皆様、こんにちは。今回は、東京二子玉川・横浜・渋谷の3か所で、自然派ワインと日本ワインを中心とした世界のセレクトワインを扱う「WINE SHOP nico」代表・新垣圭太氏へのインタビューを、日本のワイナリーの皆様へのメッセージとしてお届けします。
新垣さんが料理人からソムリエに、そして自然派ワインと日本ワインを中心に扱うワインショップを経営することになった道のりとは。また、二子玉川・横浜・渋谷という情報発信の地に店を構えることになった経緯についても伺いました。
新垣さんが仕入れの際に重視していることや、ワインをお客様に手に取ってもらうために大切にしていることなど、ワイナリーの皆様のヒントになる話題も出てきますので、ぜひ最後までお読みください。
『新垣圭太氏プロフィール』
沖縄県出身
2006年 日本ソムリエ協会認定ソムリエ 取得
2008年 「恵比寿ビストロ wine bar M」立ち上げに従事
2016年 WSET Level3 取得
2018年 「WINE SHOP nico」二子玉川店 オープン
2021年 「WINE SHOP nico」横浜店 オープン
2023年 千曲川ワインアカデミー8期生 卒業
2024年 「WINE SHOP nico」渋谷店 オープン
『新垣氏の経歴とワイン観』
まずは、新垣さんがワインショップ経営を志し、ナチュラルワインや日本ワインを数多く取り扱うという現在のスタイルを確立するまでの経緯を紹介したい。
沖縄県出身の新垣さんのキャリアは、フレンチレストランでの経験からスタートした。料理も手掛けていたため、将来は自分の店を持ちたいという独立への強い思いを持っていたという。
しかし、あるソムリエとの出会いによって、新垣さんの夢は大きく方向転換することになった。ワインの世界に魅せられ、料理の世界からワインの世界へと舵を切ることを決意したのだ。
2006年にはソムリエ資格を取得し、ワイン関連の仕事に本格的に従事するために東京へと向かった新垣さん。そして、恵比寿の著名なワインバー「恵比寿ビストロ wine bar M」の立ち上げに参加した経験が、現在の新垣さんのワイン観を形成する礎となった。
▶︎クラシックな世界での衝撃
「恵比寿ビストロ wine bar M」は、立ち上げ当初は世界中の厳選したワインを取り扱う店だった。当時の主流は、ボルドーの5大シャトーやブルゴーニュの有名ドメーヌといった、いわゆる「クラシックなワイン」だ。
「2008年頃の日本ワインは、正直なところ注目されているとは言い難い状況でした。また、ナチュラルワインも同様の立ち位置でしたね」。
日本ワインは比較的安価で売り上げに貢献しにくい存在だったため、ワインバーでの取扱いはほとんどないに等しかった。また、現在では著名な海外産地の自然派ワインの造り手ですら、まだあまり飲まれていない時代だったのだ。
だが、クラシックワイン一辺倒だった時代に、新垣さんはあるナチュラルワインに出会い衝撃を受けたという。
「濁っていてまだ発酵中のようなワインで、一見すると『なんだこれは?』という印象でしたが、非常に美味しかったことが衝撃でした。素晴らしいワインだと感動したことを今でも覚えています」。
当時は今ほどワインの知識が広く共有されておらず、クラシックなワインのスタイルから外れたものは「未知の存在」として扱われていたため、「ワインとは思えないようなワイン」に触れたことに驚いたという。
また、新垣さんがナチュラルワインに惹かれた理由は、味わいだけではなかった。ワインを提供する立場から見た時に、「魅力」と「力強さ」も感じたのだ。
「自然派ワインの多くは個人が手がけているため少量生産で、造り手の思いが伝わりやすく、ストーリーとしても非常に魅力的でしたね」。
生産者がこだわり抜いたナチュラルワインは素晴らしいものだと、早い段階で確信を持っていた新垣さん。だが、当時はまだ「ナチュラルワインが売れない時代」が依然として続いていた。
▶︎独立への決意と「WINE SHOP nico」の誕生
新垣さん自身は、大規模生産が基本のワインと、個人生産のワインは根本的に異なるものであると認識している。
「ワインという大きなくくりでは同じカテゴリーに入るお酒ですが、造り方もターゲットも全く違うものだと思っています。だからこそ、クラシックなワインが求められている場所と、ナチュラルワインを取り扱いたいという自分の思いは、分けて考えるべきだと感じ始めていました」。
