本コース」と同じワインが2本送られてくる。また「飲み比べコース」では、オリジナル日本ワイン1本と、当月ワイナリーまたは地域の飲み比べができる1本の合計2本が届く。
全てのコースには、日本ワインの解説などが掲載されたオリジナル小冊子が付属。小冊子は8ページほどのブックレットで、届くワインの解説の他、読み物としても楽しめる充実した内容だ。
「小冊子には、お届けするワインの解説とワイナリーさんへのインタビュー、ワイナリーさんに聞いた『周辺のおすすめ飲食店・ワイナリー併設のレストラン』、テーマに沿った日本ワインコラム、ペアリングレシピなどを載せています」。
ワインを楽しんでもらうだけでなく、ゆくゆくは現地に足を運んで欲しいと考えている宮坂さん。そのため、ワイナリーに訪問したときに役立つ情報を盛り込んだ。
小冊子内のコラムのコーナーでは、「日本ワインと国産ワインの違い」「甲州について」「日本ワインコンクールについて」など、日本ワインに関する内容をわかりやすく解説している。
さらに、おすすめペアリングのレシピコーナーも必見だ。毎月異なる専門家に依頼して、月ごとのワインに合うレシピを開発しているので、届いたワインとおすすめレシピのペアリングを試してみたい。

▶︎ここでしか味わえない美味しさ
ここで、「日本ワインにしよう」が提供しているオリジナル日本ワインについて解説しよう。「日本ワインにしよう」は、オリジナルワインが届くのが最大の特徴だ。宮坂さんが自ら収穫をしたぶどうから造ったワインや限定オリジナルブレンド、ワイナリーが普段市場に出さないワインなど、文字通り「ここでしか手に入らないオリジナル」である。
さらに、ワインの名前とエチケットも完全オリジナル。各ワインのイメージに合わせて毎回制作しているのだ。
例えば、2025年4月に届いた白ワインは、長野県塩尻市にある「サンサンワイナリー」とコラボレーションしたもので、「Moments」と名付けた。「春のおだやかな季節とともに、あなたの時間を彩るワインになりますように」という願いを込めたエチケットは、春の空気を思わせる柔らかな虹色に光の粒が舞う優しい印象だ。
「デザイナーさんにワインやワイナリーの情報を共有して、デザインに落とし込んでもらっています。特に色合いにこだわっています」。
▶︎オリジナルワインができるまで
続いて、こだわりのオリジナル日本ワインが生まれるまでを紹介しよう。
「月ごとに異なる地域のワイナリーさんを取り上げて、しっかりと話し合った上で、どんなワインにするのかを決めています。どの月にどのワイナリーさんにお願いするかなどの調整は大変ですね」。
2025年4月提供分の「Moments」は、サンサンワイナリーの醸造家である田村彰吾さんと話し合い、ワインに使用する品種選びからスタート。宮坂さんがサンサンワイナリーで植え付け作業を手伝った「ソーヴィニヨン・ブラン」を使うことになった。

「ワインに使うソーヴィニヨン・ブランは、収穫作業を手伝わせていただけることになり、香りを引き出すために夜間に収穫するナイト・ハーべストに参加しました。出来上がったワインのテイスティングも一緒におこない、もう少し厚みがほしいなどの意見を出し合って、シャルドネをブレンドしました」。