2010年以降になってようやく、ナチュラルワインの人気は徐々に高まりを見せ始めた。新垣さんが「自分の店を持つ」という夢を具体的にしていった時期とちょうど重なっていたのだ。そこで、新垣さんは新たな挑戦をする覚悟を決めた。
「ワイン好きの妻とも話し合って、『自分たちのこだわりを詰め込んだ、少量生産のワインを扱う店にする』と決めました。さらに、日本ワインも積極的に取り扱おうと考え、独立に向けて動き出したのです」。
2018年、満を持して東京都世田谷区玉川に「WINE SHOP nico」をオープン。店名は多摩川沿いの「二子玉川」エリアの愛称である「ニコタマ」に由来し、「街に愛される店になりたい」という思いが込められている。当時、二子玉川には小規模な個人経営の酒屋は少なかったため、まずは地域に根付くことを目標とした。

『事業拡大という転換点』
二子玉川で店をオープンして以来、イベントなどを通じてワイン仲間と交流を深めてきた新垣さん。「ナチュラルワイン」や「角打ち」の波が来ていることを肌で感じていたという。
地域密着型の経営スタイルで試行錯誤しながら営業を続ける日々の中、予期せぬ出会いが事業拡大に繋がったそうだ。詳しく見ていこう。
▶︎予期しなかった「百貨店からのオファー」
当時、新垣さんの仲間内でも、横浜の駅周辺には、「WINE SHOP nico」のようなこじんまりとしたワインショップがないという話が出ていた。大手ショップはあっても、ナチュラルワイン専門店や角打ちができる場所はまだなかったのだ。
そんなある日、新垣さんのもとに1本の連絡が入る。「伊勢丹」横浜店の担当者からだった。
「相鉄ジョイナス地下1階にある、『FOOD&TIME ISETAN YOKOHAMA』内に出店してみませんか?というお話をいただき、最初は『何かの間違いでは?』と思いましたね」と、新垣さんは笑う。しかし新垣さんは、仲間たちと交わした会話を思い出し、まずは話だけでも聞いてみようと、担当者との面談に臨んだ。
「最初は、大手百貨店からのお申し出ということで及び腰でした。しかし、先方の熱意は非常に強いものでした。百貨店が我々のような個人のワイン店に声をかけることは非常に珍しいことだとも思いましたし、せっかくの機会だからチャレンジしてみようと考えたのです」。
またとないチャンスを手にした新垣さんは、新店舗を作ることを決意。2021年、「WINE SHOP nico」は横浜に2店舗目を構えたのだ。
▶︎個人からチーム、そして学びの場へ
街の酒販店であれば、新垣さんがひとりで経営することが可能だ。しかし、百貨店に出店するとなると、経営体制の見直しが必要だった。
「横浜の百貨店に出店してからは、自分の力の限界を強く感じました。百貨店は年中無休のため、誰かの力を借りないと回していくことができなかったのです」。
個人経営からチームで運営する体制へとシフトすることを迫られた新垣さん。若手人材の確保が難しい状況もあり、最初の1年は非常に苦労したという。チームが安定し始めたのは、横浜店オープンから約1年が経過した2022年春頃だった。
2店舗目の運営が安定し、少しずつ自分の時間が持てるようになってきた頃、新垣さんの胸の中には「ワインを造りたい」という思いが新たに芽生えたという。
だが、ワインショップの営業から完全に手が離れるわけではなく、ワイン造りの修行に行くほどの時間は取れない。どうしてもワイン造りについて体系的に学びたいという思いを押さえきれなくなった新垣さんが選んだのは、長野県東御市の「千曲川ワインアカデミー」に通うことだった。
「週2回なら、多少の無理をすれば通えるだろうと考えました。今の仕事にも必ずつながると思い、2022年から1年間通うことにしたのです」。
千曲川ワインアカデミーでの経験は、日本ワインに対する新垣さんの見方を決定的に変え、次なる大きな決断へと導くことになった。
『日本ワインの未来を見つめて 渋谷での新たな挑戦』
千曲川ワインアカデミー在学中、新垣さんにまたしても転機が訪れる。「『TOKYU PLAZA SHIBUYA』でワインショップをやりませんか」という声がかかったのだ。しかも、提示されたのは36坪という大規模な区画だった。
新垣さんはさすがに対応することは難しいと考え、当初は断っていた。しかし、担当者は熱意にあふれており、半年以上やりとりが続いたという。
その間、新垣さん自身の内面にも大きな変化が訪れていた。「千曲川アカデミー」での学びを通じて、日本ワインの現状を深く理解するようになっていたのだ。
▶︎生産現場で痛感した「売れる場所」の必要性
「千曲川ワインアカデミーの卒業を間近に控えて、様々な生産者さんとも出会う中で、日本ワインの現状を目の当たりにしたのです。そして、徐々に考えが変わっていきました。収量やワインの生産量、生産者の数などを具体的に考えると、やはりこれからの日本ワインのためには『売る場所』が必要であることを痛感したのです」。
さらに、新垣さんは市場全体の未来にも危機感を抱いていた。
「若い人のお酒離れが進んでいる現状で、このままでは日本のワイン市場は先細りの未来を迎えます。その場合には海外に向けて販売することが必要となり、海外のお客様に向けたアピールが不可欠になって来るでしょう」。
日本ワインの輸出規模が大きくなるほど、専門的に担う存在も必要となるはずだ。日本ワインを造るだけでなく「売る」ことの重要性を再認識した新垣さんは、またしても大きな決断をした。「TOKYU PLAZA SHIBUYA」への出店を決めたのだ。
▶︎インバウンドの拠点として見る「渋谷」の可能性
「TOKYU PLAZA SHIBUYA」は、羽田空港からのリムジンバスが発着し、海外からの旅行者が足を運びやすい絶好の立地だ。インバウンド需要を取り込むには、まさに最適な場所である。
「かなり無理をすることになると分かっていましたが、気持ちを切り替えました。本当は進めていきたかった自分のワイン造りはいったん見送って、渋谷での新規出店に集中することにしたのです」。
もし「TOKYU PLAZA SHIBUYA」への出店がなければ、新垣さんの現在は違ったものになっていただろう。二子玉川と横浜の店舗経営を続けながら、ワイン造りの道に進んでいたかもしれない。
新垣さんは、渋谷店では日本ワインのみを扱うことを提案。構想が受け入れられ、「WINE SHOP nico」渋谷店はオープンした。目指したのは「日本ワインの玄関口」という位置付けのワインショップだ。
▶︎世界市場における日本ワイン
新垣さんは酒販店としての立場から、世界市場における日本ワインの現在地を冷静に見つめる。
「世界の市場からすると、日本ワインの立場はまだまだだと思っています。海外からの評価が高い一部の生産者だけでなく、日本ワイン全体がさらに盛り上がっていく必要があるため、全体のレベルを上げることも考えていかなければなりません」。
現在、渋谷店における海外顧客の割合は体感で1割程度だ。インバウンド客の割合を増やすため、海外顧客の反応を観察して顧客の傾向を分析しているところである。
「今のところ明らかになっているのは、日本ワインを求める海外顧客は、アルコール度数が高すぎず、主張の穏やかなワインを好むということです。日本のイメージである『丁寧さ』『繊細さ』にマッチしているからではないでしょうか」。
日本ワインならではの繊細さや上品さを追求することが、世界市場で受け入れられるためのひとつの鍵となるのかもしれない。

『WINE SHOP nico が求めるワイン』
現在、新垣さんは「WINE SHOP nico」全店舗の仕入れを全て自身で担っている。休日を利用してワイナリーを訪問することもあれば、ありがたいことにワイナリー側から出向いてくれるケースも増えているという。
数あるワインの中から、新垣さんは何を基準に「WINE SHOP nico」に並べる1本を選んでいるのだろうか。新垣さんの基準を知ることは、ワイナリーが自社ワインを見つめ直すきっかけにもなるだろう。
▶︎決め手は「人」とインスピレーション
「説明が難しいのですが」と前置きしつつ、新垣さんは自身の基準について語り始めた。
「結局はインスピレーションです。感覚的なものが大きいのですが、『この人とこれからも付き合っていきたいか』を重視していますね」。
ワインは農産物であり、造り手の人柄や哲学が色濃く反映される。だからこそ、ビジネスライクな関係だけでなく、人としての信頼関係を築ける相手かどうかを重視しているのだ。ワインそのものに対しても、最終的には自身の感覚で判断を下すという。
「品種やぶどうの系統、アルコール度数といったデータはあまり関係ありません。自分で飲んでみて、よいワインだと思うかどうかが決め手となります」。