2025年5月のワイン「LIBERTA」は、青森県弘前市の「ファットリア・ダ・サスィーノ」に依頼。サブスクリプション限定で、バック・ヴィンテージを用意してもらった。
「ワイナリーの皆様のご協力のもと、熟成感を感じられるマルヴァジア品種を使ったワインをお届けしました」。
また、2025年6月のワイン「By your side」は、山梨県甲州市勝沼町の「シャトージュン」に依頼。造り手と対話を重ねながら、味わいの方向性を決めていった。ワイナリーに出向いて畑の様子を見ながら、使う品種や区画などを話し合ったという。ぶどうの様子を確認し、造り手の思いを聞きながら造り上げた。
そして、2025年7月は大分県竹田市久住町の「久住ワイナリー」とコラボレーションした「Instinct」。久住ワイナリーオリジナル開発品種「EBONY」初のロゼワインだ。「漆黒」を意味する名前を持つ赤ワイン用品種の「EBONY」に、ほかの品種を少量ブレンドした。
2025年8月のワイン「HANABI」は、広島県世羅町「せらワイナリー」とのコラボレーションで、代表品種であるハニービーナスを使用した限定ワイン。
「暑い夏にキンキンに冷やして飲む白ワインとしてお届けしました。限定レシピのカッサータ風アイスケーキと合わせると、夏の涼しさを感じることができたと好評でした」。
2025年9月のワインは、「日本ワインにしよう」初の赤ワイン。茨城県牛久市にある「麦と葡萄牛久醸造場」とのコラボレーションワイン「Sleeping Beauty」だ。秋を感じるこの時期に、ゆったりと楽しんでもらうワインをお届けする。
さらに2025年10月は、宮城県「秋保ワイナリー」から「秋桜‐COSMOS‐」が登場。秋保ワイナリーの自社畑100%ピノ・グリとゲヴェルツトラミネールを使用した、ミネラル感豊かな白ワインだ。
11月は大阪府「河内ワイン」、12月は山形県「ベルウッドヴィンヤード」と続く。
「オリジナルワインを一緒に造らせていただけたことに、心から感謝しています。今後このサービスをより多くの人に届けることで、ワイナリーの皆さんに恩返しができるように頑張っていきたいですね」。

『日本ワインをさらに盛り上げたい』
最後に、「日本ワインにしよう」リリース時に開催したパーティーの様子と、宮坂さんから日本のワイナリーの皆様へのメッセージを紹介したい。
またワインを紹介する際に、料理とのペアリングを提案することのメリットについてもお話いただいたので、合わせて見ていこう。
▶︎ローンチパーティーを開催
2025年4月、「日本ワインにしよう」スタートのために実施したクラウドファンディングのリターンとして設定したローンチパーティーを開催した。
会場は「世田谷ワインレストランSeta」。2022年公開の映画「シグナチャー~日本を世界の銘醸地に~」の監督、柿崎ゆうじ氏がオーナーを務めるレストランだ。

「クラウドファンディングに参加いただいた方だけでなく、ご協力いただいたワイナリーさんやワイン業界の方々など、たくさんの方にご参加いただきました。みなさんに『日本ワインにしよう』を紹介し、当日はたくさんの日本ワインを楽しんでいただきました」。
総勢40名ほどが参加したローンチパーティーで振る舞われたのは、なんと50種類近くもの日本ワイン。全国の15ワイナリーから、それぞれ3アイテム前後が提供された。
「パーティーに参加してくれたワイナリーさんからは、色々な地域のワイナリーとの交流の場になって楽しかったと言っていただけました」と、宮坂さんは微笑む。
「日本ワインにしよう」を始めることになったきっかけや、今後に向けての決意表明をした宮坂さんの熱意は、会場の全員に伝わったことだろう。日本ワインの役に立っているか不安になることもあるが、パーティーの場であたたかいコメントをもらったことは励みになったと振り返る。
ローンチパーティーで繋がった人々の輪を生かすためにも、今後はより大きなイベントの開催を検討しているという。参加者がワインを購入できる仕組みを構築すれば、参加者だけでなくワイナリーにとっても実りあるものになるはずだ。その他、サブスク会員限定の交流企画なども検討しているということなので、今後の展開に注目したい。
▶︎ワインを消費者に届けるための力になりたい
宮坂さんが目指していることや検討している施策、日本ワイン業界をよりよくするためにワイナリーに対して提案したいことなどをお話しいただいた。
「日本のワイナリーの皆さんが心を込めて造ったワインを、思いや背景と共にお客様にお届けしたいと考えています。今回スタートした『日本ワインにしよう』という企画を通して、日本ワインを一緒に盛り上げていけたら嬉しいです」。