▶︎「個性」とブレない「1本の線」
新垣さんがワインを選ぶ際に重視している点のひとつに、「個性」がある。
「店に置くものには『個性』がほしいと思っています。例えばメルローのワインの場合、メルローとしてどんな個性を出しているか、どんな個性を引き出そうと真剣に考えているかが伝わってくると魅力的ですね」。
造り手の哲学や目指すスタイルが明確に感じられるかどうかが、新垣さんの求める「個性がある」ということだ。逆に言えば、個性がブレているように感じられるワインは、契約に至らないことが多いという。
「例えば、キュヴェによってスタイルが全く違ったり、ヴィンテージによってあまりにも大きく味わいが異なる場合が当てはまります。ヴィンテージにより差が生まれるのは致し方ないですが、変化がある中でも『1本の筋が通っている』場合とそうでない場合の差は明確なので、重視しています」。
気候変動や栽培の難しさといった逆境の中にあっても、自身の哲学を貫き、目指す味わいを表現しようとする姿勢の一貫性こそが、酒販店が信頼するワインの条件なのかもしれない。
もちろん、ワイナリー側から契約を断られるケースも当然存在するそうだ。「生産者と販売者、どちらが上か下かということではありません」と、新垣さんは謙虚な姿勢を崩さない。
『「売る」ための言語化と、アプローチ方法』
「WINE SHOP nico」が目指す理想像は、「ワインを愛する人々の日常に寄り添う存在であること」だ。
「親しみやすく、ワインが日常にあって、行きやすくてセレクトしやすい店舗でありたいです。『いつもワクワクする店』だと思っていただけると嬉しいですね」。
決して安くはない「ワイン」という商品を消費者に手に取ってもらうために、売り手は何を考え、どう伝えているのか。新垣さんが考える「売るための極意」と、ワイナリーに求められる視点について深掘りしたい。
▶︎高価な嗜好品を買ってもらう「理由」
「最近の日本ワインは、4,000〜5,000円するものも珍しくありません。嗜好品であるワインを買いたいと思ってもらうには、そのワインを飲む『理由』を伝える必要があるのです」。
ここで重要になるのが、「個性」の言語化だという。「うちのワイナリーはこういう哲学を持っているから、こういう味がする」「この土地の土壌がこうだから、この品種を選んでいる」という、ワイナリーとワインが持つ背景を論理的に、かつ魅力的に説明できること。そして、実際に飲んだ時に説明通りの感動があること。
この一貫性こそが、選ばれるワインの条件になるという。しかし、自らのワインの魅力を客観的に言語化できているワイナリーはまだ多くないそうだ。
「自分たちのワインを言葉にするのは難しいことです。だからこそ、我々のようなショップの出番となるのです。『このワインなら、こういう切り口で伝えた方がお客様に響きますよ』とセールスのプロとしてアドバイスができますし、ワイナリーの皆さんと直接お話しすることで、売るための『言葉』が見つかることも多いですね」。
個性をブレさせることなく、かつ言語化することの重要性を説く新垣さん。しかし、「言うのは簡単ですが、非常に難しいことだとは強く理解しています」と言う。ワイン造りを学び、理解を深めた経験を持つ新垣さんだからこそ、ワイナリーに寄り添いながら顧客のニーズにも応え続ける販売ができるのだろう。

▶︎「頭で飲む世代」と「感性で飲む世代」
新垣さんは、現在のワイン市場が「ふたつの層」に分かれると分析する。ワイナリーがターゲットを考える上でも重要な視点だ。
「40〜50代のワインファンは、いわゆる『頭で飲む』方が多い傾向にあります。『ブルゴーニュだから美味しい』『熟成期間が長いから価値がある』といった、知識やブランドを重視する楽しみ方です。一方で、若い世代の飲み方は大きく異なります。彼らは『感性』でワインを選びます。エチケットが洒落ているか、液体の色が美しいか、自分のライフスタイルに合っているかどうかなどを重視しているようですね。知識よりも、直感やファッション性が重要なのです」。
ワインの消費人口が減少する中で、ワインを取り扱う業者はこの両方の層を取り込まなければ生き残ることができない。
「我々売り手は、知識欲を満たすためのうんちくも語れなければならないし、同時に若い世代に響くファッショナブルな提案もする必要があります。ワイナリーさんがターゲットを絞ってワイン造りをするのは、軸をブレさせないために正しい戦略です。しかし、我々ショップは間口を狭めてはいけません。様々な個性を扱い、あらゆる世代のお客様の『垣根』を取り払うことが、ワインショップの使命だと感じています」。
新垣さんはお客様と接する際に最も大切にしていることについて話してくれた。
「ワインを販売するうえでは、お客様の『緊張』を解くことが何よりも大切になります。ワインショップというのは、お客様にとって非常に緊張する場所です。『知識がないと馬鹿にされるんじゃないか』と身構えてしまうからこそ、難しい専門用語を使わず、端的にわかりやすく、楽しく伝えることを心がけています」。
『未来へつなぐイベントと、店舗のあり方』
「WINE SHOP nico」では、各店舗で頻繁に試飲イベントやセミナーを開催している。ここにも、新垣さんならではの「日本ワインの未来」を見据えた戦略があった。
イベントの内容や目的と、新垣さんが見据える将来への展望についてお話いただいた。
▶︎記憶に残るのは「小規模な試飲会」
「イベントを開催する上でこだわっているのは、あえて『小規模』に実施することです。一番店舗面積の大きい渋谷店でも、呼ぶ生産者は数社、参加者は30人程度に収めています。多くの生産者を呼んで100人規模のイベントにしてしまうと、お客様の記憶に残りにくくなってしまうのです。誰と話したか、どのワインが美味しいと感じたかが記憶に残らなければ、意味がありません」。
小規模イベントであれば、参加者は造り手の目を見て話ができ、ワイン造りにかける情熱に直接触れることができる。鮮明な感動は「記憶」となり、翌年のヴィンテージを待ちわびる「ファン」を生むのだ。
「ワイナリーにとっても、イベントは収穫ボランティアなどを募るための貴重な機会になります。参加したお客様がワイナリーのファンになり、今度は畑を手伝いに来てくれるという循環が生まれれば、我々にとっても、ワイナリーにとっても、お客様にとってもプラスになるでしょう」。
WINE SHOP nicoでは、生産者イベントの他、ワインの知識を深めることができるプチセミナーも開催している。セミナー内容は「40〜50代のワインファン」が満足できるものだ。様々な客層を取り込むための工夫と努力を欠かさないからこそ、愛される存在としての地位を確立しているのだろう。
▶︎100年続く酒販店として
最後に、新垣さんのこれからの展望を尋ねてみた。
「店舗をやみくもに増やそうとは考えていません。大切なのは、WINE SHOP nico が『長く続く酒屋』であることです。私が店にいなくても、100年先も地域から愛され続ける店になる体制を築くことが、今の目標ですね」。
自身のワイン造りへの挑戦は「10年先の話になりそうだ」と笑う新垣さん。今は黒子に徹し、日本ワインの土壌を「市場」という側面から耕し続ける。
「親しみやすく、誰でも気軽に入れて、行けば必ずワクワクするワインに出会えるという、当たり前の『街の酒屋』であり続けたいですね。これからも多彩な個性を持つワインを扱い、より多くの人に提供できるよう追求していきたいです」。
『まとめ』
新垣さんの言葉の端々には、ワインに対する深い愛情と、販売者としての鋭い分析眼が同居している。最後に、新垣さんから全国のワイナリーへ向けたメッセージを紹介したい。
「日本ワインの成長に、少しでも力になりたいと本気で思っています。これからも一緒に、日本ワインを盛り上げていきましょう」。
新垣さんのように、ワイナリーとお客様の架け橋となる存在は、日本のワイナリーにとって、これからますます不可欠なものになっていくだろう。自らのワインが持つ個性をどう言葉にして、誰に届けるか。「WINE SHOP nico」には、その答えのヒントが並んでいるのかもしれない。

| 名称 | WINE SHOP nico |
| 所在地 | 【二子玉川店】 〒158-0094 東京都世田谷区玉川3-7-1 川渕ビル1F 【横浜店】 〒220-0005 神奈川県横浜市西区南幸1-5-1 相鉄ジョイナスB1F フード&タイムイセタンヨコハマ内 【渋谷店】 〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1-2-3 渋谷フクラス内 東急プラザ渋谷6F |
| HP | https://www.nico-wine.com/ |