ワインが上手く売れない、売り方がわからないといった悩みがあれば、一緒に考えたいと話す宮坂さん。イベントの企画運営やさまざまなワインを販売した経験から、提案できることがたくさんあるのではと考えているのだ。
「売れないと思っていたワインでも、売り方を変えたことで販売に繋がった」という例をいくつも目の当たりにしてきた宮坂さん。現地では人気の出にくいアイテムでも、都心部ではよく売れるなど、場所やターゲットへのアピール方法を変えるだけで驚くほど結果が出ることがあるそうだ。
「消費者とワイナリーさんとの架け橋になりたいと考えています。日本ワインをお客様に楽しんでいただき、幸せになって欲しいという思いで、これまで日本ワインに向き合ってきました。これからも、お客様に合うワインを紹介するお手伝いをしていきたいですね」。

▶︎ワインの説明には「料理」が不可欠
日本ワインをより多くの人に飲んでもらうためには、ワインのよさをしっかりとアピールすることが重要で、ワインをすすめる上ではペアリングを考えることが欠かせない。
「お客様にワインの説明をするときは、常におすすめのペアリングを紹介するようにしています。私はこのことを、辰巳琢郎さんから学びました」。
日本ワインの世界に足を踏み入れたばかりのころ、あるワインに対してネガティブなイメージを持ったことがあった宮坂さん。その際、辰巳さんが「美味しくないワインなんて、ひとつもないんだよ。苦手な部分があっても、その部分を和らげてくれる食材が絶対にあるはずだから」と声をかけてくれたという。
この言葉をもらって以降、ワインを飲むときには常にペアリングについて考えるようになり、日本ワイン関連の仕事でも大いに生かすことができたそうだ。
「日本ワインがもっと日常に溶け込めるよう、簡単で身近なペアリングを提案できるようにしています。過去にはイベントのパネル作成で、100種のワインそれぞれのペアリングを考案したこともあります」。
しかし、ワインと料理のペアリングを考えること自体が難しいと感じている人は多いだろう。宮坂さんから、ペアリングを考えるうえでのアドバイスをいただいた。
「まずは、ペアリングのセオリーに沿って試してみてください。味を同調させることと、足りない味わいを補ってバランスをとるという2パターンが基本です。その後、食感や色などで合わせると、ペアリングのレパートリーを広げやすくなりますよ」。
おすすめのペアリングをいくつか挙げていただいたので紹介しよう。まずは、「セロリとさきいかのマリネ」とナイアガラの組み合わせだ。香草特有の爽やかな苦味と、少し甘めのナイアガラの味わいがマッチする。同じ原理で、パクチーとナイアガラもよく合うそうだ。
また、「トムヤムクン」とコンコードもおすすめの組み合わせ。日本のワインはアジア料理に合うものが多いと感じているため、宮坂さんがペアリングメニューを検討する際には、アジア料理がよく登場する。ワインの魅力をより多くの人に知ってもらうために、ペアリングについて改めて検討する時間を取るのもよいだろう。
『まとめ』
「ぶどうは育った土地の風土をダイレクトに表現します。日本ワインを飲んだお客様にも、飲んだワインがどんな場所でどんなふうに育ったぶどうからできているかを感じていただきたいですね」。
高温多湿で厳しい栽培条件の中でも、栽培方法や醸造技術を向上させてきた日本ワイン。日本特有の風土と気候だからこそ育つぶどうで造るワインは、飲み手の人生を変える一滴になるかもしれない。
日本ワインの魅力をより多くのお客様に伝えることができる「日本ワインにしよう」は、日本ワインをさらに盛り上げ広める一端を担うのではないだろうか。
「日本ワインにしよう」では今後、毎月のワインイベント開催の他、姉妹サービス「日本酒にしよう」との共同企画も視野に入れる。日本ワインと日本酒の両方があることで、楽しみの幅も圧倒的に広がるはずだ。イベント告知は公式サイトや公式Instagramで確認できるので、ぜひチェックしていただきたい。
最後に、テロワールドットメディアの今回の記事「日本ワインを愛するすべての人に届けるサービス『日本ワインにしよう』主宰 宮坂佳奈氏」を読んだ方には、「日本ワインにしよう」より特典があるそうだ。詳しくは「日本ワインにしよう」HPをぜひチェックしてほしい。


